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実践 インバウンド最前線No.2

こんなに違った!ひとくくりにできない、訪日観光客のお買い物実態

2015/08/12

ますます加速するインバウンドビジネス。本連載では、識者や電通のインバウンドビジネスソリューション開発チームがその現状を多角的に探り、明日へのヒントを紹介していきます。

3回目は、電通「トラベラーズ・ジャーニー」チームが実施したエリア別「訪日観光客のお買いもの調査」の結果をダイジェストでお伝えします。訪日観光客の消費実態を把握するため、中国・香港・台湾・韓国からの観光客の購入商品、購入場所、接触メディアを、エリア別に徹底調査。アジアからの観光客をひとくくりにしても見えてこなかった実態が浮き彫りになりました。

訪日外国人

お買い物リストを片手に、気合の入った爆買い旅行

中国からの訪問客は、団体ツアーや個人向けパッケージ旅行の利用が多いことが特徴。また、約半数の旅行者が初めての訪日旅行ということもあり、銀座や東京スカイツリーなど都内の有名スポットを多く訪れている。
日本での買い物支出額は調査対象の4カ国・エリアでトップとなり、1人当たり約27万円。買い物ランキングで目をひくのは、「カメラ・ビデオカメラ」が5割を超えていること。家電製品を何かしら購入した人は実に7割を超え、「あえて日本で購入する」旅行客の姿から、日本で買うこと(アットジャパン)に高い信頼性を寄せていることがうかがえる。
彼らの約10人に1人は日本での買い物支出額が50万円を超えている。この驚異的な数字を見ると、世間で騒がれる爆買いの存在もうなずける。

 



訪日外国人

旅慣れたリピーターだからこそ東京以外にも。
日本のカルチャーを消費する旅行スタイル

香港の訪日客は、個人手配の旅行が多く、 4人中3人は訪日リピーターである。また、訪日3回目以上となる旅行客も全体の半分を超え、いわば訪日の熟練者。アクセスの良さや複数回目の訪日であるということもあって、他の国・エリアに比べて関西や九州への訪問も多い。
日本での買い物支出額は、 1人当たり約11万円で、調査対象の4カ国・エリアの中で第2位(ただし、トップの中国のおよそ半分)。買い物ランキングで目をひくのは、「Tシャツ・カットソー」「靴」「靴下」「シャツ・ワイシャツ」とトップ10のうち4品目がファッションカテゴリーとなっていること。訪日客の半数が何かしらの衣服・靴を購入している。
頻繁に日本を訪れているため、大きな買い物というよりも、自分のためのちょっとした買い物を楽しんでいると考えられる。

 


訪日外国人

口コミで話題になったあの商品をお土産に。
みんなが知っているあのスポットもきっちり押さえる

団体ツアー客が約4割と調査対象の4カ国・エリアの中で最も高いが、訪日リピーターも多い台湾。また、家族・親族と日本を訪れるパターンが主流ということもあり、東京スカイツリーや浅草寺などの定番の観光地を多く巡っている。
日本での買い物支出額は、1人当たり約7万円と低い。そんな台湾訪日客の買い物ランキングの第1位は「お菓子」。台湾内でも人気の高い日本のお菓子を、訪日した際にも自分用やお土産として購入していると考えられる。
その他、「胃腸薬」「風邪薬」といった医薬品の購入も特徴的で、何らかの医薬品を購入した人は全体のおよそ6割に上る。医薬品は「訪日前から購入を決めていた」という場合が多く、その情報源のトップは口コミ。台湾内で日本の医薬品に対するポジティブな口コミが、多くなされていることがうかがえる。

 


訪日外国人

もはや日本は国内旅行?
気軽に買えるビールやお菓子をお土産に。

韓国は2回目以上の訪日リピーターが約7割に上り、その割合は香港に次いで高い。また、個人向けパッケージ旅行や個人手配が主流で全体の8割を占めている。訪日エリアは、新宿、渋谷、原宿といった東京の定番スポットの他、アクセスの関係もあり九州も高い。
買い物支出額は1人当たり約9万円で、彼らが好んで購入しているものは「ビール」。およそ2人に1人が購入しており、他の調査エリアに比べて圧倒的に高い(ビールカテゴリーの第2位は、台湾で29.8%)。 この背景には、ここ数年の韓国国内での「日本ビール人気」があり、本場の味をリーズナブルに楽しめるということで、訪日の際の購入アイテムとして人気を博していると想定される。 その他「ボールペン」などの文房具の購入も目立っており、約半数が何かしらの文房具を購入しているというスコアは、調査対象の4カ国・エリアの中でトップとなっている。

 

<訪日観光客のお買い物調査 概要>
・目的:訪日観光客の購入商品、購入場所、接触メディアなど「お買い物」全般に関する消費活動の実態を把握する
・対象エリア:東アジア5エリア(北京、上海、香港、台湾、韓国)
・調査手法:インターネット調査
・対象者条件:20~59歳男女で、「直近1年以内の日本旅行者」かつ「訪日目的がビジネス以外の人」
・サンプル数:エリアごとに400ss、計2,000ss
・調査期間:2015年3月10日(火)~18日(水)

「トラベラーズ・ジャーニー」チームより
今回の調査結果から、訪日経験や旅行目的の違いから生じる「各エリアごとの訪日旅行の楽しみ方」が見えてきました。
日本での買い物に関しては、事前に購入する商品を決めている割合も高く、爆買いを捉えるためには、訪日前にアプローチをしていくことも重要な要素であるといえます。