電通スマプラ #21

スマホでモノを売る鍵は「セルフ納得買い」にあり!?

こんにちは、電通スマプラの世津です。前回、大学生の皆さんにスマホ世代ならではの、興味深い買い物の仕方について教えてもらいました。それをふまえ今回は、スマホユーザーに対して調査を行い、情報接触から購買までのプロセスを追跡するために、彼らの行動をつぶさに観察しながら、個別にインタビューを行いました。そこから見えてきたスマホユーザーならではの消費行動について、ご紹介したいと思います。


【調査の概要】
対象:20代後半~30代前半の男女5名。詳細な属性は以下
 ・会社員
 
・スマートフォン使用者
 
・過去1か月以内に生活必需品以外の買い物をしており、かつ今後1か月以内に購入意向のある商品がある
 
・自由に使えるお金が月平均で3万~5万円
目的:スマホ時代の人たちが「どこでどういう情報に触れて興味を持って商品をほしくなるのか」を明らかにすること
方法:簡易なデジタルエスノグラフィー調査として①日記調査、②スマホログ調査、③プチデプスインタビューを実施。


スマホユーザーならではのモノの買い方=「セルフ納得買い」

商品購買に至るまでにスマホで接触した情報の順番や内容について調べたところ、大きな共通点が見えてきました。調査対象の全員が、欲しいという気持ちが生まれてから購入まで、ある程度時間をかけて情報収集し、「買う」という選択に対する納得度を高めていっていました。(下図はイメージ)

彼らを購買に駆り立てる要素として、第三者目線の口コミ(レビュー)が大事であることは今さら新しい指摘ではないでしょう。大事なのは、口コミがポジティブなものであるよりも、自分がどれくらい情報を確かめて納得したかという、「プロセスそのもの」だということです。「ほしい」から「買う」までの間にどれだけ自分を納得させられるか、いわば「セルフ納得買い」という買い方になっています。

実際に調査でも、こんな声が上がってきました。

「(手軽に情報収集できるので)スマホがあるから後悔しないで済んでいる買い物があるように感じる。より買い物に確信と自信が生まれていると思う。」

「(ものを買うために、裏付けとなる情報量をみて)価値を考える。何%に達したら…という具体的な数値はないが「うん、これはいいものだろう」と自分の中である程度信頼し、自信が持てるところに達したら「買う」という感じ」

Instant × Mixed For Me =「セルフ納得買い」が生まれる!?

私たちはスマホを通して、受け取る情報の確からしさや量を都度確認しながら、自分の「ほしい」という気持ちを確かめるような消費行動をします。これがスマホに特徴的なプロセスであり、この過程をクリアして自分の気持ちに納得=肯定した先で、購買行動のスイッチが押される、つまり「セルフ納得買い」が発生するというわけです。そして、この「セルフ納得買い」を支える大事な要素としてヒントになりそうなスマホの特徴について、あらためて考えてみました。

特徴その1:Instant

イラスト:坂川 南(電通 第5CRプランニング局)

暇つぶしでスマホをアンロックしたあと、惰性でアプリを開き、高速でSNSのタイムラインやキュレーションアプリの記事をスクロールしている姿は、多くのスマホユーザーにとって日常的なものになったと思います。情報接触のスピードが加速し、思考プロセスの単純化が起きています。買う/買わないの判断を早く下したいという気持ちが、さらなる情報検索につながっていきます。

特徴その2:Mixed

イラスト:坂川 南(電通 第5CRプランニング局)

スマホは、手の中に納まるほどのサイズなのに、スクリーン所狭しと会話から広告、エフェクト、テキストや画像まで、さまざまな様態のコミュニケーションが混在している状態です。この状態が私たちの目や頭をさらに忙しくさせ、目先の判断を促し、次の行動をとるよう駆り立てていくのです。

特徴その3:For Me

イラスト:坂川 南(電通 第5CRプランニング局)

スマホは通話やメール、写真撮影や録画といった機能を兼ね揃えています。自分の行動や気持ちの動きが記録できてしまうように、物理的にも接触する内容的にも究極にパーソナルなデバイスです。ただの端末機器としてではなく、「わたしのための情報を運んでくれるはず」「分かってくれている」存在として無意識のうちに捉えています。(世津)

「セルフ納得買い」をめざして

ここからは電通スマプラの杉原が考察していきます。「セルフ納得買い」はスマホ世代にとってより一般的なモノの買い方になっていくでしょう。これを意図的に仕掛けるために、スマホユーザーたちをどのように動かしていけばいいのでしょうか。もちろん、商品やサービスのカテゴリー特性にもよりますが、大きくは上に挙げたInstant、Mixed、For Meの3つの要素をつくり出していくことが重要です。例えば、より納得できる買い物として印象付けるために、導線のつくり方や視覚上の工夫、あるいはレコメンド機能をよりパーソナルな形にして見せてるなど、さまざまなアイデアがここから生み出されそうです。

「カートに入れる」と「口コミを見る」をワンステップにする機能 イラスト:坂川 南(電通 第5CRプランニング局)
触れた情報に応じて変化する「納得度」可視化機能 イラスト:坂川 南(電通 第5CRプランニング局)
自分向けと感じられるコンシェルジュ的なレコメンド機能 イラスト:坂川 南(電通 第5CRプランニング局)

そして、Instant、Mixed、For Meという特徴を持ったスマホコミュニケーションがもたらした最大の変化として、私たちの情報の読み取り方が変化してきたということが言えると思います。これは第一回目の連載記事の内容にも関連してきます。スピードの向上、混沌とした内容、そして個人的なバイアスがある中、もはや情報を一つ一つ丁寧に認識して解釈を加えるというよりも、刹那的な情報接触が行われており、それは読むとか、視聴するというよりも、「スキャン」(まさに、まるでプリンタのように)することに近い行為ではないでしょうか。

今回は「スマホ時代の人たちが、どこでどういう情報に触れて商品に興味を持ち、ほしくなるのか」ということを、私たちは簡易なデジタルエスノグラフィー調査を行いました。具体的には、冒頭で紹介した①日記調査、②スマホログ調査、③プチデプスインタビューを組み合わせ、単なるウェブアンケートやグループインタビューでは浮かび上がってこない、本人でも記憶できないような動き(情報接触の細かいプロセス)が見えてくるという点で、今後実際のセールスプロモーションの施策策定でもこうした手法がより注目されるだろうと感じました。

シンプルな仮説検証だけでなく、実際の気持ちと行動の双方を捉えるためには、こうした調査(特にログデータ、意識変容、生声の分析を一貫して行うもの)の担う役割がおおきくなっていきそうです。

次回はスマホ世代ならではの情報接触の仕方「スキャン」を切り口に、スマホ世代の消費欲求をプロセスとして俯瞰することにチャレンジしたいと思います。どうぞお楽しみに!(杉原)

 

プロフィール

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    世津 洋子
    株式会社電通デジタル

    2011年電通入社。16年から電通デジタル。ストラテジックプランナーとして自動車や製薬、食品、レジャー、玩具など様々な業界のクライアントを担当。ターゲットの心を動かし、売りにつなげられることを第一に、メディアニュートラルなコミュニケーション戦略をデザインしている。

  • Sugihara.jpg
    杉原 美穂
    株式会社電通 マーケティングソリューション局

    2013年入社。国内外の企業・マーケットにおいて、新商品開発からキャンペーンプランニング、及びブランディング案件を担当。「電通スマプラ」に所属し、スマホを使った消費行動及び、instagramの知見開発に取り組む。

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