新規事業を成功させる秘訣とは #02

「Airレジの開発のこだわりと今後の展開」
リクルートライフスタイル・佐々木康太朗氏インタビュー(後編)

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    佐々木 康太朗
    株式会社リクルートライフスタイル
  •            r
    大崎 孝太郎
    株式会社電通 ビジネス・クリエーション・センター事業開発室 スーパーバイザー

第1回に引き続き、新規事業として成功を収めているAirレジについて、電通の大崎孝太郎氏がリクルートライフスタイルの佐々木康太朗氏に聞いていきます。競合に対する強みは何か、開発にどのようなこだわりを持っているのか、今後の展開や他サービスとの連携などについて、話していただきました。

佐々木康太朗氏×大崎孝太郎氏

 

Airレジの強みと競合状況

大崎:レジという分野は、競合が多く競争も激しいように思えます。競合環境についてお話し頂けますでしょうか。

佐々木:国内にも大手がありますし、海外展開を考えれば、相当な数の競合が存在します。Airレジの特長を生かすためには、UXを磨いていくしかないと考えています。実際に使われている店舗に足しげく通いながらUXを見極められる開発者を育成していくことが必要になってくるでしょう。また、国内では、これまで培ってきたアセットが非常に大きいため、顧客接点力を最大限に活用して、競争力を築いていくことが重要です。

 

リクルートポイントとAirレジの連携

大崎:Airレジにはリクルートポイントとの連携機能がありますが、今後、店舗支援として、割引クーポンなどを活用したO2O(Online to Offline。オンラインサービスを通じて実店舗に送客を行うこと)を進めていくのでしょうか。

佐々木:Airレジの目的は、店舗業務を簡便にすることですが、それとともに集客を支援することも考えてなければなりません。リクルートのビジネスの根幹は、一般消費者と企業のマッチングをいかに増やすかということです。AirレジとAirウォレットを使って、どれだけ店舗に送客できるかというのは、非常に大きなポイントです。

大崎:AirレジとAirウォレットに関するキャンペーンも行っていますね。

佐々木:2015年2~3月に福岡限定でAirウォレットのキャンペーンを行い、天神・大名を中心に数百店舗でリクルートポイントを使っていただくことができました。今後もこのようなキャンペーンは続けていきたいですね。
Airウォレットは日本全国で使えるものの、地域を絞って消費を増やすという仕組みをこれまでは作れていませんでした。首都圏以外では、住んでいる地域の半径数キロ以内でほとんどの消費行動が行われています。キャンペーンでは、エリアを絞ってリクルートポイントが使えるところを増やすことで、Airウォレットを使って地域の消費を向上させることを試してみたのです。消費を増やして、マッチングを増やすことに今後もチャレンジしていきたいと思います。

大崎:AirレジやAirウォレットを通じて、地域活性化支援を行うことになるわけですね。

 

UXに磨きをかけて他サービスとも連携する

大崎:最初は5~6人のチームで始まったプロジェクトだとお聞きしましたが、今は何名くらいのチームでサービス運営を行っているのですか?

佐々木:現在は、200人くらいのチームですね。

大崎:すごい!2年間で急激にチームが大きくなるときには、既存の事業から担当替えや異動を伴いますが、社内の調整などが大変そうですね。

佐々木:大変だとは感じています。ただ、リクルートライフスタイル全体としてAirレジに注力していく、というメッセージを上層部が出しているので、参加したメンバーはポジティブに取り組んでくれていると感じています。

大崎:店舗を訪問した営業担当のフィードバック以外に、ユーザー調査などを行い、開発やUX改善に役立てているのでしょうか。

佐々木:そうですね。UXの根幹に関わる人たちも実際に店舗に伺って、かなりヒアリングを重ねていることも、我々の強みだと思います。使われてこそのサービスなので、現場の声を聞かなければわからないところが多く、現場感を大切に開発していますね。狙ったとおりにうまくいくところも、うまくいかないところもあるのですが、それに一喜一憂するのではなく、とにかくスピーディーに磨きをかけていかなければなりません。

