ワカモンのすべて #30

はやりの若者行動から“若者の欲望”を考えてみた。

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    小木 真
    株式会社ビデオリサーチ マーケティング事業推進局 企画開発部 リサーチ・プランナー

イマドキの若者像は多種多様。これまでのワカモン・データでは、さまざまな若者像を“データ”を元にご紹介してきました。今の時代やコミュニケーション環境を投影した新しい若者像もあれば、昔からいるなぁ、という若者像もあったのではないでしょうか。
世の中で取り上げられる若者の姿は、ともすると少しエキセントリックに映りがちです。渋谷のスクランブル交差点でハイタッチしたり、コスプレや仮装して街を練り歩いたり。ただ、モノを買わない、消費をしないといわれがちな彼らのそういった行動や発言には、イマドキの若者の「欲望」を満たせるものがあり、時間やお金をそこに費やしてもいい、と思えるナニカがあるわけです。彼ら自身が気づいているかいないかは別として。

今年、話題になった若者行動は何でしょうか。どのくらいの若者がそれをしていたのでしょうか。今回のワカモン・データでは、若者=大学生として、全国の大学生600人に行ったアンケートの結果を元に、イマドキの若者行動について”データ”から見てみたいと思います。

 

大学生の4人に1人がした○○

さまざまな行動やイベントについて「1年以内にやったことがある」という経験を聞いてみたところ、ワカモン・マンガ第2話でも取り上げた「たこ焼きパーティー(タコパ)」が24.0%、大学生の4人に1人という結果でした。家に集まるキッカケとして、カレーやピザ・鍋など、たくさんの“○○パ”ネタがある中で、あえて「タコパ」に限定して聞いたので、4人に1人はそこそこ多いといえるのではないでしょうか(余談:エリア別では、関西の大学生が少し高めのスコアに。タコ焼きが有名な土地柄もありそうですね)。同レベルのスコアで「人狼ゲーム」(26.8%)も挙がっています。数人ひと組で、プレーヤーが人間と人狼に分かれ、誰が人狼なのかを会話の中で当てていく推理ゲームですが、昨年くらいからテレビ番組やゲーム用のスマホアプリが出るなど話題になりました。

「タコパ」も「人狼ゲーム」も、身近な友人との時間を、より充実して過ごすための場でありツールです。何をする、というより、誰とする、一緒に過ごす時間をどうやって充実させるか、ということを重視するイマドキの若者を引きつける要素があったワケですが、この2つは、今年の旬というよりは、ここ数年で流行っているものでもあるので、この2つが挙がったのは浸透して定着したから、ということが言えそうです。

 

ポテンシャルゾーンにある行動は?

今回のアンケートでは、さまざまな行動やイベントの1年以内の経験率とともに、「参加意向」(行動をしたり参加したりしたいか)、そして「流行実感」(自分の周りの大学生で流行っていると思うか)も合わせて聞いてみました。その3つの指標を1つのグラフで表現したのが、下のグラフです。

横軸に「経験率」、縦軸に「参加意向」、バブルの大きさが「流行実感」を表しています。このグラフで見ると、先ほどの「タコパ」は経験率も参加意向も高い右上のゾーンに位置し、若者への定着度合いが確認できます。近いところには、「一人でカラオケ」や、先日ハロウィーンで話題になった「コスプレ・仮装」、「パンケーキの人気店の行列に並ぶ」、ワカモンでもたびたび取り上げている“イベント欲”の発露でもある「音楽系の野外フェスに行く」といった行動がプロットされています。先ほどの「人狼ゲーム」は、経験した大学生は多いものの、参加意向は高くないゾーンにあるので、一部の大学生に支持されているのか、もしくは旬が過ぎた、ということかもしれませんね。

やったことのある大学生は多くはないが、やってみたい大学生が多い、という行動がひしめき合っているところを「ポテンシャルゾーン」と名付けてみました。リアル脱出ゲームや、都心でバーベキュー、カラーパウダーを浴びながらジョギングをするイベント「カラーラン」といったものがこのゾーンにありますが、来年以降、さらに裾野が広がって右上の「タコパゾーン」に行くのか、まったく新しい行動やイベントが生まれてくるのか注目です。

ここで重要なのは、グラフにおけるそれぞれの項目の近さは、経験と欲望の「総量」の近さであって、どんな要素に引かれているのかというコンテクストは異なる点です。提示した選択肢がそうだった、といわれればそれまでですが、挙がった項目の多くが“遊び”にまつわる要素が強いのに対し、「ボランティア活動に参加」といった社会的行動も、比較的高いスコアを示しています。背景にはまた違った欲望がありそうです。

 

2人に1人が人間関係をリセットしたくなることがある

行動は「欲望のアウトプット」の結果ともいえます。何かに引かれたから、その行動をしているはずです。では、イマドキの若者にとって、それが何なのかというと、一つの大きな要素に「つながりを充実させる」ということがあります。

今の若者は、周りの人とSNSで簡単につながることができ、また、中学や高校の友達ともつながり続けるので、ツイッターやフェイスブックを見ると、数百人、千人単位で「ともだち」がいる子も珍しくありません。なので、「つながりを充実させる」ための行動や消費が活発になる一方で、「つながり過多」「つながり疲れ」という言葉が言われるように、広がり過ぎてしまった人間関係を整理したいという欲望が生まれてきています。

今回のアンケートでも、人間関係をもっと広げたい、深めたい、と7割以上の大学生が思う一方で、「リセットしたくなることがある」という回答が2人に1人という結果に。人間関係を遮断したいということではなく、整理して再構築したい欲望と読み解くと、例えば今年、カップルや親しい友人とだけつながる「クローズドSNS」が話題になったのもその一端かもしれません。つながりを再構築するもの、つながりの質を高めるもの、そういった行動や消費が今以上に増えていくのではないでしょうか。
あなたのまわりにいる若者は、どんなことをしていますか?

<調査概要> 
調査対象    :      四年制大学の大学1年~4年生(600ss)
調査エリア  :      全国
調査方法    :      スマートフォンによるインターネットアンケート
調査モニター:     タダコピアプリ会員(株式会社オーシャナイズ)
調査期間    :      2014年10月26日(日)~10月29日(水)

【ワカモンプロフィール】

電通若者研究部(通称:ワカモン)は、高校生・大学生を中心にした若者のリアルな実態・マインドと 向き合い、彼らの“今”から、半歩先の未来を明るく活性化するヒントを探るプランニングチームです。彼らのインサイトからこれからの未来を予見し、若者と社会がよりよい関係を築けるような新ビジネスを実現しています。現在プロジェクトメンバーは、東京本社・関西支社・中部支社に計15名所属しています。ワカモンFacebookページでも情報発信中(https://www.facebook.com/wakamon.dentsu)。

プロフィール

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    小木 真
    株式会社ビデオリサーチ マーケティング事業推進局 企画開発部 リサーチ・プランナー

    2013年から2015年9月、電通へ出向。「若者研究部(電通ワカモン)」で、各種リサーチや学生とのフィールドワークなどを通じた若者の生活実態研究、インサイト探索、ナレッジ開発を推進。それらを元にしたプランニングやコンサルティング支援を行う。食を通じて生活者インサイトを研究・発信する電通総研「食生活ラボ」のメンバーとしても活動。共書に「若者離れ」(エムディエヌコーポレーション・2016年)

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