SAYONARA国立競技場FINAL③、"FOR THE FUTURE” 未来に向けてファイナルセレモニー

5月31日、東京・新宿区の国立競技場で行われた「SAYONARA国立競技場FINAL“FOR THE FUTURE”」。約2000人の市民ランナーが参加した「ファイナルファンランDAY~Thank you国立~」、往年の名選手が熱戦を繰り広げたサッカーとラグビーの「レジェンドマッチ」、東京オリンピック以来50年ぶりとなったブルーインパルスの展示飛行と、早朝から行われたメモリアルイベントの最後を締めくくったのが「ファイナルセレモニー」。

  競技場にグランドピアノが運び込まれ、ピアニストの辻井伸行さんが黒いタキシード姿で登場

まず、競技場にグランドピアノが運び込まれ、ピアニストの辻井伸行さんが黒いタキシード姿で登場。東京オリンピックの開会式で演奏された「東京オリンピック・ファンファーレ」と、ショパンの「英雄ポロネーズ」を熱演した。力強いタッチで奏でる音色が会場に響きわたり、観衆の心を揺さぶった。割れんばかりの拍手の中、「たくさんの感動を与えてくれた国立競技場と英雄たちに、感謝と敬意の気持ちを込めた。このような大きな会場で演奏したのは初めて。最初で最後だと思うとさびしいが、新たな未来に期待したい」と語ると、歓声がさらに沸き上がった。

続いて、歴代のオリンピック選手らによる聖火リレーが行われた。「鬼に金棒、小野に鉄棒」と言われたオリンピック体操3大会連続の金メダリスト小野喬さん や、東京オリンピック女子バレーボールを制した「東洋の魔女」谷田絹子さんと松村好子さん(共に旧姓)、ソウルオリンピック水泳金メダルの鈴木大地さんら が聖火をつないだ。

歴代のオリンピック選手らによる聖火リレーが行われた。「鬼に金棒、小野に鉄棒」と言われたオリンピック体操3大会連続の金メダリスト小野喬さん や、東京オリンピック女子バレーボールを制した「東洋の魔女」谷田絹子さんと松村好子さん(共に旧姓)、ソウルオリンピック水泳金メダルの鈴木大地さんら が聖火をつないだ

最終ランナーには、12年のロンドンオリンピックで3連覇を果たした女子レスリングの吉田沙保里さん。聖火を高く掲げて点火、聖火台に 最後の火が灯った。

最終ランナーには、12年のロンドンオリンピックで3連覇を果たした女子レスリングの吉田沙保里さん

主催者を代表してまず、日本スポーツ振興センターの河野一郎理事長があいさつ。「国立競技場は1958年3月の誕生以来、56年2カ月、2万517日、ア スリートの夢の舞台として、数多くの記憶に残る大会が行われてきた。多くの記録、ドラマ、伝説がここで生まれた。そのたびに私たちは、スポーツから力をも らいアスリートへの感謝とリスペクトを新たにした。アスリートと観客が一つになって人間の可能性を広げてきた歴史があったからこそ、戦後復興のシンボルと なり、スポーツの聖地と呼ばれるまでになった。単なるスタジアムという存在を超え、社会的、歴史的な意味を持つ特別な場所だ。2019年のラグビーワール ドカップ、20年の東京オリンピック・パラリンピック、その先の未来に向けて、私たちはもう一度、新たな聖地をつくらねばならない。新国立競技場の建設は 『一番をつくる』作業だ。復興、スポーツ、文化の世界への発信拠点をつくることに意義がある。スポーツには社会を変える、国を変える力がある。今日は、ス ポーツの力によってより良い国をつくるために、日本の力を再び結集していくプロローグだ」と強調し、一層の協力と支援を呼び掛けた。

日本スポーツ振興センターの河野一郎理事長があいさつ

次に、SAYONARA国立競技場実行委員長で、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の森喜朗会長は「たいまつの灯は間もなく消えるが、 皆さんの胸の中で燃やし続け、2019年のラグビーワールドカップ、20年の東京オリンピック・パラリンピックでもう一度、赤々と聖火台につないでほし い」と、生まれ変わる新国立競技場への思いを述べた。

SAYONARA国立競技場実行委員長で、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の森喜朗会長

備品譲渡贈呈式、グランウンドキーパー表彰式に続き、歌手の谷村新司さんと森山良子さんが歌を披露。谷村さんは「昴」を、森山さんは「今日の日はさようなら」を観客と共に熱唱した。

「今日の日はさようなら」を観客と共に熱唱する森山良子さん

国立競技場に別れを告げる「蛍の光」を、作曲家の都倉俊一さんの指揮により会場全体で合唱した後、いよいよフィナーレ。静寂と闇を破って、聖火台の真下に設けられた巨大スクリーンでは、同競技場の56年という時間を映像とテクノロジーでよみがえらせる「FOR THE FUTURE」が始まった。

陸上競技、サッカー、ラグビーなど、今も多くの人の記憶に残る偉大な記録や名勝負を映像で振り返りながら、「8798の勝者が生まれ、8798の敗者が生 まれた。挑戦する者だけが、ここにいることを許された」と、アスリートたちの勇気を讃えた。1991年世界陸上競技選手権大会でカール・ルイス選手が打ち 出した男子100メートルの世界記録、同大会で優勝したセルゲイ・ブブカ選手の棒高跳び、85年のFIFAワールドカップメキシコ大会最終予選韓国戦で ゴール40メートル手前から木村和司選手が放った伝説のフリーキックなど、選手の動きやボールの軌跡をレーザー光線で実際のフィールド上に照射し、名シー ンを光で再現するライブパーフォーマンスも行われた。

「今日、国立競技場は、その幕を閉じる。すべてのアスリートと、すべてのアスリートが生み出した奇跡に、感謝をこめて。THANK YOU.」のメッセージがスクリーンに映し出されると、聖火が消灯。しばらくの沈黙の後、「この歴史は、終わらない。5年後。新しい舞台から、新しい挑戦 が始まる」と、未来へのエールが送られ、「SEE YOU IN 2019」の文字がスクリーンとピッチ上に大きく浮かび上がった。国立競技場が残した歴史への感謝と敬意、そして、新たな歴史の始まりに夢と希望を乗せ て、花火が盛大に打ち上げられ、終演した。

セレモニー終了後、ピッチが開放され、歴史的な瞬間に立ち会った多くのファンが、素足になって芝を踏みしめたり寝そべるなどして、ピッチやトラックの感触を体に焼き付けた。

来場者数は3万6116人。入場チケットは、シリアルナンバー付きの「FOR THE FUTRE TICKET 新国立競技場への未来チケット」になっており、記載されたURLにアクセスしてナンバーを登録すると、新国立競技場の完成時、内覧会への招待状が届く仕組み。国立競技場を、スポーツを愛する人々は5年後に再び、この地に帰ってくる。


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