「人を動かす」デジタルテクロノジーへ #02

ソーシャルメディアやO2Oで直接消費者と「つながる」
オンラインとオフラインの垣根がなくなったら考えたい4つのこと

Web2.0からソーシャルメディア、O2Oへとニーズが移行した要因として、「リアルタイムWeb」という概念の登場が挙げられます。特にスマートフォンの登場以降、私たちはどこにいてもインターネット経由でオンラインの情報にアクセスできるようになり、企業はユーザーの行動に対してスマートフォン経由で瞬時に情報を届けることが可能になりました。
また、私たち自身にとっても、スマートフォンで写真を撮影すると、すぐにオンラインにアップしたり、友達のSNSへの投稿に瞬時にリアクションを返したりと、リアルタイムに自分たちの行動を共有することができるようになったのです。

このように、現代では消費者自身のリアルな行動とオンラインの情報流通が、リアルタイムにシンクロしています。この変化を捉え、進化してきたのがソーシャルメディアであり、O2Oという形で企業はユーザーと接点を持ち始めています。そんなリアルタイムWebの時代のコミュニケーションを考える上で、企業が気を配るべきポイントを4つ挙げてみます。

① 消費者との接点での「ふるまい」を確認する

これまで消費者はホームページや商品カタログ、各種メディア上の商品広告や企業ホームページ(コーポレートサイト)を通じて企業の情報にアクセスしてきました。しかし、多くの企業がFacebookページを持ち、その中でCSR活動の報告を行ったり、店頭から店員さんによるメッセージが発信されたり、ということが当たり前になると、消費者は企業から発信されるメッセージに、その企業のもつアイデンティティの発信を期待するようになりました。消費者とのコミュニケーションチャネルでは商品情報を届けたい、というのが企業の望むところですが、消費者はソーシャルメディアを通じ、自社サイトに掲載された商品カタログだけでなく、その企業が考えていること、どんな人が働いていてどのような世界観を発信したいのか、世の中に対してどんなバリューを提供していきたいのかということまで汲み取ることができるようになりました。消費者は、このようなコミュニケーションとしての「企業のふるまい」から色々なことを読み取っています。

② 直接メッセージを交わす準備をする

これまで、メディアを通じた消費者とのコミュニケーションは、一般的な企業活動では行われておらず、消費者接点はお客様相談センターなどに集約されて極力クローズな場所で行われてきました。しかし今後、ユーザーはソーシャルメディアなどオープンな場所で企業にメッセージを送るようになります。その時に、ユーザーの気持ちに立ったコミュニケーションがどのように、そして素早くできるか、ということが求められてきます。
また、企業からユーザーへ歩み寄るコミュニケーションも重要になってきます。

2013年にアメリカのスーパーボウルで停電が発生した際、クッキーブランドのOreoがtwitterに「停電なんて大したことはない。真っ暗だってオレオをミルクに浸けて食べることに差し支えないよ」というメッセージを発信しました。これは大変な反響を呼び、Oreoに対するソーシャルメディア上の評価が急上昇しましたが、これは米国では誰しも注目するスーパーボウルという一大行事に、企業としてもワクワクしているよ!というユーザーと視線を合わせたコミュニケーションがとれたからだということができるのではないでしょうか。

2013年のスーパーボウル時にtwitterに投稿されたOreoの商品アカウント(@oreo)の画像。
「Power out? No problem.」というメッセージと共に偶然発生した停電の際に投稿された。
この「Dunking in the dark」というツイートは、2013年のカンヌライオンズの
Direct(Digital Marketing)部門でSilver Lionを、Cyber(Viral)部門でBronze Lionを受賞。

 

③ ユーザーの声に耳を傾ける

ソーシャルメディア上ではユーザーが自ら声を発し、色々な事象にコメントを発しています。これまでユーザーが発する声はWebサイト上のコンテンツに対して寄せられる「コメント」が主でしたが、twitterなどのソーシャルメディア上では、テキストでの意見発信はもちろん、画像、動画といったコンテンツを発信し拡散していきます。この情報は、ユーザーが形成するつながり(ソーシャルグラフ)を通じてコミュニティの中に広がっていきます。さらに最近ではこのような動きは誰でも外から「まとめる」こと(キュレーション)が可能になり、情報を発信したユーザーの所属するコミュニティを飛び越えて世の中に発信される機会も増えました。このようなコミュニケーションについて目を凝らすと、これまで見えてこなかった企業のキャンペーンへのリアクション、商品への評価が多く行われていることが分かります。この、ユーザーの声に耳を傾けマーケティングの次の一手につなげることを「ソーシャルリスニング」といい、現在注目を集めています。

④ ユ—ザ—の持つストーリーを大切に

ソーシャルリスニングの手法を用いると、企業はこれまで聞けなかったユーザーの気持ちをデータとして取得できます。 しかし同時に浮かび上がる課題は、「ユーザーは、企業に囲い込まれたいと思っていない」ということです。Web2.0の登場からマーケティングのポイントとして「ターゲティング」というテーマが掲げられてきましたが、このターゲティングはユーザーの気持ちやお買い物に対するテンションにそぐわないと、非常に不快な思いをさせてしまうことになります。「ユーザー属性に合っているから」「よく購入をしてくれるユーザーだから」と無理矢理に商品を勧めてはユーザーに煙たがられてしまいますよね。
このようなデータ活用を店頭での接客に置き換えると、お客さんのお買い物袋をこっそり覗き込むようなものです。この情報を露骨に活用するのではなく、そこからユーザーのライフスタイルやそのお店に来るに至ったストーリーを想像することが重要です。これをお客さんとの会話を弾ませるきっかけにしたり、そのお客さんが持つ世界観に沿ったお勧めができたりすると、企業、消費者のお互いにとってハッピーな関係につながるはずです。

 

リアルタイムウェブでは企業と消費者が同じコミュニティの仲間に

 

一言でいってしまえば、「消費者と同じ目線に立つ」ということかもしれませんが、オンラインとオフラインがつながり、お互いに顔が見えた瞬間に、消費者は匿名的な分析対象ではなく、企業の提供する商品やサービスを通じた同じコミュニティの仲間として認識されるようになります。このコミュニケーションをユーザーと一緒に育むことができれば、消費者と固い絆で結ばれることでしょう。逆に、ここで一方的に、独善的な振る舞いをしてしまうと、消費者は離れていってしまいます。
特に、現在はこのコミュニケーションがリアルタイムに行われ、企業の意思決定のスピードでは対応できなくなってきているのも事実です。その中で、どうやって消費者と同じ目線で、リアルタイムにコミュニケーションをとるか。そのポイントを次回のコラムではお話ししようと思います。

プロフィール

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    佐藤 巡
    株式会社電通

    2009年電通入社。コミュニケーションプランナー。リスティング広告など、パフォーマンスメディアの運用やデジタルキャンペーンの企画立案を経て、ローカルテレビ局担当として番組企画や地方におけるマーケティングを経験。現在はソーシャルメディアを中心としたオンラインとオフラインを横断する企業のマーケティングや、ソーシャルメディアにおけるユーザーと企業のコミュニケーションを担当。

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