大崎:佐々木さんはご自身でも飲食店を運営され、実際に店舗にAirレジを導入されているということですが、店舗側の視点がAirレジの開発に生かされているのでしょうか。

佐々木:私は入社以来、じゃらんやホットペッパービューティーなど店舗側の管理画面の改善をやっていたのですが、従来から、店舗のリアルな生の声が我々のビジネスに直結していると感じていました。しかし、感じてはいても、それが実際に何であるかは一向につかめなかったので、一念発起して、2013年6月に飲食店をオープンしてみたのです。実際に店舗の運営をやってみて、ホットペッパーグルメやAirレジ、リクルートに対して期待することがハッキリと感じられるようになったことは非常に大きいと思います。
たとえば、リクルートにとってみれば当たり前のように払っていただいている広告費も、小さな店舗では払うのを忘れてしまったり、払うのが大変だったり、といったことを実感できることは、大きな経験だと思います。

大崎:リクルートグループはすべてを自社で開発するというイメージが強いのですが、Airレジに関しては、クレジットカード決済システムの「Square」や、クラウド会計ソフトの「freee」などの他社サービスと連携しており、珍しいケースだと感じています。

佐々木:それも新しい挑戦だと思っています。今までリクルートは自前で機能を作ってしまうことが多かったですが、スタートアップ企業では、イケてるサービスと連携することで、自らのサービスを拡大しているケースが多い。我々もやらない手はありません。
また、クラウドによって提携や連携が行いやすくなったことも今の流れだと思います。今後も、積極的に他のサービスとの連携を行っていきたいですね。また、使いやすいサービスを積極的に見つけて投資することも考えています。我々が自前で作りたいからサービスの進化が遅れて、便利にならないのでは本末転倒で、店舗が便利になることにつながるのであれば、便利なサービスを使うべきでしょう。

AirウォレットとAirレジを今後も普及させていく

大崎:Airレジを利用されるお客さまは、飲食店舗が中心というイメージが強いですが、その他の分野ではどのような分野に注力されているのでしょうか。

佐々木:飲食店の比率は、およそ半分です。新たなチャレンジとして、我々が接点を持っていない領域での活用も考えています。たとえば小売業態などに力を入れようとしていますね。
スモールビジネスを支援するということが当初の目的なので、個人的にはチェーン化していない領域がフィットすると考えています。雑貨屋やアパレルなどが大きなターゲットとなる気はしていますね。

大崎:Airレジの今後の課題について、どう考えられていますか。

佐々木:プロダクトの観点から言えば、前述のようにUXを磨いていくことが重要であるのは間違いありません。さまざまな業態の店舗に使っていただけるようになったため、より一層UXを磨く必要があると考えています。すべての業態の方々が満足するようなUXを迅速に提供することは非常に難しいのですが、UXを磨くということは、Airレジの特長でもあり、課題でもあるので、引き続き取り組んでいく必要があります。

大崎:Airレジは、今後のリクルートグループ全体の中核となり得るサービスだと感じています。
今日はありがとうございました。

 

プロフィール

  • Sasaki profile
    佐々木 康太朗
    株式会社リクルートライフスタイル

    1981年生まれ。2006年リクルート新卒入社後、じゃらんにて営業を経験。その後、宿泊施設向けのサービス・商品の企画開発に従事。
    2010年よりホットペッパーグルメ・ホットペッパービューティーのクライアント向けサービス企画開発を担当。サロン管理システム「サロンボード」のプロジェクトリーダーを経験。
    2013年より、Airレジプロジェクトを立上げ、現在に至る。プライベートでは、年数回の大規模イベントオーガナイズと、渋谷にある飲食店nossaを運営している。

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    大崎 孝太郎
    株式会社電通 ビジネス・クリエーション・センター事業開発室 スーパーバイザー

    広告会社、個人事業などを経て、2010年電通へ入社。
    デジタル領域における事業企画、サービス開発と運営、メディア企業との共同事業を主に手掛ける。
    得意分野はスタートアップ企業とのアライアンス構築と食と旅と社外ネットワーク。
    社内横断組織であるThink Pet Projectのメンバー。

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