ワカモンのすべて #22

【データ】47都道府県のワカモンを分類してみた

~いまどきの若者のエリア性とは~

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    小木 真
    株式会社ビデオリサーチ マーケティング事業推進局 企画開発部 リサーチ・プランナー

“ワカモンデータ”では、「10人10色のワカモンたち」と題して、メディア・コミュニケーション行動にフォーカスした「若者まるわかりクラスター」という分析から、10タイプのいまどきの若者像を紹介してきました。

こういったお話をすると、「でもそれって都会の若者の話でしょ?」「都会と地方ってやっぱり違うんじゃないの?」というご指摘を頂くことがあります。もちろん人の価値観や行動に影響を与える要素として、地域性はとても重要ですし、それ以外にも、過ごしてきた時代、教育制度、家庭環境など、数多くの要素が挙げられます。

ただ、地域性をコミュニケーション環境という側面で見ると、スマートフォンをはじめとするコミュニケーションツールの進化と浸透、ITインフラの発達によって、全国どこにいても同じ情報・コンテンツ・体験を、同じタイミングで得ることが容易になりました。それも無料あるいは安価に。SNSを使えば、遠く離れている友人や家族、同じ趣味を持った知らない他人とも交流ができるだけでなく、有名人とさえ“ツナガル”ことが可能になりました。地域や距離による情報格差は格段に狭まり、こういった面からも、若者が都会に感じる価値、地元に感じる価値が変わってきています。

今回の分析では、「都会に出なくてもネットでモノが買える」「ツナガリが持てる」今の時代において、あらためて“若者の地域性=エリア性”に着目し、地域に対する愛着や思い入れ、ファッションやトレンドへの感度、政治や社会問題に対する関心、といった生活意識や価値観を元にしたクラスター分析を行い、全国47都道府県の15~24歳の若者を8つのパターンに分類してみました。

47都道府県の若者を分類した「若者エリアクラスター」 

今回分類したパターンを簡単にご紹介させていただくと、まず4つ。

・ファッションやトレンド感度の高く買い物好きな「幸せマイライフさん」(14.9%)
・積極性が低いが興味範囲が幅広い「空気読むキャラつくりさん」(6.6%)
・世の中ゴト全般に関心が低い「低体温さん」(11.7%)
・少子化やエネルギー問題など将来に関連する社会課題に関心が高い「漠然と不安さん」(14.0%)

*カッコ内の数値は15~24歳全体を100%としたときの構成比

 

さらに、インターネットを活用した情報との付き合い方の違いで、2つのクラスターに分かれます。

・「ネット社会派さん」(11.5%)
政治・経済・社会問題に関心があり、ITリテラシーが高い。首都圏、大学生に多い。
自分なりの情報の取捨選別方法があり、みんなでいるよりも1人を好む。

・「ネット付き合い上手さん」(11.4%)
パソコンやモバイルを駆使して、自分の趣味や興味に対する知識欲を満たすのが得意。
新しいものや変わったものが好きで、好きなものには出費を惜しまない。

この2つは、どちらもインターネットの使い方に特質があるクラスターですが、前者は目線が世の中ゴトに、後者は自分ゴトへ向いていて、それぞれの欲求を満たすために、うまく情報をハンドリングしているグループ、といえそうです。

「しっかりもので地元love」な若者と、「なんとなく地元が好き」な若者

今回、最も特徴的だったのは、地元に対する愛着や思い入れが強い2つのクラスター。

「若者の地元志向」というと、地元が好きで東京などの大都市に憧れない、住んでいるエリアの外に関心が広がっていかない、地元のコミュニティーを大事にし、行動半径が狭く郊外の大型ショッピングモールへ集う、といった特徴が語られることが多いですが、今回の分類では、「地元好き」マインドを持つ若者にもグラデーションがあることが分かりました。

・「しっかりものな地元loveさん」(14.5%)
地元愛が強く、地元の政治・行政や社会問題への意識が高い。
地域の行事やお祭り、ボランティア活動にも積極的に参加し、
義理人情を大切にして、まわりとすぐ打ち解けるタイプ。

・「なんとなく地元好きさん」(15.3%)
地元への愛着が高く、暮らしやすいと感じている。
世の中ゴトに対する関心や、情報や買い物などへのこだわりはあまり高くない。

