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インサイトメモNo.22

情報行動は時系列連鎖の時代に

2012/10/23

〈 掲載日:2012.10.23 〉

電通総研メディアイノベーション研究部では、東京大学大学院情報学環の橋元良明教授と共同でオーディエンス(=メディア からの情報の受け手)の変化について研究する「オーディエンス・インサイト研究所」を発足させ、人間の情報行動について様々な研究を続けています。今回 は、その研究の中からご紹介します。

当研究チームでは、オーディエンスの最近の情報行動パターンに関してひとつの仮説を立てました。テレビや新聞などの伝統的なマスメディアは「ニュースの初 期認知ツール(基礎認識の確立)」 として機能し、ネットメディアはそのニュースの「動向追跡ツール(最新状況の確認)」として機能している面があるのではないかというものです。

そこで、定量調査の中で以下のような質問を行ってみました。
「Q あなたは、テレビのニュース番組や新聞などで知ったニュースに関して、その後時々刻々と変化する状況について、最新動向をネットでチェックすることがありますか?」
(本調査は2012年6月に全国エリアで実施され、15~49才男女 1,050サンプルを対象としたもの)

調査の結果は、以下のような形となりました。

20代以降の男性では6割以上がそのような情報行動パターンを取ることが分かりました。とくに、20代に限れば3人に2人以上がそのようなことがあると答えています。

このようなデータを見ると、スマホやタブレットなどの便利なデバイスがどんどん普及する中、テレビや新聞を起点とした情 報行動が同じ日のうちにネット上の行動へと時系列的に連鎖してゆく時代に突入しているのではないかと考えられます。たとえば、朝に主要なニュースの発生を まず知り、その後、その出来事についてPC、スマートフォン、タブレットなどで、時々刻々変化する最新状況を確認しつづけるという行動モデルです。

朝、主要なニュースの「発生」を知る
次へ

朝、主要なニュースの「発生」を知る

出勤途上、 スマホでニュースを追いかける
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出勤途上、スマホでニュースを追いかける

職場でもPCで その後の動向を頻繁にチェック
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職場でもPCでその後の動向を頻繁にチェック

夜、その日最後の状況を確認

夜、その日最後の状況を確認

このような「情報の時系列連鎖モデル」は、広告コミュニケーションにおいても活用できるでしょう。たとえば、朝刊広告で「ある商品のその日1日の使用法に ついて今から時間帯別にネットで紹介してゆく」と宣言し、ウェブサイトの方で、朝の気分に合った使い方、日中の気候に沿った使い方、就寝前のムードに フィットする使い方といった具合に、その瞬間にフィットする最新情報をリアルタイムに届けるといった展開が考えられます。

ITの進化とともに人の情報行動もどんどん変化しています。広告においても、このような動きを素早く捉えたプランニングが有効となるのではないでしょうか。