Mi-Life Innovation 2025 #01

IoT = The 2nd Innovationの時代

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    井上 忠靖
    株式会社電通 データ・テクノロジー・センター

2020年に東京オリンピック・パラリンピックの開催が決まって以来、5~10年後の「未来」について議論する機会が急激に増えてきたように思います。本連載では、私たち電通マーケティングソリューション局のプロジェクト「Mi-Life Innovation(ミライフ イノベーション)2025」をご紹介しながら、テクノロジーの進化とLife Innovationを起点とした「未来の描き方」について問いかけていきたいと考えます。

 

未来シナリオに「テクノロジー」を織り込む難しさ

5年後や10年後という少し先の未来のことを考えるのは、想像力を刺激するちょっとワクワクするものであると同時に、それを具体的なシナリオにして表現することはとても難しいものです。特に難しいのが「テクノロジー」という要素をいかに織り込むか、だと私たちは考えています。

「未来」を創造するための著名なフレームワークの一つに「PEST分析」というものがあります。P(Politics、政治)、E(Economy、経済)、S(Society、社会)、T(Technology、技術) の4つの要素の頭文字を取って名付けられた分析手法であり、この分析を一度でもやってみるとわかるのですが、PESTの最初の3つ、つまりP(政治)、E(経済)、S(社会)は、ロジカルに項目を抽出していけば、ある程度網羅的に導き出すことができます。

しかし、最後の「テクノロジー」が一番やっかいで、どんな技術が出てきて、社会にどう影響を与えていくのか、影響力が大きい変数でありながら、予測する上でのぶれ幅がもっとも大きい変数でもあります。

一方で「テクノロジー」を起点に未来を描いていくと、どうしても今ある技術の延長線上からみえる「未来の生活シーン」にしかならないという悩みに直面しがちです。これは実際にテクノロジーの研究開発を行っている企業に共通する課題のようで、しばしば私たちのチームに相談が持ちかけられる背景ともなっているように思われます。

そこで、「テクノロジーの進化と普及」によって、私たちの生活に変化をもたらすものを「Life Innovation」と定義し、そのLife Innovationのコアをさぐりながら、2025年の生活シーンや新サービスを描いていこう、というのが私たちの「Mi-Life Innovation2025」プロジェクトです。

 

1st Life Innovationは「距離」の革命だった

近年私たちの生活に最も影響を与えたテクノロジーの一つが、「インターネット」の登場と普及であったことは、異論の少ないところだと思われます。ではそのインターネットが私たちにもたらしたLife Innovationのコアとはいったい何だったでしょうか。

それは「距離」であったと考えています。

携帯電話やスマートフォンが爆発的に普及したことで、メールやチャット、ソーシャルメディアなどの利用が一般化し、人と人の間の距離を無くしました。また、ネットショッピングが一般化したことで、人とお店の距離が無くなりました。そして、何よりネット上での情報の検索が一般化したことで、人と情報の距離が無くなった、ということも言えるでしょう。

言い換えると、インターネットの登場と普及によるこの20年間の1st Life Innovationとは「距離」をめぐる革命であったと思います。

 

2nd Life Innovationを促すキー・テクノロジー群

一方で、2014年頃から新しいテクノロジー・トレンドが台頭しつつあります。IoT(=Internet of Things)、つまりモバイルデバイスだけではなく、ありとあらゆるものがネットに接続されるという概念です。

米・ガートナー社の予測によると、IoT市場は今後5年で急速に拡大し、接続台数ベースでは2020年に250億台を突破すると見込まれています。
こうしたIoTというトレンドを踏まえながら、次の 2nd Life Innovationのコアを支えると予想される、注目のキー・テクノロジー群を確認してみましょう。

【IoT関連デバイスの普及予測】

Gartner (2014.11)を基に筆者作成

 

スマートウォッチ
CES(全米家電ショー)やMWC(世界最大のモバイル展示会)をはじめ世界のテクノロジー・ショーで今最も注目を集めている領域と言っても過言ではないでしょう。
スマートウォッチが普及していけば、人々がスマートフォンの画面に触れる時間から少し解放されるかもしれません。スケジュール、場所、天気、人間関係などと時間を紐付け、ユーザーに新たな行動を促す気付きを与える、いうなれば、見る(Watch)から気付き(Aware)へ転換させるウエアラブル端末が普及していく、そんな未来が待っているかもしれません。

 

クルマ
近年自動車メーカーがテクノロジー・ショーにおける一大勢力となりつつあります。
グローバル商品である自動車はこれまでスタードアローンでの商品性を堅持してきました。しかしクルマに通信モジュールを内蔵した「Connected Car」をベースに、クラウド連携とスマートフォン連携が新たな商品やサービスを作る手段となってきています。
特に今後通信ネットワークの高速化・高度化により、「自動運転」を含めた、ドライビングとネットワークテクノロジーの融合が大きな開発テーマとなっていきそうです。

 

認証・決済・センシング技術
ネットと人、モノと人の距離をなくすための、次世代ソリューションの研究開発も積極的に行われています。ナビゲーション、センシング技術、生体認証、そして決済等々…。
これらの技術が生活に定着するために必要な要素は何か、どのようなサービスや商品の“デザイン”が必要か、ということまで含めて考えていくことが問われる時代になっていくと思われます。

 

次回以降で、電通「Mi-Life Innovation2025」プロジェクトで作成した、約20の具体的な未来の生活シーンについてご紹介していきたいと考えています。
乞うご期待!

 


★「Mi-Life Innovation(ミライフ イノベーション)2025」とは?

IT利用実態を把握する「電通モバイルプロジェクト」を軸に、テクノロジー市場の創造から成長にいたる事業・マーケティング戦略提案に実績のあるメンバーで結成されたプロジェクト。メディア環境のデジタルシフトを消費者側のインサイトを徹底調査することで未来予測を行っている。

プロフィール

  • Inoue profile
    井上 忠靖
    株式会社電通 データ・テクノロジー・センター

    1998年、株式会社電通総研入社。1999年、企業合併に伴い株式会社電通に転籍。2013年6月より現職。
    通信・放送領域中心に、市場分析から事業戦略立案支援のコンサルティングを長年手掛ける。
    電通総研「情報メディア白書」責任編集(2000~2012)。主な受賞歴 JAAA第43回懸賞論文(2014)・銀賞受賞。

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