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採用課題は、経営課題。採用にもクリエイティビティを。No.12

企業からみた「異業種合同インターンシップ」の可能性とは?

2022/08/08

2020年、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、初めての緊急事態宣言が発令されたことに端を発し、学生の就活環境も激変しました。そのような環境の中、電通若者研究部(電通ワカモン)(※1)は、就活の地域格差に一石を投じるべく、キャリア支援NPO法人エンカレッジ(※2)と共同で「47 INTERNSHIP」を開発・実施しました。

47 INTERNSHIP「47 INTERNSHIP」とは……
各都道府県から大学生(または大学院生)を1人ずつ選出、計47人の学生が参加できるオンライン形式の異業種合同インターンシップ。2021年は、旭化成、岩谷産業、エイベックス、エヌ・ティ・ティ・データ、サイバーエージェント、ポーラ、三井住友銀行の7社が参加。「地域課題解決のためにできること」をテーマに、8月末から約1カ月間、学生と共に考えた(インターンシップの詳細な内容や参加した学生の声は、こちら)。

本記事では、2021年に実施した「47 INTERNSHIP」に参加いただいた、旭化成人事部人財採用室の池田將慈氏と、電通ワカモンの湊康明氏が対談。企業の立場から、「異業種合同インターンシップ」に参加する意義を語り合います。

※1電通若者研究部(電通ワカモン):若者と社会の関係性をデザインすることをミッションとして掲げているプランニング&クリエイティブユニット。就職活動のリデザインを通して、若者と企業の新しい出会い方のプロデュースを行っている。
※2 エンカレッジ: 47都道府県の100を超える大学支部で活動するキャリア支援NPO法人。学生が運営の中心メンバーとなり、1対1で行うキャリア面談などを各大学支部が開催している。


47 INTERNSHIP


 

「多様な価値観」が集まってできていたインターン

湊:まずは、「47 INTERNSHIP」に参加された感想を教えてください。

池田:47都道府県から大学や地域を超えて集まるというだけあって、いろんな思考・特徴・バックグラウンドを持った学生が参加しているな、と感じました。自社のインターンでは、参加する学生自身のセルフスクリーニングが、ある程度働くので、どうしても似たようなタイプの人が集まっていると再認識しました。

湊:なるほど。似たようなタイプの人が集まることについて、どのように考えていますか?

池田:変化の激しい社会だからこそ、これまで以上に多様な人財に旭化成を知ってもらいたいと思っています。

「47 INTERNSHIP」は、まさに多様な人が集まります。学生にとっては、身近にはいないような学生と深い関わりを持つことで、より俯瞰して、相対的に自分の価値観やキャラクターを認識できるいい機会です。また、一つのテーマに対するアプローチやコミットの仕方が学生ごとにだいぶ異なることを間近で見ることができて企業側も学ぶことが多々ありました。

「ステレオタイプとは違った企業の実態」があるかもしれないという発見

湊:「異業種合同」のインターンシップという点で、参加企業だけでなく、学生にも大きなメリットがあるように感じました。インターンシップを通じて、世間一般的に知られている企業イメージと、業務実態にギャップを感じました。このギャップを埋めることが採用や就活でも難しいと感じることはありますか?

池田:旭化成に対する学生のイメージは、いわゆる「大企業」のようです。ただ、内定者などに話を聞くと、弊社を知る中で、意外と部署単位の人数が少ないために、若いうちから主体的に働いて、意見や提案も受け入れられやすいことに驚いた、という声があります。もちろん説明会などを通じて、お伝えしている部分もありますが、すぐに固定観念を払拭することができない部分があり、難しさを感じています。

湊:なるほど。なかなか「既存のイメージ」が邪魔をして、就活という短い期間の中では実態が伝わりきらない部分があるのですね。

池田:そういう意味では、「既存のイメージ」を打破するために、異業種合同でのオンラインインターンシップという仕組みはよかったと思います。イメージギャップは、ある程度じっくり語らないと伝わらない気もする中で、異業種合同だからこそ集まる幅広い思考性をもった学生さんと、一定のお時間を共にすることができましたので。

湊:学生の方とのコミュニケーションの“深さ”と“広さ”のバランスみたいな部分が「47 INTERNSHIP」は取れている、ということですね。

47 INTERNSHIP

世の中にとって良いことと、持続可能性の両立を真剣に考えるプログラム!

湊:プログラムの中身についても少しお聞きできればと思います。本インターンシップでは、「課題解決」ではなく、「課題発見」ができるようになることをテーマに掲げていましたが、いかがでしたか?

池田:コンセプトと、それを反映したワークショップは良かったと思います。「課題を発見できるようになる」というと難しそうな印象ですが、いろんな課題の見方が学べるという点で、参加した学生も企業も収穫があったのではないでしょうか。

47都道府県のバックグラウンドの違ういろんな視点があって、自分が知らない課題や、他の人の課題への取り組み方を、自分の知識として蓄えられるというところが、良い部分だと思います。

湊:そうですね。いろんな視点を取り入れながら視野を広げ、社会の課題を解決していける人になってほしいなという思いも、運営サイドとしてはありました。

池田:確かに、全体のテーマとして、社会貢献という要素が大変強い印象を受けました。社会貢献が強いのは良いことですが、それをちゃんとビジネスとしてやり続けられる設計にしておくことに意味があることは、ぜひ学生の皆さんにも知ってほしいですね。「世の中にとって良いこと」と「持続可能性」の両立。ソーシャルデザインのようなことをどう考えるか?すごく難しい課題ですが、意味のあることだと感じました。

47 INTERNSHIP

やりたいことを「再構築していく楽しさ」を知ってもらいたい

湊:ありがとうございます。確かに、世の中に良いことをしていれば何でもいいのか?というとそうではなくて、少し昔の言葉ですが、CSR(企業の社会的責任)ではなく、社会価値と経済価値の双方を実現させるCSV(共通価値の創造)のような考え方が改めて大事になってきているのだな、と感じました。

最後に、せっかくですので、就活中の学生にメッセージをいただいてもよいでしょうか?

池田:そうですね、「47 INTERNSHIP」を通じて思ったことですが、学生の間に、身近にある課題に関して意見や思いを持って行動していくことはとても大事です。一方で、今の時点で自分がテーマとした課題「だけ」に凝り固まるという状態には、はまってほしくないなと思っています。

湊:それは、どういった意図からですか?

池田:「やりたいこと」というのは、今の置かれた環境における「やりたいこと」なので、場所や立場を変えながら、やりたいことを再構築していく楽しさがあることは知っておいてほしいという意味です。

組織の課題と自分の課題をうまくひもづけられるのか?という柔軟性も、企業人としては重要ですし、人事としても見ている視点です。ですから、身近な課題に対して、アクションを起こす。そのアクションから、また新しい課題を見つけてアクションする。いろいろ動いていくことで、「偶然」、自分の信念のようなものが見えてくる。そういった人生のほうが面白いんじゃないかな?と僕は思っています。

湊:池田さんのお話を伺って、学生だけでなく企業の方にも評価いただけていることを、非常にありがたく感じています。

さて、2022年も、「47 INTERNSHIP」の開催が決定しました。旭化成さんも、またご参加いただけると聞いています。「若者から未来をデザインする」を掲げる電通ワカモンは、就活においても学生や企業の方々に幅広い選択肢や可能性を提示する活動を行ってまいります。

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