ワカモンのすべて #46

若者の旅行離れ?コンセプトを大事にする若者の旅がオモシロイ。

  • 髙田 真理
    株式会社電通 関西支社 マーケティング・クリエーティブセンター プランナー

 

「時間がふんだんにある大学生の間に旅をしておけ」
ほとんどの人が言ったり言われたりした経験がありませんか?

そんな大学生の約2カ月の夏休みも終盤に差し掛かりました。
いまどき大学生はどんな旅をしているのでしょうか。

電通若者まるわかり調査2015では、「好きなこと 国内旅行」と答えた大学生は34.5%と68項目中9位(大学生女子では42.8% 8位)。
他の項目と比べても、大学生の好きなことランキングで「旅」は上位に挙がってきます。

国内旅行にかける金額は10万1846円/年、海外旅行に掛ける金額は29万843円/年と消費金額別に見た“ハマっていることランキング”では1位。大学生が1カ月に自由に使えるお金の平均金額が3万6514円という中、旅に掛ける金額は高い傾向がうかがえます。
大学時代は、夏になると体がうずうずしていた旅好き筆者が、最近の若者の旅事情をひもときました。

 

目的なき風来坊の旅はNG!今しかできない“コンセプトのある旅” を

今回は、大学3~4年生の男女4人に夏休みの旅行計画について聞いてみました。
すると、予想に反してこんな答えが返ってきました。

「ボランティアで海外には行くのですが、純粋な遊びだけの旅という感じじゃないですね」(大学3年生女子A) 

「僕も企業インターン合宿やサークルの合宿がありますが、それも旅行にカウントするとこの夏休みに3回くらい行きます」(大学4年生男子B)

話を聞いていくと、「ただ遊びだけの旅」というのは、あるにはあるようですが、合宿やインターンが半分くらいを占めているとのこと。
いわゆる風来坊の旅というのは少数派で、「目的やコンセプト」がはっきりしている旅行の方が多いそうです。具体的にどんな旅をしたのか聞いてみると、旅の内容はさまざま。

「この前、男だけで“ラストサマーバケーション”というコンセプトで、奈良県十津川村に行ってきました。学生だからあまりお金を掛ける旅はできないですが、今しかできないバカなことをしたり、いい感じの動画を撮ったりしました。動画を撮るというのも旅の目的の一つで、川に飛び込むシーンとか、旅のハイライトを編集してSNSにアップしました」(大学4年生男子C)

「私はサークルの合宿で“沖縄大運動会 社会貢献”というタイトルの旅行をしました。沖縄のビーチで運動会をして、その後、みんなで周辺地域のごみ拾いをしました。 
ただ旅行をするだけじゃなくて、ボランティアをして帰ることで、より一層深い思い出になりました」(大学3年生女子D)

他にも、筆者が学生時代に所属していた京都の大学生英語ガイドサークルの学生(メンバーの大半が旅好き)に話を聞くと、

「東海道五十三次53泊の旅」(東海道五十三次のかつての宿場町をたどりながら、出会った方のお手伝いをする代わりに泊めてもらう旅)
「草間彌生に溶ける旅」(水玉の服を着て草間彌生の作品や育った街を見に行く)
「各国の政治や国際観を地元住民に尋ねる旅」
「駅寝の旅」(田舎の無人駅に野宿する旅)
「着物で奥の細道旅」
と自分の興味関心に応じて自分でさまざまなコンセプトを設定し旅をしたとのこと。

話をしている中で、日々の授業やサークル、バイトなどに追われる中で、せっかくお金と時間を割いて旅をするならば、「自分なりの目的やコンセプトを持って旅したい」という意識が強いように感じました。

また、ユニークなコンセプトもさることながら、それぞれの旅に具体的な「タイトル」がついていることにお気付きでしょうか。
「沖縄旅行」「アート巡り」という漠然としてタイトルではなく、「沖縄大運動会 社会貢献」「草間彌生に溶ける旅」など具体的に行った先で何をするかが分かる旅のタイトルをつけているのが特徴的です。

イラスト:小島洋介(電通 第4CRプランニング局)

 

