JAXA宇宙飛行士 野口聡一氏 「21世紀型宇宙飛行士の役割と未来をつくる力」第2回

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    野口 聡一
    JAXA宇宙飛行士

「21世紀型宇宙飛行士の役割と未来とつくる力
  ― 国際社会への貢献を目指して」 第2回

JAXA宇宙飛行士 野口聡一氏

 

外交官的立場で国際社会へ働き掛け

 

そしてもう一つ、これからの日本人宇宙飛行士の役割として挙げておきたいのは、国際貢献を果たす外交官的な立場での活動です。もとより、国際的な宇宙開発は一種の外交だと私は考えています。もちろん、立場としてはJAXAの一員ではあるのですが、宇宙飛行をした人間ならではの国際貢献の在り方も自律的に考えていかなくてはならないと思っています。

 

各国の宇宙飛行士で組織する「宇宙探検家協会」という団体があるのですが、主な活動として毎年、宇宙飛行士会議を開き、環境問題やこれからの宇宙開発・利用の方向性、有人宇宙飛行の安全・危機管理などさまざまな議論を交わし、国際社会への提言も行っています。アポロ計画に参加した米国のラッセル・シュワイカート宇宙飛行士と、初めて宇宙遊泳を行った旧ソ連のアレクセイ・レオーノフ宇宙飛行士らによって設立された団体です。私もメンバーの一人で、現在、同協会のアジア支局長を務めています。同協会では昨年10月、ニューヨークで記者会見を開き、地球に衝突の恐れのある小惑星の監視網を国際社会が結束して築くべきだと国連に訴えました。結果、宇宙空間で小惑星の軌道を変える手段を準備しておく構想が国連総会で承認されています。

 

映画のような話に思われるかもしれませんが、今から100年ほど前に、ロシアの中央シベリアで、隕いんせき石が大気中で爆発したとされる「ツングースカ大爆発」をご存じの方もいると思います。あの隕石は、小型バスかそれ以上の大きさではないかと推測されています。このような小惑星飛来による巨大隕石衝突の危機は常に存在していて、小惑星の軌道修正技術の開発も真剣に討議しなければいけない問題なのです。
監視網の整備や、技術的な研究・開発は専門家の方々が担うことになりますが、われわれ宇宙飛行士としては、その必要性を国際的な議論の場に乗せることがま性を国際的な議論の場に乗せることがまず大きな役割だと考えています。

〔 第3回へ続く 〕

最初のISS滞在中、船外作業をする野口氏(2005年8月)

プロフィール

  • Noguchi soichi profile
    野口 聡一
    JAXA宇宙飛行士

    東京大大学院修士課程修了。1991年石川島播磨重工業(現IHI)に入社、航空宇宙事業本部に所属しジェットエンジンの設計などを担当。96年、NASDA(現JAXA)が募集していた宇宙飛行士候補者に選定さ れる。2005年、スペースシャトル「ディスカバリー号」に搭乗し、国際宇宙ステーション(ISS)組み立てミッションに参加。3回に及ぶ船外活動のリーダーとして任務を果たす。09年から10年にかけて、ISS第22次・23次長期滞在クルーのフライトエンジニアとして約5カ月半ISSに滞在し、日本実験棟「きぼう」でのロボットアームの子アームの取り付けや実験運用などを実施。現在、JAXA宇宙飛行士グループ長を務める。

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