Dentsu Design Talk #04

角田陽一郎×中村洋基×朴正義×澤本嘉光
「明日のテレビをつくる」会議!(後編)

  • Kakuta
    角田 陽一郎
    株式会社TBSテレビ TBSテレビ プロデューサー/ディレクター/映画監督
  • Hiroki
    中村 洋基
    PARTY クリエーティブディレクター/ファウンダー
  • Boku
    朴 正義
    株式会社バスキュール 代表取締役/クリエーティブディレクター
  • Sawamoto2015 3884 pr
    澤本 嘉光
    株式会社電通 CDC エグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクター/CMプランナー

Dentsu Design Talk vol.96 (2013年3月5日実施)

「明日のテレビをつくる」会議!(後編)

 

前回に引き続き、TBSテレビの角田陽一郎氏、デジタル技術を活用したクリエーティブを得意とするPARTYの中村洋基氏、インタラクティブ番組を実現する表現開発を牽引 するバスキュール社長の朴正義氏、CMプランナー・クリエーティブディレクターの澤本嘉光氏(電通コミュニケーション・デザイン・センター)の4人が「明日のテレビ」についてトークを繰り広げた。

(企画プロデュース:電通人事局・金原亜紀   記事編集:菅付事務所    構成協力:小林英治)

 

   

 「テレビとスマホ」を活用したインタラクティブの試みについて、バスキュール社長の朴氏は、「現状はテレビのネットへの接続率が低いので、普及しているスマホを利用する流れになっているのにすぎないのではないか」と考える。「テレビがニコニコ動画やYouTube、ソーシャルゲームなどすべて画面に流れるハブのデバイスになれば面白いし便利なはず。、そのように目標を立て、未来のテレビをどうつくるのか?とデバイス側の創造から考えてみることも必要」と指摘した。

 

また、テレビCMのプランナーという立場からは澤本氏が、スマホが番組の画面に頻繁に出てくることに抵抗感を持つ人もいるのではないかという疑問が提起され、「スマホと一体化しないと成立しない番組とは別に、既存の番組を楽しんでいる視聴者も大事にしていくことが重要」と語った。角田氏は、「かつては例えば『月9ドラマを見なきゃ』と思わせるような『魔法の力』がテレビにはあった。最近のテレビが面白くなくなったのは(魔法のタネ明かしが事前にネット等で見られて)この魔法がかからなくなったせい」で、「魔法をかけるためには毎週リアルタイムで見たくなるような本当に面白いコンテンツをつくればいいとも言えるわけで、逆にこれから本当のプロの制作者の時代がやってくるのではないか」と予測。テレビの魅力の低下について中村氏は、「テレビを見ることは日常の中に非日常をつくることだと思うが、今は逆に非日常がコモディティ(日用品)化しているのではないか。視聴率が取れる方法論に添ってクレームのない番組が生まれたとしても、ドキドキや冒険がない番組は結局失敗なのではないか」と現在の番組制作の在り方に疑問を呈した。そして、「生放送のリアルタイム性にはドキドキがある。インタラクティブなツールを用いて、その感激を生み出すことができないかと、もがいているのがここ半年くらいの状況」と自らの試みを位置づけた。

 

テレビでこのような実験的な試みが実現しにくい大きな理由には、マネタイズの問題がある。澤本氏は「インタラクティブな番組の楽しみ方は視聴者を生視聴者だけに限定することになる。それは放送局側にはリスクではないか」と問いかけ、角田氏は個人的な意見としながらも、「視聴率というのは、良くも悪くも広告代理店がつくった20世紀型システムであり、それをどう21世紀型に変えていくかが課題だ」と述べ、「テレビ局がデジタルやインタラクティブの方向を推し進めるためには、広告代理店やクライアントと共に未来を拓く共通認識が必要」と主張。また、視聴率にとらわれない番組制作として現在手がける、スポンサーを番組独自で募るトークバラエティ『オトナの!』を紹介。同番組では、番組のフェスを赤坂BLITZで開催し、観客のチケット収入を制作費にあてる形で行った。

 

