広告同人誌こみゅしふ〜僕と野良袋の思考的冒険〜 #07

広告は、お金とモノの交換を促進する存在からシフトする。

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    並河 進
    株式会社電通 ビジネス・クリエーション・センター ソーシャルデザイナー/クリエーティブ・ディレクター/コピーライター

野良袋:グラミン銀行をつくった、ムハマド・ユヌスの話。彼はこう言っているんだな。「資本主義は完成していない」と。 「資本主義」の「資本」に、今はお金しか入っていない。そこが不十分だと。
本当は、その資本という部分に、知恵とか、時間とか、アイデアとか、もっといろんなものが入るべきだって言っている。

並河:資本主義という言葉が、僕は、すごく嫌いだと前にも言ったんですが、そうか、その「資本」に、もっといろんなことを入れていけばいいのか。

野良袋:もういちど、前回の話に戻そう。「お金←→サービス・モノ」が今の市場だ。

並河:そうですね。

野良袋:その中で、広告とは、この←→を促進させる存在だ。
でも、ムハマド・ユヌスが言う通り、お金だけではないものが、資本のひとつとして、あたかもお金のように流通していく世の中になったとしたら、と想像してみるんだ。

並河:たとえば……「愛←→感謝」みたいなことですか(照)。

野良袋:……それはどっちも見えないから、市場としては分かりにくいかもな。たとえば、そうだな。
「知恵→ 時間→ サービス→ プロジェクト」みたいな図を想像してみるといい。
知恵を出す人がいて、ボランティアで時間を提供してくれる人がいて、サービスを提供できる企業がいて、プロジェクトが実現する。

並河:あ、なるほど!
「お金←→サービス・モノ」を促進させる存在がいままでの広告だったら、これからは、そうしたいろんな「→」を促進させる存在に広告がなるということか……。

野良袋:でも、実は、これって、すでに広告会社が担っているような役割でもあるじゃないかな。
自覚する、というのが大事なんだ。お金とモノの交換を促進する存在から、価値と価値の交換を促進する存在へ。広告のシフトだな。

並河:これが、COMMUNICATION SHIFT……。
あ、そう考えると、広告会社の可能性は広がるな……。
「知恵←→知恵」の促進もあるかもしれない……(ブツブツ)

野良袋:あくまで仮説だけど、概念というのは、便宜上生まれてくるものだから、こうした概念が、広告の進化にとって有効なら、その概念には意味があるってことなわけだ。

プロフィール

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    並河 進
    株式会社電通 ビジネス・クリエーション・センター ソーシャルデザイナー/クリエーティブ・ディレクター/コピーライター

    1973年生まれ。
    電通ソーシャル・デザイン・エンジン代表。
    社会貢献と企業をつなぐソーシャル・プロジェクトを数多く手掛ける。「電通ギャルラボ」代表。ワールドシフト・ネットワーク・ジャパン・クリエーティブディレクター。上智大学大学院、東京工芸大学非常勤講師。受賞歴に、ACCシルバー、TCC新人賞、読売広告大賞など。著書に『下駄箱のラブレター』(ポプラ社)、『しろくまくんどうして?』(朝日新聞出版)、『ハッピーバースデイ 3.11』(飛鳥新社)、『Social Design 社会をちょっとよくするプロジェクトのつくりかた』(木楽舎)他。

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