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公開日: 2025/11/05

CEATEC 2025閉幕。電池サプライチェーン協議会(BASC)、70社の参画企業とともに電池業界の現在とこれからを発信

10月14日(火)から17日(金)までの4日間、幕張メッセで開催されたデジタルイノベーションの総合展「CEATEC 2025」。この中で、一般社団法人 電池サプライチェーン協議会(以下BASC)が、日本の電池業界のさまざまな取り組みを発信する最大規模のブースを出展した。

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BASCは、電池のサプライチェーンを持続可能な形で発展させ、日本、そして世界の電池産業に貢献していくことを目指し、2021年4月に設立された団体(会員企業数は2025年10月時点で243社)。CEATECへの出展は、昨年に続き2回目となる。

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BASCのブースでは、「動かせ。未来を。」をテーマに、川上から川下まで、国内の電池サプライチェーンに関わるさまざまな企業が一堂に会し、カーボンニュートラル社会実現の鍵を握る「電池」の重要性を広く発信。会期中は連日、業界関係者だけでなく、新たなビジネス共創を目指す企業や一般来場者など多くの方々でにぎわい、4日間で計約1万7000人が訪れたという。

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電池サプライチェーンの全体像を、映像や展示物を通じて紹介し、資源確保や再利用も含めた一貫した体制の構築・強化に向けた取り組みをアピール。また、参画各社と、新たなビジネス共創を目指す企業との接点作りを促す「ビジネスヒントファイル(各企業の情報をまとめたフライヤー配布)」や、参画各社で活躍する人材の業務やキャリアを紹介する「キャリアショーケース」などの施策も展開された。

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ブース内では、電池の価値をデータで見える化する「日本版電池パスポート」についても最新情報を公開。これは、資源がない日本で極力資源を還流させる仕組みを作る、そして「欧州電池規則」(※1)などの国際動向に対応することを目的とした取り組みである。

※1=「欧州電池規制」が2023年に発効。カーボンフットプリント情報を含む、電池の資源調達、回収、リサイクル、再利用までの一連のプロセスの可視化が求められる。デューデリジェンス義務の適用開始は2027年に延期されたが、適用後は、欧州で販売される電動車について、車載電池のライフサイクルに関する情報開示が義務付けられる。


経済産業省が主導する産業横断でのデータ連携を促進する活動「ウラノス・エコシステム」をベースとして、サプライチェーン上の企業間で安心・安全にデータ連携が可能となる「日本版電池パスポート」の社会実装に向け、BASCも含めた産業間DXが進んでいる(※2)。

※2=日本国内においては、データ連携を推進・運営する業界協調組織として、2024年に一般社団法人 自動車・蓄電池トレーサビリティ推進センター(ABtC)が設立。BASCも会員の一社として加盟している。

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CEATEC初日の10月14日(火)には、バッテリー先進人材普及ネットワーク「BATON」の発表プレスイベントが開催された。BASCの好田博昭会長から、脱炭素社会・デジタル社会実現を支える先進人材育成を広く普及・啓発し、産官学連携のもと日本の蓄電池産業の発展に貢献すること、また電池サプライチェーン全体で3万人の人材を育成するといった目標が語られた。

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このほか、2019年のノーベル化学賞受賞者である吉野彰氏とBASCの只信一生会長代行による対談や、人気サイエンスアーティストの市岡元気氏が、電池の「科学的な面白さ」を分かりやすく解説する特別イベントなども開催。ブース内の特設ステージ周辺は、多くの来訪者でにぎわった。

BASC 好田会長は、今回のブース出展を振り返り、「電池産業の発展・成長に向けて、(今回は70社の)参画社の皆さま、また経済産業省さま、関係する学校の皆さまなど、産官学一体で取り組んでいくことを十分に訴求できた」「CEATECではさまざまな最新の技術を知ることができるが、同時に、“ビジネスでどう勝つのか”も、業界として一緒に考えていく必要がある。このBASCブースは、そうしたことを少しでも感じていただける場になったのでは」とコメント。

蓄電池は繰り返し使用できることから、再生可能エネルギーシステムやEVなどに幅広く活用され、世界的に市場が大きく拡大している。経済産業省においても、2022年に「蓄電池産業戦略」の策定、2023年からは「蓄電池産業戦略推進会議」にて産官学連携での推進に向けた議論が行われるなどの動きがある。

4日間にわたるBASCのCEATEC 2025への出展は、日本の電池サプライチェーンの強靭(きょうじん)な連携体制構築に向けた取り組みや、社会インフラとしての重要性を強く印象付けるものとなった。

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