また、中村氏はPARTYが手がける「リアル脱出ゲーム」のオンライン版を紹介しながら、「コンテンツそのものでマネタイズできる仕組みを考え、それをテレビという巨大な箱でブロードキャストすることによって参加者が1万人から100万人に増えるような番組ができれば、クライアントからお金を得なくてもできる」と提案。朴氏は、「実際にチケットを買って行く人と、テレビを見ている人の中間に、300円くらいで参加して見ているだけよりは少し面白いというような、既存の広告にはない新しいモデルを生み出していく必要もある」と述べた。

 

さまざまな議論が交わされたが、重要なのはテレビの中に「参加する」という体験をどうつくっていくかにあるようだ。角田氏は「ライブでも赤坂BLITZなら1,200人、国立競技場なら7万人ですが、リアルタイムで視聴者がテレビのエンタテインメントに参加できれば1,000万人、1億人参加の可能性もある。そのような参加感をテレビがどうつくれるかが鍵」と語った。最新の制作実験事例を通じてテレビの今後の可能性を予感させながら、熱のこもったセッションは締めくくられた。

プロフィール

  • Kakuta
    角田 陽一郎
    株式会社TBSテレビ TBSテレビ プロデューサー/ディレクター/映画監督

    1994年TBSテレビ入社以来、主にバラエティ番組の企画制作を手がける。現在は、いとうせいこう/ユースケ・サンタマリアMCの深夜トーク番組「オトナの!」プロデューサー。今年10月には初映画監督作品「げんげ」公開。
    過去の主な番組 「さんまのスーパーからくりTV」「中居正広の金曜日のスマたちへ」「EXILE魂」深夜ミニドラマ「永沢君」

  • Hiroki
    中村 洋基
    PARTY クリエーティブディレクター/ファウンダー

    電通に入社後、初期はバナー広告で大量の作品をつくっていたが、その後、インタラクティブキャンペーンを主として手掛けるテクニカルディレクターとして活躍。
    2011年、4人のメンバーとともにPARTYを設立。
    人と人とのコミュニケーションに「遊びのルール・しくみ」をひとつ足すことで、単なる日常がエンターテインメントに変わる、という手法に興味を持つ。エンジニア出身であることから、プログラミングやデータが持つ面白さと、SNSなどのコミュニケーションを利用したアイデアを組み合わせてつくる、新しいエンターテインメントを模索している。国内外250以上の広告賞の受賞歴があり、審査員歴も多数。TOKYO FMのラジオ「澤本・権八のすぐに終わりますから。」毎週ゲストパーソナリティー。

  • Boku
    朴 正義
    株式会社バスキュール 代表取締役/クリエーティブディレクター

    株式会社HAROiD チーフクリエーティブオフィサー。
    2000 年にバスキュールを設立後、15 年にわたりトヨタ、コカ・コーラ、ユニリーバ、ソニー、パナソニック、ポケモン、JRAなど、 数多くの企業やブランドのデジタルプロモーションの企画ディレクションを担当。これまでに担当した100以上のプロジェクトで、カンヌ、クリオ、One Show、ADC、Adfest、文化庁メディア芸術祭など、国内外のクリエーティブ賞を受賞。
    ここ数年は、テレビ×ネットという領域で多くのチャレンジを行うとともに、既存の枠を飛び越える次世代クリエーターの育成活動であるBAPAに注力している。

  • Sawamoto2015 3884 pr
    澤本 嘉光
    株式会社電通 CDC エグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクター/CMプランナー

    1966年、長崎市生まれ。1990年、東京大学文学部国文科卒業、電通に入社。ソフトバンクモバイル「ホワイト家族」、東京ガス「ガス・パッ・ チョ!」、中央酪農会議「牛乳に相談だ。」、読売新聞など、次々と話題のテレビCMを制作している。著書に小説「おとうさんは同級生」、小説「犬と私の 10の約束」(ペンネーム=サイトウアカリ。映画脚本も担当。)映画「ジャッジ!」の原作脚本。クリエイター・オブ・ ザ・イヤー(2000年、06年、08年)、カンヌ国際広告祭銀賞・銅賞、ADFEST(アジア太平洋広告祭)グランプリ、クリオ賞金賞・銀賞、TCC賞 グランプリ、ACCグランプリなど受賞多数。

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