インサイトメモ #25

スマートプラットフォーム化する情報メディア

  • メディアイノベーション・ラボ
    株式会社電通

〈 掲載日:2013.01.31 〉

今回のインサイトメモは、創刊から20回目を数える『情報メディア白書2013』の刊行に合わせて、最近巷間を賑わせている「スマート」について考察しました。 2012年は、スマートフォンやソーシャルメディアが消費者に広く浸透し、マルチスクリーン型の視聴行動を促進するなど、消費者の情報接触行動に大きな影響を与えた年でした。スマートフォンやタブレットの普及に合わせて、2013年以降もこの動きは続いていくでしょう。一方、情報メディア産業にスマート化というトレンドが広く一般化する兆しもあり、そこには新しい産業創出やマーケット拡大のヒントを見出すことが出来ます。

 

(1)拡大多様化の一途をたどった情報メディア産業

戦後の情報メディアに関わる産業は、新聞、ラジオ、映画というメディアが大きなウェイトを占めていましたが、現在では情 報メディア自体が多様化し、非常に多くのソースから情報を入手出来る環境が存在しています。特に携帯電話、最近ではスマートフォンの普及によって、消費者 にとっては、情報を取得出来る場が多様化しました。

ただ一方で、2001年のITバブル崩壊、2008年のリーマンショックなど景気後退には情報メディアのマーケット自体が縮小していることから、景気や経 済にマイナスな影響を与える事象にはある種の脆弱さをみせるのも特徴です(図表)。実際、消費者の情報メディア支出という観点でも2000年にピークを迎 えましたが、その後下降し、2003年から2006年にかけて上昇したのち、2007年以降に再び下降しています(総務省『家計調査年報 家計収支編』より)。

拡大する情報メディア産業の軌跡

 

(2)スマート化の兆し

電通総研では、2013年の情報メディア産業では「スマート」がキーワードになると予想しています。昨今話題になってい る「ビッグデータ」も例外ではなく、膨大な情報から消費者の行動パターンや嗜好パターンを抽出してマーケティング活動に活かすというものですが、まだ技術 的には改善の余地があり、企業からのメッセージやレコメンデーションを消費者ひとり一人の気分に応じて届けるという、ヒューマンセントリックな質的解釈を 加える段階になるのはまだこれからと言えるでしょう。

企業が保有している各種データをオープンソース化して、そこに集まるプレーヤーの経験やノウハウを活用することで今までになかった付加価値を効率的に作る といった試みも多くみられるでしょう。「スマートテレビ」という商品・サービスについても、市場のプレーヤーはテレビの何が消費者にとってスマートなのか を模索する年になり、今後、操作性やユーザビリティも含めて、スマートテレビのマーケタビリティ創出の試行錯誤が続くのではないでしょうか。

(3)真のスマートとは?

スマートという概念には2つの側面があります。「量的なスマート」と「質的なスマート」。前者の「量的なスマート」の観 点では、最近ではソーシャルメディア上でのテキストデータを定量化して分析を行なうことが一般化し、かたやビッグデータや各種マーケティングデータを統合 的に関連づけて分析して、ビジネスインテリジェンスがより高度化して、結果的には新しい発見と、更なる付加価値を生み出すことも進化の方向性として有効で す。後者の「質的スマート」とは、量的なデータに基づかない、人の感性や感覚に根付いた判断基準に照らした場合のスマートです。

真のスマートとは、この2つの要素が組み合わされることで実現されるでしょう。 スマートなデバイス、スマートな使い方、スマートなライフスタイル、スマートシティー、スマートモビリティー、スマート家電など、今後もスマート化の流れ は止まる気配はなく、かつては起こり得なかったイノベーションが起きることで消費者の生活がより豊かになっていくことを期待します。

プロフィール

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    株式会社電通

    電通総研メディアイノベーション研究部では、メディアや情報通信環境の変化を着実に捉え、進化し続けるオーディエンス(視聴者)の動向を探っていきます。
    世の中のキザシをいち早く発見し、オーディエンスとの「最適なコミュニケーション」を提案しています。

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