危機管理なくして、企業の成長なし
「企業危機管理力調査フォーラム」開催

電通パブリックリレーションズの企業広報戦略研究所と東京大学大学院情報学環総合防災情報研究センターは7月10日、「企業危機管理力調査フォーラム~企業の成長を後押しする危機管理に向けて~」を東京・文京区の東京大学・福武ホールで開催し、さまざまな業種の危機管理・広報担当者ら約120人が参加した。

セミナー風景

冒頭、企業広報戦略研究所の三浦健太郎所長があいさつし「経営層の中には、危機管理を単なるコストとみる向きもあるが、現実は違う。危機管理なくして、企業の成長はない」と、開催の意義を訴えた。

東大総合防災情報研究センターの関谷直也特任准教授は、今年3~4月に実施した「大規模災害時の災害対策とBCP(事業継続計画)に関する調査(速報版)」の結果概要を説明。東日本大震災後、平常時・緊急時とも、企業のリスク対策が強化されたことを指摘した。一方で帰宅困難者対策など「東日本大震災のイメージに引きずられている」ことに懸念を示し、都市部の火災など、想定される首都直下型地震の対策を一層強化すべきだと主張した。同センター長の田中淳教授も首都直下型地震について、避難民が350万人生じると指摘した上で、過去の災害と比べて「社会環境も変化しており、科学的想定には限界がある」と事前想定による対策の難しさを語った。

同研究所の北見幸一上席研究員は、今年2~3月に実施した「企業の危機管理に関する調査」結果の概要を報告した。同研究所の独自モデル「危機管理ペンタゴンモデル」のうち、強化すべき項目は「予見力」と分析し、「危機管理は社内の視点に偏りがちなので、生活者や顧客、ソーシャルメディア、社外有識者など外部による評価を取り入れることが必要」と提言した。

同研究所の青木浩一上席研究員は「組織においてリスクは絶対なくならない。企業は全組織的にリスク感度を高める必要がある」として、定期的・継続的に危機管理マニュアルの見直しやシミュレーショントレーニングの実施など危機管理体制の実効性をチェックすることが重要だと述べた。

企業の最前線の現場からは、ヤフー・社長室リスクマネジメント室の高元伸プリンシパルが「企業として、まず、生き残るということ。“次の展開がある”というのが最低限のリスク管理だ」と事業継続という側面から危機管理の基本的な考え方を示し、シミュレーショントレーニングの実例など具体的な取り組みについて解説した。

質疑応答での「どのようにしたら、危機管理に社外の評価を入れることができるのか」との質問に、北見上席研究員は「ある企業は、アドバイザリーボードという形で、違った視点で意見を言ってくれる弁護士や大学教授などの有識者を交えて運営している。メディアや専門家などがまとめたヒアリングリポートを経営層に定期的に報告している社もある」などと外部の専門家の活用例を示した。 

締めくくりのあいさつで、田中教授は「全社的なプッシュはあるものの、個々の局面では何をすればよいのか、どう解決すればよいのか、企業の防災担当者は孤立して悩んでいる」と話し、多くの企業の危機管理担当者が参加し、情報を共有した今回のフォーラムの意義を強調した。

参考:企業広報戦略研究所連載「鍛えよ、危機管理力。

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