ワカモンのすべて #45

大学生の高頻出単語「うぇーい」の謎

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    西井 美保子
    株式会社電通 ビジネス・クリエーション・センター チーフプランナー

 

前回の記事で、イマドキの若者の仲間意識は「ほどよく狭く、ほどよく深い関係を複数持つ」ことが大事であると、紹介しました。
そんなほどよい内輪の関係の中で、若者たちはどんな会話をしているのか。
今回は、調査やヒアリングの中から少しのぞいてみましょう。

 

ほどよく内輪を深める方法は、内輪語

「それな」 (「確かに」「そうだね」「その通り」の意)
「あーね」 (「あーなるほどね」「あーそうだね」の意)
「わんちゃん」(「可能性は低いが、ゼロではない」の意)

これらのように、若者、特に大学生の流行ワードには“内輪感”を強く感じさせるものが目立ちます。その流行ワードが定番になる場合もあります。
それらの多くは、初めはどこかの小さな内輪で使われたのが起源で、内輪感を深める内輪語(内輪の中でしか通じない共通語)として生まれているようです。

「それな、の活用形として、うちらのサークルでは“それまる”って言います」(20歳男子大学生)

「それな、はもう言うのが恥ずかしい。でも、なぜか相づちとして“それくん”っていうのが同じ意味で浸透してる。」(21歳女子大学生)

若者の中で定番となった内輪語は、違う内輪では更に内輪感が出るようにカスタマイズされ、お互い使い合うことで、一体感を高め、仲を深めてくれているようです。

 

内輪の一体感を作る「テンションの同調」

狭過ぎず、広過ぎず。深過ぎず、浅過ぎない。
そんなバランス感覚の優れた若者たちの中で、内輪語と同じくらい重要になるのが「テンションの同調」。

テンションが高すぎないようにコントロールしながらも、その内輪なりのテンションで盛り上がっているということを伝えることで、周りとの協調を図る習慣が存在しているようです。

「わーい」「よっしゃー!」「いえーい」などのハイテンションでもなく、かといって「…(しーん)」というノーリアクションではダメ。そのために生まれたテンションの調整ワードがずばり… “うぇーい”。
使い方は無限にありますが、基本的には反射的な相づちやあおり・突っ込みのたぐいが多い模様。

イラスト:小島洋介(電通 第4CRプランニング局)

 

例えば、 友達に会った時にあいさつとして、「うぇーい」と言っている学生にも遭遇したことがあります。
さらに、“うぇいうぇいしたい!”と言ったように、テンションが上がるようなことをしたいときに二つ重ねて使ったりして、活用方法は無限にあるようです。

 

“うぇーい”で若者の内輪感を捉える。

「いやいや、“うぇーい”的なものは団体によって表現の仕方が違うよ」
実は、若者全体の定番ワードとは別に、サークルのカテゴリーなどもっと細かなセグメントによっても、使われる動作・言葉、習慣が違います。

例えば、バンドサークルでは「エモい(エモーショナルだね!)」「ジャムる(即興演奏をする)」と言ったり、ダンスサークルでは「手のひらを平行に振る行為=見ていて楽しいよ!を伝えるしぐさ」だったりします。

そのカテゴリ-の界隈でしか分からない言葉や動作があることで、小さな内輪が重なって、大きな群れとしてのカテゴリーが形成されています。

このように、団体人格は、言葉やしぐさにも大きく影響することが分かります。「内輪」の感覚が広まって定番に、それが再びカスタマイズされ新たな内輪語に…。
今の若者を捉えるには、それぞれの“内輪感”をリアルで見ることも必要です。

そこで、最近、電通若者研究部が着目したのは、ファッションサークル。
8月1日、就活面接解禁日にファッションブランドWEGOと電通若者研究部の協働プロジェクト「NIPPON YOUTH STUDIO」が主催し、関東のファッションサークル8団体によるハッカソン「Clothes Hack TOKYO」が行われました。

Clothes Hack TOKYO 当日の集合写真

「就活スタイルの常識を、覆せ。」をテーマに、現在では当たり前になっている就活用スーツをリメークし、新たな就活スタイルづくり、就活というフォーマットを見つめ直すということに挑戦しました。

このイベントには、首都圏の大学ファッションサークル以外にも、審査員として今回のテーマに共感いただいた企業などが集まり、ファッションを通じて世の中にメッセージを発信したイベントになりました。

ファッションサークルの学生と関わる中で見えてきた共通の“内輪感”というと、褒めるにしろ、けなすにしろ、いずれにおいても服装や髪形・スタイリングについて話す際、「リアルクローズっぽい(普段着っぽい)」という言葉を使うということ。

今回のイベントでは、就活スーツを切り刻み個性を表現し、新たな就活スタイルを創りだすことで、リアルクローズ、つまりファッションサークルの彼らにとっての“うぇーい”を刺激できたイベントとなりました。

ちなみにショー前に学生が、「いつも本番前に安全ピンのありがたさに気付くんですよ。(20歳女子専門学校生)」と言っているのに対し、周りは「わかるわかる~!」と盛り上がっていました。言葉やテンションの同調以外にも、“サークルあるある”も存在し、内輪でさらに共感・同調しているようです。

前回も、お伝えしたように、こうした価値観・団体人格をつかむことは、これからのマーケティングにとって、必要な視点になってくるでしょう。
その人格をつかむためにも、内輪で使われる言葉や、テンションなどに目を向けてみることが大事ですね。

 

【ワカモンプロフィール】

電通若者研究部(通称:ワカモン)は、高校生・大学生を中心にした若者のリアルな実態・マインドと 向き合い、彼らの“今”から、半歩先の未来を明るく活性化するヒントを探るプランニングチームです。彼らのインサイトからこれからの未来を予見し、若者と 社会がよりよい関係を築けるような新ビジネスを実現しています。現在プロジェクトメンバーは、東京本社・関西支社・中部支社に計14名所属しています。ワカモンFacebookページでも情報発信中(https://www.facebook.com/wakamon.dentsu)。

 

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