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実践 インバウンド最前線No.3

平均購入金額100万円の超・爆買い層
“ミリオンショッパー”から見る、
「爆買い・ウワサの真偽。」

2015/09/18

前回は中国、台湾、香港、韓国からの訪日観光客について、エリアごとの違いに注目し、それぞれの買い物での特徴を明らかにしてきた。
4 エリアの中で最も買い物支出額が大きかったのが中国で、1人当たり平均約27万円。我々はさらに、その2倍近い50万円以上を一度の訪日で使う観光客 の存在に注目した。結果は、下記の表の通り。予測されたことだが、中国の比率の高さが際立っている。

今回はそんな中国に焦点を当て、この11%、すなわち「1度の訪日で50万円以上を消費している人々」 の特徴を詳しく見てみることにする。分析の前に、ひとつ驚きの事実をお伝えしたい。 それは、1回の訪日当たりの彼らの平均消費金額が、およそ100万(98万718円)にも上るということ。 しかも、この金額には航空券や宿泊費などが含まれておらず、まさに買い物に使うお金である。

我々は、爆買いを牽引する彼らをミリオンショッパーと名付け、その実態に迫った。

中国人 ミリオンショッパーのすがた

特徴① 世界を飛び回る国際派

ミリオンショッパーは海外旅行の経験が豊富で、海外旅行回数9回以上の層が41%(中国人訪日観光客全体では24.5%)。また、過去海外旅行をした国は平均で14.4カ国(中国人訪日観光客全体では11.6カ国)。オーストラリアやイギリス、イタリアなど、欧米を中心に積極的に海外旅行に出掛けていることが分かる。

特徴② 30代が過半数

そんなミリオンショッパーは、実は男女30代がそれぞれ26.1%と最も割合が高い。海外旅行でお金を自由に使うことができる層が多くこの世代に多く存在していることがうかがえる。

 

特徴③ 良いものは良い!わが道をゆく個性派

ミリオンショッパーが持つ意識・価値観の特徴を見ると、旺盛な消費欲求とともに、自分のこだわりを持つリーダータイプであることがわかる。日本に対するイメージは、批判的というよりも、伝統や文化、技術の高さなどを素直に評価している。オピニオンリーダーとして、良いものは良い、という視点を持ち、周囲にその情報を発信する。海外の文化を柔軟に受け入れ、自分の価値観を大切にするバーリンホウ(80后=1980年代生まれの若者)の特徴に当てはまるのかもしれない。

“爆買い”のウワサの真偽

ここからは、爆買いを牽引するミリオンショッパーはの行動をもとに、世間でよく言われる爆買いのウワサの真偽について見ていくことにする。

“爆買いのウワサ”その1

ミリオンショッパーのなんと9割が家電製品・AV機器を購入しています。
中でも人気なのが、ビデオカメラ、スマートフォン。また、空気清浄機、浄水器など、環境汚染に関連した商品もヒットしている。

“爆買いのウワサ”その2

ミリオンショッパーのヘルスケア・化粧品の平均購入金額は、なんと13万2000円
平均して、5個以上の化粧品を購入しています。購入の場所は、デパート、ドラッグストア、空港の免税店が3大スポットとなっており、商品の指名買いも多くなっています。

“爆買いのウワサ”その3

ミリオンショッパーの訪日目的で、ショッピングは、第2位。
ショッピングは大きな動機のひとつですが、日本の食事、温泉、テーマパークや自然体験など、幅広い日本の魅力を楽しみに訪れていることが分かります。


<訪日観光客のお買い物調査 概要>
・目的:訪日観光客の購入商品、購入場所、接触メディアなど「お買い物」全般に関する消費活動の実態を把握する
・対象エリア:東アジア5エリア(北京、上海、香港、台湾、韓国)

・調査手法:インターネット調査
・対象者条件:20~59歳男女で、「直近1年以内の日本旅行者」かつ「訪日目的がビジネス以外の人」
・サンプル数:エリアごとに400ss、計2,000ss、うち中国ミリオン ショッパー 92n
・調査期間:2015年3月10日(火)~18日(水)

「トラベラーズ・ジャーニー」チームより
今回は、中国本土からの訪日旅行者のなかでも特に消費の多い層、「ミリオンショッパー」にフォーカスすることで、爆買いの中心に迫ってみました。インフルエンサーとしての彼らに着目していくことが、次のインバウンド消費のムーブメントを捉えるヒントになるかもしれません。