電通若者研究部では、旅に限らず若者の消費の特徴として「リーズナブル消費」という傾向があるのではないかと分析しています。
「リーズナブル消費」とは、「安い」という意味でのリーズナブルではなく、自分がお金や時間を費やす「リーズン」(理由)があるものに消費をするということ。
つまり、若者の行動を揺り動かすには、ただ安いというだけではなく、お金や時間を費やす価値があると思う動機や対価が必要だということです。

「目的やコンセプトのある旅」を計画し、さらに旅について語ることのできる「旅のタイトル」をつけることの根底には、この「リーズナブル消費」意識が働いているのではないかと思われます。
旅のコンセプトを決め、ネーミングすることで、旅をすることの「リーズン」(理由)が可視化され、自分の中での消費すること、行動を起こすことへの納得感が高まるのではないでしょうか。

また、キャッチーな旅のタイトルを付けることで、旅先でも一緒に行く仲間の中での“内輪感”が刺激され気持ちが盛り上がること、旅の最中や後には、SNSや友人との会話でネタにしやすく、コミュニケーションにも役立つこと、さらには旅を通じて自分のアイデンティティーを発信できる、といったさまざまな形で2倍も3倍も旅を味わえるというメリットがあるようです。

 

まとめサイトやSNSを駆使して「生の声」を収集

自分らしいコンセプトのある旅を作り上げている若者ですが、どのようにして情報収集をしているのでしょうか。
話を聞いていくと、目的に応じて、さまざまな情報源を使い分けています。
まず旅先の全体像を把握するために雑誌の他、キュレーション系の「まとめサイト」を活用しています。

「僕はまず、まとめサイトで“絶対行くべき観光スポット”や“食事どころ”などを調べますね。概要が分かりやすくまとまっていて、初めに見るのに最適です」(大学4年生男子B)

「まとめサイトやウェブの記事はRT(リツイート)数や、ふぁぼ(お気に入り)数でみんなの共感度が分かるから、その評価も見て参考にしますね」(大学4年生男子C)

さらに詳細を知りたい場合は、公式サイトや口コミサイト、比較サイト、個人ブログ、SNSなどを通じて情報を収集します。
個人ブログサイトやSNSを活用する際には、検索や投稿のコツがあるようです。

「韓国旅行に行くときはブログサイトで“韓国 女子旅”と検索をして調べます。同じくらいの年代の人が旅のスケジュールやおすすめポイントについてリアルに書いているページも多いので、実際のスケジュールの参考にしやすいです」(大学3年生女子A)

「僕はSNSで“名古屋に行ったことある人、出身の人、おすすめのおいしいお店を教えて!”と書き込み、教えてもらいます。やっぱり、現地に住んでいたり、行ったことがある人が一番良さを知ってますからね。『生の声』を聞くと、確実で失敗がないですね」(大学4年生男子C)

さらに、前述の大学生英語ガイドサークルのメンバーの中では、世界中の旅行先で無料で自宅に泊めてくれる人と旅人をマッチングするサイトを利用して、現地の人と話をしたり、おすすめの場所を教えてもらったりしながら何カ月も旅をするスタイルも人気といいます。現地のリアルな日常生活や、地元の人の本音が聞けることがだいご味だそうです。

電通若者まるわかり調査2015では、大学生の消費意向が高まるものとしては、「身近でそのジャンルに詳しい友人が教えてくれるもの」と答えた人が72.0%で1位という結果でした。

さまざまな情報源、あふれるほどの情報量がある中、いまどき大学生にとっては、口コミサイト、趣味嗜好が近い人のブログやSNSなどのツールを駆使して「リアル」で「生の声」に近い信用できる情報を収集することが大事なようです。
こうして、自分らしいコンセプトのある旅をカスタマイズし、充実させているのです。

あなたのまわりの若者はどんな若者ですか?

 

プロフィール

  • 髙田 真理
    株式会社電通 関西支社 マーケティング・クリエーティブセンター プランナー

    2012年電通入社。プランナーとして広告・事業戦略の立案に従事。
    10~20代の若者を対象にしたプロジェクト「若者研究部(電通ワカモン)」の他、女子目線で地域活性化をプランニングする「GAL LABO@」にも所属。
    学生時代は京都の旅人を英語で案内する活動に打ち込み、自身も大の旅好き。

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