宇宙ビジネスのさらなる可能性を探る「ガンダム宇宙世紀フォーラム」が開催
2022/10/07
宇宙で人類が活躍する“現実の宇宙世紀”が迫ってきている現在、宇宙ビジネスの今後の可能性を提示するイベント「ガンダム宇宙世紀フォーラム」が9月17日(土)に開催された。イベントは、全高18メートルの実物大の‟動くガンダム”が公開されている施設「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA」で行われた。
フォーラムでは、宇宙飛行士の山崎直子氏、スペースポートジャパンの片山俊大氏(電通)、“動くガンダム”の制作に関わったGGCテクニカルディレクター石井啓範氏が「人類のイマジネーションは、どうやって実現するのか?」についてパネルディスカッションを行った。
パネルディスカッションでは‟宇宙世紀”がまさに目の前にある今、「ガンダム」と「宇宙」について共通するイマジネーション(ビジョン)の重要性と、産業や教育などへの拡張性について語られた。
地球周回すらできていない時代に「10年後に月の上に人が立つと決める」、重力のある地球で「全高18メートルの実物大の動くガンダムをつくると決める」。宇宙開発と、この「ガンダムプロジェクト」に共通するのは、「荒唐無稽(こうとうむけい)にも思える大きなビジョンがまずあったこと。そのビジョンのもとに多様なプロフェッショナルが集まり、知恵と技術を出し合い現実化していったこと」と3人は語る。
宇宙産業もガンダムプロジェクトも、その技術や体験から、さまざまな産業や教育分野への派生が生まれている。「今後、宇宙はもっとデザインやエンターテインメント分野への広がりが増えてくる。全高18メートルのガンダムが宇宙に立つ時も訪れるかもしれない」と、ディスカッションはさらなる夢の話へと広がっていく。
強靭なビジョン(夢)を実現しようとして新たな現実が生まれ、その現実からまた新たなビジョンが生まれていく。この好循環が継続的なイノベーションを生みだすために重要だと語る。
「夢が高い位置にあった昔とは違い、今は夢と現実のギャップがなくなってきている。だからこそ、新しい夢、新しいビジョンをつくり出すことも研究者の重要なミッション」(石井氏)。「ビジョンがみんなに共有されること、一緒につくっていけることも大切。宇宙はみんなが集まって、ビジョンを現実化させていくにはとてもいい”場”。技術が追い付いてきて新しいビジョンが描きやすくなっている」(山崎氏)。
「ガンダムプロジェクトはまさにオープンイノベーションで現実化したものだし、日本にもスペースポートが生まれると、それまで宇宙とつながりがなかった地域の企業や人々がどんどん関わっていけるようになる。今日お話を聞いていただいたみなさんが自分ゴト化して、どんどん関わってきてくださったらいいな、と思います。」と片山氏が結び、ディスカッションは終了した。
イベントでは、パネルディスカッションの他に2つの基調講演が行われた。基調講演①では「宇宙業界における、構想力と実現力」と題し、山崎氏が実際に宇宙に出た経験を交えながら、人類が宇宙へと活動を広げた軌跡を語った。150年前には宇宙旅行は空想話だったが2021年には民間の宇宙飛行士が宇宙機関の飛行士の数を超え、民間の宇宙ステーションの計画が始まっている。多くの国、企業、人が関わり、多くの構想が生まれて実現へと向かっている様子が語られ、まさに宇宙世紀がやってくることを予感させる講演となった。
基調講演②では、片山氏により「宇宙業界は、いかにして構想を実現化してきたか?~過去、現在、未来~」が語られた。宇宙業界がどのように実現化されていったかを過去から未来へとひもといていく中で、宇宙と宇宙ではない産業が結びつくことがもたらす発展や、宇宙のための研究が地球の問題解決へと還元されていく可能性について語った。最後に「20世紀はグローバル世代、21世紀はユニバーサル世代」と語り、国を自由に行き来できるようになったように、これからは宇宙と地球の壁がなくなり、人もビジネスも自由に行き来する時が近い将来実現するだろう、と結んだ。
「ガンダム宇宙世紀フォーラム」の映像はこちら
■パネルディスカッション「人類のイマジネーションは、どうやって実現するのか?」(山崎直子氏、片山俊大氏、GGCテクニカルディレクター 石井啓範氏)
https://youtu.be/syBurk4RMGo
■基調講演①「宇宙業界における、構想力と実現力」(宇宙飛行士 山崎直子氏)
https://youtu.be/qHmNVuvgM9k
(公開期間 10月1日(土) 19:00 ~ 10月8日(土) 24:00)
■基調講演②「宇宙業界は、いかにして構想を実現化してきたか?~過去、現在、未来~」(一般社団法人スペースポートジャパン 片山俊大氏)
https://youtu.be/WX3xl1bGjy4