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仕事の創り方を変えよう!No.4

安藤美冬×廣田周作:展開型のキャリアで道を切り拓く人の仕事術

2014/03/27

近未来の予測もできないほど、変化の激しい今の時代。前例、慣習にならうのではなく、自ら社会の中に新しい役割、働き方を見つけていく必要があります。広告業界に限らず、そんな新しい働き方を見つけ、実践する方に電通プラットフォーム・ビジネス局の廣田周作さんが話を聞きに行きます。

工学部出身の経歴も生かし、ソーシャル上のデータから消費者ニーズ、情報拡散の流れなどを分析。さらにその知見をコミュニケーション活動、クリエーティブ開発に生かしてきた廣田周作さん。現在は電通の中で、「コミュニケーション・プランナー」という新たな仕事のスタイルを開拓しようとしています。そんな廣田さんが今回、対談相手に選んだのは、ノマドワークの実践者で、株式会社スプリーの代表、安藤美冬さん。

出版やソーシャルメディアの知識を駆使し、ツイッターを活用したつながりを生かして仕事をつくり出してきた安藤さん、これからの働き方やキャリアについて語ります。

Theme① ソーシャルメディアを活用した仕事のつくり方

廣田:ツイッターでの発信が仕事につながったと著書『冒険に出よう』でも触れられています。ソーシャルメディアを使った仕事のつくり方とか進め方とはどのようなものですか。

安藤:私の場合は元の勤務先の出版社で働いていたころからのご縁もあって、退職して半年がたった頃から少しずつ出版社や社会人向け学校から書籍のプロモーション案策定や講座企画などの依頼をもらったり、メディアに名前が出るようになりました。ツイッターでの発信を始めて1年たたないくらいのときに、佐々木俊尚さんと一緒に出演したUstreamの配信が2〜3万人くらいに見られる大きな露出になって、そこから新聞、雑誌やテレビ出演の話が来るようになりました。フリーになったときに、「私には何が足りないんだろう」と考えて、自分の打ち出し方がなっていない、自分が何者かを伝えられていないから、私に何を依頼すればいいのか分からないんだ、ということに気づいたんです。そこで、自分の出版の知識や、ソーシャルメディアのこと、フリーで働き3000人と名刺交換をした実績、人と人のつながりをつくってきたことの4つを、自分が目指すオンリーワンの戦略にしました。それで、ソーシャルメディアの分野で、友人を対象にツイッターの使い方のセミナーを開き、ブログで紹介したところ、様々なご縁がつながってジャーナリストであり作家の佐々木俊尚さんの目に止まって、そこから先ほど申し上げたようにメディアへの露出が増えて、結果仕事が広がった感じです。率直な気持ちを言うと、この2、3年であまりにも目まぐるしく見える景色が変わってしまったので、個人的にはもう少し長く、ソーシャルメディアを仕事につなげる方法を実験したかったですね。今はもう、仕事の依頼をツイッターに限る段階ではなくなりましたから。

──勝負できる領域を複数持って、その掛け算で仕事の幅を広げてきた安藤さん。それでも迷いや不安は常にありました。

Theme② 新しい挑戦への不安をいかに解消するか

廣田:新しい環境に踏み出す勇気を持つのはすごく大変で不安だと思います。自信がない状態のときにも頑張れたのはどうしてですか。

安藤:最初は仕事がないことを人になかなか言えなくて、かっこつけたりしていました。そのうち、開き直って、悩んでいることや仕事がなくて困っているということを少しずつ周りに言い始めました。そうやって弱さを見せることができたときに、強さをアピールするだけではなくなって、すごく楽になりました。そのときそのときに、嘘をつかず素の自分を出して、人間くさくやっていたら「これでいいんだ」という気持ちになれました。

──安藤さんは、これからの働き方、キャリアデザインとして展開型のキャリア「職業のライフスタイルショップ化」を提案します。

Theme③ 第2、第3の商品を扱うことで、より自由な働き方を

安藤:専門知識を追求する蓄積型のキャリアではなくて、分野を横断しながらある程度の知識を持ってキャリアを重ねていく、単純に縦でもなく、横でもない、展開型のキャリアが個人や世の中にブレイクスルーを起こすと思っています。「アメトーーク! 」の「家電芸人」のように元の領域に何かを掛けることで、元の部分を生かし、広げて、新しいポジションを獲得することもできます。

廣田:そういう文化の翻訳ができる、ふたつの文化の交換を促す人たちが出てきています。その人らしさや、スキルとか魅力が仕事につながっていくので、与えられた仕事をこなす形から、好きなことに手を挙げて取り組むことができる環境になっています。

安藤:それを私は「職業のライフスタイルショップ化」と呼んでいます。書籍は書籍、服は服というひとつの切り口ではなくて、複合的に提案するショップのトレンドは個人の職業にも当てはまります。これは新しい潮流ではなく、昔ながらの商店街にある個人商店のようなものです。会社員でもフリーランスでも、本業の余力を使って第2、第3の商品を扱ってもいい、そういう考え方ができればもっと自由になれると思います。

──安藤さんには自然に仕事が集まってきているように感じます。頼む側が自ら調べて仕事を依頼する、そうさせる秘訣は何なのでしょう。

Theme④ 求められているポイントを外さない、指名される仕事の理由

廣田:安藤さんは、営業で押しつけていくタイプではなく、頼む側が安藤さんのことを調べて依頼してくるところが素晴らしいと思っています。そのように自然に人が集まってくるのは、日々実践して実績を積んだり、自分の言葉で発信しているからなんでしょうか。

安藤:自分のことはさておき、周りのことでいうと、元電通のコピーライターであり、20代を代表するカリスマブロガーであるはあちゅう(伊藤春香)さんは、意識しているかどうかは分かりませんが、何か仕事を頼みたくなるような仕掛けを随所にされています。企業が彼女に求めているのはブログによる拡散力なので、そこを外さず、毎日コツコツ応えています。やっぱり、うまくいっている人にはそういうところがあって、私もそこは自覚しようと思っています。何か依頼が入れば、自分に何が求められているのか考えます。独立したばかりのころはよく分からなくて、外したこともあると思います。でも、求められているものが分かったら、毎日コツコツやる。これは、さぼったら自分より優れている人がたくさんいるので当たり前のことです。「ここを外してはいけない」というポイントの見つけ方は、失敗の中から自覚したんだと思います。

廣田:仕事って「おかわり」が来るのが一番ありがたいです。指名で仕事が来るということは、求められているものに応えられた、ということだと思います。

安藤:はい。クライアントさんにとっても、選択肢の中から「この人しかいない」ということで指名しているのですから、お互いにハッピーなことです。

廣田:そうですね。安藤さんとは同じ1980年生まれ、三鷹育ちということで、大いに影響を受けて、自分を見つめ直す機会になりました。今日は本当にありがとうございました。

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