第6回「忘れられない看護エピソード」表彰式開く
2016/05/11
近代看護の基礎を築いたフローレンス・ナイチンゲールの誕生日でもある5月12日が「看護の日」として制定された1990年以降、厚生労働省と日本看護協会は、「看護週間」(看護の日を含む日曜日から土曜日まで)に全国各地でさまざまなイベントや活動を実施している。
看護の現場から体験を募集する「忘れられない看護エピソード」表彰式は、こうした取り組みのひとつ。今年は5月8日、東京・渋谷区のJNAホールで第6回「忘れられない看護エピソード」表彰式が行われた。
今年は看護職部門1063作品、一般部門2242作品の合計3305作品のエピソードが集まり、入選(各部門5作品)、優秀賞(各部門3作品)、審査委員のひとり内館牧子さんが選ぶ内館牧子賞(各部門1作品)、そして最優秀賞(各部門1作品)が決定した。
厚生労働省 大臣官房審議官の梅田珠実氏は冒頭、医療介護総合確保推進法や、医師の判断を待たず一定の診療補助を行う看護師を養成する研修制度など、看護に関わるさまざまな環境の整備が進んでいることに触れ、「今後は看護職の皆さまがより一層の役割を発揮できるよう、新たな制度の実施、浸透に努めていきたい」とあいさつした。
日本看護協会の坂本すが会長は「3000を超える応募作品の中にはキラキラ光る作品が数多くあり、選考過程では頭を悩ませました」と、優れた作品が多かったことを明かした。
ステージには「看護の日」PR大使に任命された女優の剛力彩芽さんが登壇し、最優秀賞に選ばれた庄﨑美恵さんの「専属ナース物語」、髙野裕子さんの「静かな勇気」を、ゆっくりと感情を込めながら朗読した。
病気で入院した夫を見守る中、病院で出会った看護師の対応についてつづった「静かな勇気」は映像化され、ショートムービーとして会場で上映された。「Uさん」として登場する看護師は、妊娠しながらも髙野さんの夫を献身的に看護し、産休に入る前日まで髙野さん夫妻に勇気を与え続けた。
髙野さんは「もし会えたら抱きしめてもいいですか。あなたとあなたのお母さんがくれた勇気を今でもうれしく覚えているのよ」と、当時Uさんのおなかにいた赤ちゃんに呼びかけながら作品を結んでいる。
その直後、髙野さんが会いたいと切望していた「Uさん」こと看護師の梅田登喜さんと、娘さんがサプライズゲストとして登場。髙野さんは12年ぶりの再会に感激の涙を流した。
剛力さんは「すごくすてきなお話ですし、ストーリーも言葉も素敵なので、心を込めて読まなきゃいけないという思いはありました。何度も練習しながら涙をこらえるのが大変でした」と感情移入しながら朗読したと語り、髙野さんと梅田さんのサプライズ再会については「あれは…ズルいですよね(笑)。12年間という長い年月が一気になくなった瞬間を間近で見て感動しました。映像までは必死でこらえたけど、もう涙が止まりませんでした」とコメントした。
最後に、これから看護師を目指す人、いま看護として頑張っている人に対し、「想像をはるかに超えるお仕事だと思いますが、ひとりでも多くの方の心に寄り添う看護を目指してほしい」とエールを送った。