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1+1=∞ のコラボ・マーケティングNo.3

パートナーを探せ

2018/05/15

コラボといっても、果たして誰と組むのか。好きだからだとかダジャレとか、そういうきっかけでももちろん良いと思いますが、今回はあくまで「打算的に」(笑)コラボパートナー選びを考えていきます。

ベストパートナーの選び方

コラボにおいては、当然のことながら、誰と組むかがとても重要です。それはつまり「相手から何をもらうか(=あげるか)」という、享受し合うブランド資源の見定めともいえます。

第1回でも話した通り、コラボにはさまざまな組み方がありますが、まず初めに思い付くのは自ブランドと似た状況にあったり、近いカテゴリ-の同ポジションに位置するような「似た者同士」のマッチングかと思います。

この場合は、お互いに得られるメリットも負うリスクも同程度であるために、実現性がぐっと高まります。コラボを成立させるために必要なのは、得られるものの絶対的価値が、みなしで同じであるということ。両者がお互いの尺度でwin-winだと感じられて初めて、プロジェクトは動きだすのです。そういった意味でも、似た者同士のコラボは、判断をする側の人間にとっても反論がしにくく、また世の中的にも受け入れやすいアウトプットになることが予想されます。

遠距離であるほど、いい

ただし「似た者同士」のコラボが良いとは、もちろん限りません。コラボでとにかく話題になればいい!という目的なら、自ブランドと遠く、意外性のあるパートナーを選ぶ方法が近道です。

例えば、
・鉄道とネイルサロン
・医療保険とロックバンド
・果物農家と家具メーカー

のように、一見重なるところがないように思われる組み合わせも、見方を少し変えれば、自ブランドにはないものをたっぷりと秘めているブランド同士の融合ともいえます。

その遠距離を生かした十分な新しさで、自然とアイデアも湧き出てきます。先ほどの例に応えるならば、ネイルに埋め込む交通IC、ヘッドバンギング保険、フルーツの古木を使ったちゃぶ台なんていう、今はまだなくとも、いずれできてもよさそうなものが想像できます。

距離は、必ずしも異なる業種・業態で組むことだけで生まれるわけではありません。歴史や地域の差も、大きなアドバンテージになります。仮に、伝統的だが時代遅れになりつつあるブランドが、時流感のあるカジュアルなブランドと組んで鮮度を取り入れる方法もひとつ。後者は、反対に保証感や信頼感を手に入れることができるのです。

加えて、シェアする資源の中には「ファン」という、何にも代え難い味方がいます。もちろん「意外過ぎる」コラボで、既存のファンを失望させるようなら本末転倒ですが。パートナーブランドが大切に関係を結んできた良質なファンを、自ブランドにも引き込む大きなチャンスとなります。

遠距離でマッチングしていくことは、難しいながらも、総じて得られるリターンが大きいといえるのです。

勝負の「フィールド」を増やす

販路という面でも、パートナーは遠ければ遠いほどいい、という結論を一度出そうと思います。理由は、勝負できるフィールドを倍以上に増やせるからです。

商品やブランドは、買う側のことを考えて、あらかじめ置かれるフィールドを決められています。キュウリはスーパーか八百屋に、ハイブランドのアパレルは百貨店に。その中でももっと具体的に、いつも行くスーパーの「あの辺り」の棚に、銀座のあのデパートの何階の奥に、と頭に自然と思い描く商品の「定位置」が存在しています。

定位置を認識している一方で、私たちは何の商品のためでもない「自由区画」への意識も持っています。定期的に変わるイベントスペース、季節ごとの特設売り場など。そこに何が置かれているかは分からないものの、自然と期待感を持って足を運んでいる場所もあるのではないでしょうか。

もちろん、そこに行って、いつものキュウリを探したりなどはしません。先月まで置いてあったクリスマス飾りが1月にないからといって、店員を呼ぶこともないでしょう。定位置と自由区画を、無意識の中で区分けしているのです。

コラボをすると、その定位置を増やすことができます。これまでの売り場の定位置はそのままに、パートナーのいる売り場で、新たな拠点をひとつつくれるのです。決められた陳列面積の中で、別カテゴリーの商品をねじ込むことは容易ではないながらも、いつもはそこにないものが置かれる違和感は、そのカテゴリーが遠ければ遠いほど、大きな驚きとなります。

そして、その話題性をもってすれば、さらに自由区画へ進出できる可能性が高まります。カテゴリー問わず全商品が狙う一等地でありながらも、制約なく陳列ができるため、出目の最大演出につながるのです。

これまでの売り場、パートナーの売り場そして特設売り場。フィールドを増やすことは、直接的な売り上げはもちろん、世の中における存在感をも大きくします。そう考えると、乗り込みたいフィールドから逆算してパートナーを探すのも、ひとつの方法かもしれません。

ここまでパートナー選びについてお話ししてきましたが、組みたくてうずうずするようなパートナーは具体的に挙がったでしょうか?コラボの発信が、Yahoo!ニュースのトップや、リリースのタイトルに載ることをイメージして考えてみるのも面白いと思います。

次回は、コラボのクリエーティブ・プランニングについてお話します。
(次回につづく)