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JOC竹田会長インタビュー「2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて」第2回

2013/11/20

2020年大会のグランドデザインを語る
「2度目ならではのムーブメントを」 第2回

オリンピックの原点を見詰め直す

―東京大会のグランドデザインといいますか、今、竹田会長の胸にあるイメージをお聞かせ願えますか?

竹田 やはり、2度目の開催ですから、2度目ならではの大会にすることができればと考えています。1964年の東京大会は、すべてがチャレンジでした。今度はその経験を生かし、これからのオリンピックのモデルになるものにしたい。例えば、「オリンピックの原点」を見詰め直すというのも、重要なことではないかと思います。

―大会を通じで、世界にどんなことを発信したいと?

竹田 大会が開催される2020年だけでなく、それまでに、さまざまな国際競技大会や会議が東京で開かれます。いやが応でも、これからの7年間は、東京に注目が集まってきます。「おもてなし」に象徴されるような日本の伝統文化や、環境技術などの高度なテクノロジーを世界に向けて発信する絶好の機会となるはずです。

注目されるのは、東京という都市だけではありません。200を超える国・地域から代表選手団がやってきますが、多くは、各地のスポーツ施設などを拠点にキャンプを張る。それぞれのキャンプ地で、地元住民がその国の選手たちをもてなし応援する。期せずして、国際親善の輪が広がるわけです。もちろん、まちおこしにもなるでしょう。

具体的なことはこれからですが、今、日本全国の祭りと、オリンピック・パラリンピックを結びつけるプランも練られています。世界最大のスポーツの祭典と、日本の各地域の祭りをつなげる。とてもわくわくするアイデアではないかと思います。

―オリンピックがもたらす恩恵は、経済効果以外にも大きなものがあるということですね。

竹田 東京でいえば、交通網などインフラの整備もさることながら、東京という大都市の街並みの風景が大きく変わっていくと思います。例えば、東京都では街路樹を100万本に倍増し、1000ヘクタール(東京ドーム約210個分)以上の緑地を新たにつくり出すプロジェクトを進めています。こういった緑化計画をはじめ、バリアフリーの環境整備など、都市構造を大きく変革していく契機になるはずです。  

 

受け継ぐレガシーと、伝えていくレガシー

オリンピックがもたらすものといえば、招致活動でも、「オリンピック・ムーブメント」や「オリンピック・レガシー」という言葉が多く使われていました。

竹田 オリンピック・ムーブメントというのは、IOCが一番大事にしていることです。スポーツの素晴らしさを世界中に伝え、スポーツに参加することで相互理解を深め、世界平和につなげたいという崇高な理念です。フレンドシップ(友情)、エクセレンス(卓越性)、リスペクト(敬意)を大切にするオリンピック精神の浸透だけでなく、オリンピック・ムーブメントは、開発途上国の経済支援や女性参加の推進、パラリンピックの開催など、非常に多岐にわたっています。そのオリンピック・ムーブメントの理解と推進という意味でも、2度目の大会として開催する意義は大きいと思います。

レガシーというのは、遺産や資産といった意味ですが、有形のものと無形のものがあります。有形なものとしては、まず前回の東京大会から引き継いだレガシーとして、国立代々木競技場や東京体育館、日本武道館などの競技施設が、2020年大会でも改修を施された上で活用されます。新設会場のうち、半分の11会場は恒久施設として新たなレガシーになります。選手村の一部は、大会後、国際交流研究や共同プロジェクトなどのハブ機能を持つ施設とすることが検討されています。

一方、無形なものとしては、オリンピック・ムーブメントにのっとったさまざまな取り組みがあります。例えば、安倍首相が最終プレゼンで触れた「スポーツ・フォー・トゥモロー」という取り組みもそのひとつです。これは、開発途上国など世界100カ国、1000万人近い人たちを対象に、スポーツ環境の整備のために日本の若者が貢献するという一大プロジェクトです。ボランティア精神の醸成というだけでなく、途上国の人々との信頼の絆を深めるという意味でも、貴重なレガシーとして残るものです。

第3回へ続く)

最終プレゼンの会場で上映された「Share the Pulse」。心の「オリンピック・レガシー」として残る、スポーツの素晴らしさを強く印象付けた