地元に愛着があるからこそ地域に目を向け、関心を持ち行動を起こす「しっかりもので地元love」な若者、地元に愛着があるものの、実際にあまり行動や強い関心には及ばない「なんとなく地元が好き」な若者。2つのクラスターのエリア分布を全国平均と比較すると、前者は中部・九州沖縄エリアに多く含まれ、後者は北関東エリアに多い、という特徴が見られます。

「ネット付き合い上手」は今を楽しみ、「ネット社会派」は将来に備える

そんな彼ら彼女らの消費マインドはどうでしょうか?「ネット付き合い上手さん」は、「今の生活を楽しむためにお金を使う方だ(84%)」というスコアがより高く、現在を充実させるための消費に積極的な姿勢が見られる一方で、「ネット社会派さん」は、「将来に備えてお金を貯める方だ(67%)」のスコアが高く、保守的な消費マインドが見られます。「幸せマイライフさん」は「買い物をすること自体が楽しく。好きだ(84%)」のスコアが高く、買い物好き。このクラスターは働いている女性が多く含まれるので、自分で自由に使えるお金の額の影響もあるかもしれません。

先ほど触れた「しっかりものな地元loveさん」は、積極的でもあり保守的でもあり、“しっかりもの”な傾向が見られますが、「なんとなく地元好きさん」は、やや現在を充実させる傾向があるものの、強いマインドは見られません。

都会にいても、地方にいても。全国に散らばる8つのクラスター

8つのパターンの若者は、都会と地方という単純な分かれ方ではなく、全国に分散しています。とはいえ、「関西の若者って○○」「名古屋って△△だよね」と、その土地の文化や地域性がよくネタになるように、それぞれエリア的な特徴が見られます。全国と比較すると、「ネット社会派さん」は首都圏に多く含まれ(16.7%)、一方で、地元マインドが特徴的な2つのクラスターはやや少ない。「幸せマイライフさん」は関西にやや多く(16.3%)、中部では「しっかりものな地元loveさん」が多く含まれる(18.5%)、といった具合です。

今回は、あえて「○○エリアに住む若者の特徴は?」といった、地域=エリアを基点とした描き方ではなく、まず価値観や感度でタイプ分類をした上で、エリア分布の特徴を見てみました。都会にいても地元に積極的にコミットして盛り上げようとする若者もいれば、地方にいても都会的な流行感度や価値観を持った若者もいる。人を分ける要素はけっきょく「人」でありつつも、その地域性の影響が垣間見える結果となりました。

あなたのまわりにいる若者は、どのタイプですか?

 

<分析概要>
※ビデオリサーチ「J-READ」のデータを元に因子分析、クラスター分析を実施。
電通が独自に分析を行った。複数都道府県をくくる集計は地区人口ウエートを加味して算出。
使用データ        :J-READ(全国新聞総合調査)
調査主体          :ビデオリサーチ
調査エリア        :全国47都道府県
分析対象          :15~24歳の男女4193サンプル(J-READ全体では15-69歳 2万8826サンプル)
調査時期          :2013年10月20日(日)~10月26日(土)
調査方法        :無作為電話番号による郵送調査

 

【ワカモンプロフィール】

電通若者研究部(通称:ワカモン)は、高校生・大学生を中心にした若者のリアルな実態・マインドと 向き合い、彼らの“今”から、半歩先の未来を明るく活性化するヒントを探るプランニングチームです。彼らのインサイトからこれからの未来を予見し、若者と 社会がよりよい関係を築けるような新ビジネスを実現しています。現在プロジェクトメンバーは、東京本社・関西支社・中部支社に計14名所属しています。ワカモンFacebookページでも情報発信中(https://www.facebook.com/wakamon.dentsu)。

プロフィール

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    小木 真
    株式会社ビデオリサーチ マーケティング事業推進局 企画開発部 リサーチ・プランナー

    2013年から2015年9月、電通へ出向。「若者研究部(電通ワカモン)」で、各種リサーチや学生とのフィールドワークなどを通じた若者の生活実態研究、インサイト探索、ナレッジ開発を推進。それらを元にしたプランニングやコンサルティング支援を行う。食を通じて生活者インサイトを研究・発信する電通総研「食生活ラボ」のメンバーとしても活動。共書に「若者離れ」(エムディエヌコーポレーション・2016年)

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