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インターン生はアイデアをどう実現したのか?~「“大人”なバナナプロジェクト」実現までのステップ

2020/06/15

アイデア発想型から実現型のインターンシップへ、内容を大きく刷新した「電通ワカモンインターンシップ2019」。前回は、そのプログラム開発背景をお伝えしました。今回は、学生が実際に取り組んだプロジェクトを紹介します。

インターンシップの終わりが、プロジェクトの始まり

インターンシップに参加した19人の学生は、自分の「ほうっておけないこと」を解決するアイデアを考え、そのアイデアを実現するためのプロジェクトを設計。そして、クラウドファンディングCAMPFIRE協力の下、インターンシップ最終日にクラウドファンディングプロジェクトを公開しました。インターンシップはあくまでも準備期間。彼らにとってクラウドファンディングの公開が、本当にプロジェクトが始まった瞬間でした。

クラウドファンディングの結果、このインターンシップで学生が立ち上げた14のプロジェクトが資金調達に成功。ここでは、その中から「“大人”なバナナプロジェクト」を紹介します。

インターンシップでは、自分の「ほうっておけないこと」として「フードロス問題」を挙げた学生がいました。学生はフードロス問題のひとつとして、「熟して茶色くなってしまったバナナは、まだ食べられるにもかかわらず、その見た目のせいで破棄されてしまっている」という事実に着目。チームを組んで、この問題を解決するためのプロジェクトを立ち上げました。

捨てられる茶色いバナナを救いたい!「“大人”なバナナプロジェクト」

プロジェクトを実現するために、インターンシップでは主に三つのポイントを学生たちにインプットしました。

①コンセプトの重要性をインプット

どうしたら茶色いバナナを救えるのか?アイデアを考えるための第一歩は、コンセプトづくりです。

世の中にメッセージを届けたいとき、「なぜこの企画が必要なのか」「それは誰にどのような価値を生み出すのか」という答えを言語化する、つまりコンセプトを掲げることで、企画の意図が伝わりやすくなります。

学生は、自分の取り組むプロジェクトが社会的にどんな価値をもたらすのか、常に考えながら、アイデアをブラッシュアップしていきます。

とはいえ、実際にやってみると、分かりやすいコンセプトを立てることは、なかなか難しいもの。そこで私たちメンターと一緒に、誰もが日常の行動に落とし込みやすくなるコンセプトを考えていきました。

「見た目が悪い=マズイ」というイメージを払拭し、「茶色いバナナがおいしい」と思わせたい。そこで、「“大人”なバナナ」というコンセプトを設定。「熟した茶色いバナナこそ(黄色いバナナよりも)、バナナ本来の甘さやおいしさが分かるのだ」と、茶色いバナナの存在価値を定義しました。

ワカモンインターン1

ワカモンインターン2
コンセプトとバナナの現実をまとめ、クラウドファンディングのプロジェクトページに公開した。

②共感づくりのコツをインプット

コンセプトを決めたら、それに対する共感を最大化するために、どんなコミュニティーにアプローチしたらよいか、タイミングやシチュエーションはどうするか、具体的に設計する必要があります。企画内容をよりシャープにするための考え方を、PRの視点でインプットしました。

学生たちが向き合うのは私たちメンターではなく、世の中。リアルな実感をつかむために、インターンシップ中にフィールドワークの時間を設けました。

バナナが捨てられてしまう理由のひとつとして、消費者が黄色いバナナを好み、茶色いバナナの購入を避けることが推測されました。

そこで、消費者の意識を知るためにアンケートを実施。「もし店頭に同じ値段で、2つのバナナが売られていたらどちらを買いますか?」という質問に対し、8割以上の方が黄色いバナナと回答。圧倒的に黄色いバナナが好まれることを実感しました。

ワカモンインターン3

さらに、リサーチを続けた結果、茶色いバナナは売れず、そもそもスーパーに置かれていないケースが多いことも分かりました。そこで、本プロジェクトでは、消費者に直接アプローチすることにしました。

「普段の生活の中で購入したバナナが茶色くなっても捨てられないようにすること」を、プロジェクトのゴールに設定。そのためには、茶色いバナナのおいしさを消費者に知ってもらうことが必要です。

そこで、クラウドファンディングで資金を集めて、茶色くなったバナナで作ったケーキを販売し、その甘さや「茶色くなってもおいしい」ことを伝えることにしました。

③プロジェクトマネジメントの重要性をインプット

プロジェクトとは、一人で進めるのは限界があり、チームで取り組むものです。そしてチームで進めるためには、自分や周りの人の役割を明確にする必要があります。インターンシップでは、プロジェクトを進める上でのタスクやスケジュール、予算管理など、実現に向けた進め方のステップをインプットし、実現のためにはどのようなパートナーが必要であるかなど、学生が行動に落とし込みやすいよう、ガイドラインを提示しました。

「“大人”なバナナプロジェクト」に取り組んだ学生たちは、ケーキ販売の実現に向けて、まずはプロジェクトを認知してもらうためのプレイベントを企画。ケーキを販売するために必要なパートナーを探し、スケジュールと予算を設計して、CAMPFIRE上にプロジェクトを公開しました。並行して、フードロス問題を考えるイベントにも可能な限り参加し、他団体との接点づくり、仲間づくりも進めていきました。

その様子をクラウドファンディングのプロジェクトページに随時公開することで、このプロジェクトの企画者が楽しんで取り組んでいることがパトロン(クラウドファンディング支援者)にも伝わり、結果、目標の151%の資金調達に成功。ケーキを切り口にしたことで、結果的にフードロス問題に興味のない人へも、このプロジェクトを届けることができました。

ワカモンインターン4
ワカモンインターン5
CAMPFIRE上にプロジェクトを公開してから2カ月後、都内のカフェで、茶色いバナナを使った「“大人”なバナナケーキ」の販売が実現。茶色いバナナのおいしさを伝え、フードロス問題を考えてもらうきっかけをつくることができました。

本年度もアイデア実現型インターンシップを実施

自分のアイデアをカタチにして発信し、世の中の反応を得ることを目的にした今回のインターンシップ。世の中に新しい価値を生み出す仕事をしている電通だからこそ、実施できたプログラムです。

今回、電通ワカモンはメンターとして学生のサポートに徹し、基本は学生主導で行動するという座組みでしたが、参加した学生のアンケートでは「満足度」「インターンシップとしての新しさ」ともに100%という結果に。学生からは、「前例のないことに挑戦する楽しさが分かった」「世の中に発信することで、自分のプロジェクトへの反響を知ることができた」という感想が寄せられました。

「電通ワカモンインターンシップ2019」で、学生たちが取り組んだプロジェクトは、「電通ワカモン×CAMPFIRE プロジェクトページ 」でご覧いただけます。


そして本年度も、アイデア実現型インターンシップの実施が決定(6月15日から募集開始)。世の中の状況を踏まえ、今年は電通として初めてのオンライン完結型インターンシップです。昨年に引き続き、世の中をより良くするプロジェクトがたくさん生まれると思うと、とても楽しみです。

「電通ワカモンインターンシップ2020」の詳細情報はこちら
https://www.career.dentsu.jp/intern/2020/wakamon/

企業と学生の出会い方は、多様化が進んでいます。

これからも、電通ワカモンは、企業と学生の新しい関係づくりの方法を提案していきます。

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