動画による、これからの“地方創生” #03

バイラルムービーで地方創生を楽しく、面白く

  • Chihousaisei icon
    動画による、これからの“地方創生”  

都道府県や市町村、さらには一般市民が中心となった動画プロジェクトがメディアやSNSで話題となっている。
それぞれの事例には、地元の抱える課題と、地元が誇る資産をマッチングさせた工夫が見てとれる。ここでは、大分県別府市と香川県の事例を紹介する。


 

〜大分県別府市による「再生数連動型公約ムービー」〜

動画からトピックをつなげて「世界一の温泉都市」をPR

人が入れる温泉として世界一の湧出量を誇る大分県別府市。温泉都市としての魅力を発信するため、同市では“遊べる温泉都市構想”を制定。その第1弾として、11月21日に温泉と遊園地を融合した「湯〜園地」計画を発表した。
その際にユーチューブで公開されたのが、このコンセプトを具現化したムービー。温泉につかりながら乗るジェットコースターや、メリーゴーラウンド内を回る風呂など、温泉をふんだんに使ったアトラクションとそれを楽しむ人々の様子を描いた。


動画の制作を行ったドリルの西田淳氏は、「別府市は温泉湧出量が圧倒的に多く、使い切れないお湯はそのまま海に流します。そんな『お湯が余っている街』にしかできない動画を制作することで、遊べる温泉都市構想を視覚化し、観光客にアピールするのが目的でした」と振り返る。
実際に、本動画では温泉地から12㌧以上の温泉水を運搬。撮影場所には、市内の遊園地「別府ラクテンチ」が選ばれ、温泉水の散布などには市民が協力。動画自体も150人以上のオール市民エキストラで撮影された。市民一丸となり、別府市にしかできない映像が作られた。
さらに本動画は「ユーチューブでの再生回数が100万回を達成した場合、実際に『湯〜園地』計画を実行する」という“再生数連動型公約ムービー”として注目を集めた。電通プロモーション・デザイン局の島津裕介氏は、「国内外へ広くアピールするためには、たくさんの人に見てもらえる仕組みが必要。『100万再生で実行』という目標を共有することで、それに向かう過程そのものを話題化したいと考えました」と話す。


その結果、公開4日後に100万再生を突破。8日目には200万再生を達成した。100万再生の際には、長野恭紘市長からの感謝をつづった「Thank“湯〜”レター」を公開。また、動画サイトでは2万5000以上の高評価がつけられ、国内外合わせて600以上のメディアで取り上げられた。
100万再生を超えたことで、話題は公約の行方へと移ることに。別府市役所観光課は、今後の展望について「公約を実行すべく、『湯〜園地』の実現に向けて動き始めました。1年以内に何かしらの形でご披露できると思います。また、今回の企画に絡めたプロモーションをさらに計画していく予定です」と展望。公約ムービーは、長期的な展開で観光客の誘致につながっていくだろう。


 

〜香川県による「イクケン」PRムービー〜

「うどん」と「子育て」の意外なつながりを表現

「うどん県」のプロモーションが話題となった香川県。その香川県では、移住を促進するための「イクケン香川」キャンペーンのウェブサイトを立ち上げ、日本一小さい県=「子どもに目が行き届く県」としての情報発信を行っている。
ウェブサイトでは、子育てママの移住体験記や地域子育て支援拠点の設置場所の紹介など、子育て家庭の助けになるデータが紹介されているが、それらと共に公開されたのが「うどん」と「子育て」を掛け合わせたオンラインムービーだった。
うどんをすする音と、赤ちゃんが母親の胎内で聞いている音は似ており、赤ちゃんの前でうどんをすすると泣きやむという説がある。


それを題材に「うどんのひみつ」という動画を2015年9月15日、ウェブサイト「イクケン香川」にアップ。「うどん県」の副知事を務める俳優の要潤さんが出演し、香川のうどんを映し出しながら前述の“ひみつ”を説明。最後に赤ちゃんの前でうどんをすすると、赤ちゃんが泣きやむ構成となった。 第2弾では、さらにその事実を検証するテーマの動画を公開。「検証!うどんをすする音で本当に赤ちゃんは泣きやむのか?」と題し、要さんが泣いている赤ちゃんの前に突如現れ、次々とうどんをすする。10人の赤ちゃんに試したところ、9人が泣きやんだという結末となった。
一連の動画制作に携わった電通2CRP局の本多集氏は、「一見すると疑ってしまいそうな説ですが、京都大の呉東進教授によって実証されました。 強いファクトだったため、動画として確かな説得力で訴えるものがあったはずです」とその効果を語る。サイト上に掲載された他の子育てデータとは少し方向性の違う情報を、動画ならではの親しみやすさで発信した。


また、海外の広告賞でもこの動画は好評だったという。「うどんをすする音は、海外でネガティブなのかと思っていましたが、動画を見た人たちは皆笑ってくれました」と本多氏。
子どもに目が行き届く「イクケン」の発信として生まれた動画。公開後の反響や効果について、香川県子育て支援課の井下朋氏は「県外の方からも動画を見ましたという連絡を頂いたり、ローカル、全国ネットを問わず多くのテレビ番組に取り上げてもらい、一定の成果を得ました」という。県を代表するグルメと子育てをつなげた形の動画PRとなった。

プロフィール

  • Chihousaisei icon
    動画による、これからの“地方創生”  

    都道府県や市町村、さらには一般市民が中心となった動画プロジェクトがメディアやSNSで話題となった。それぞれの事例には、地元の抱える課題と、地元が誇る資産をマッチングさせた工夫が見てとれる。

バックナンバー

関連記事

続きを見る
ページ先頭へ