ろーかる・ぐるぐる #50

ローカル経営者座談会(前編)
「恥をかかなきゃ始まらない」

  •     2
    原田 青
    ローズメイ 代表取締役
  • 須藤 勝利
    Growth 社長
  •     a2
    加藤 陽介
    だし屋大友 店主
  • 栗田 健一郎
    47CLUB(よんななクラブ) 代表取締役社長
  • 4
    山田 壮夫
    株式会社電通 第1CRプランニング局

2月某日。名古屋のデパートで行われていた「全国逸品うまいものまつり」のあと、ローカルで頑張る経営者のみなさん(ローズメイ代表取締役 原田さん、Growth社長 須藤さん、だし屋大友店主 加藤さん、よんななクラブ代表取締役社長 栗田さん)と一杯やりました。とても刺激的なお話を伺えたので、2回シリーズでご報告します。

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左から、自分(山田)、原田さん、須藤さん、加藤さん、栗田さん

栗田:昨日は松山の催事の流れで深夜2時まで寿司屋で飲んでいたら、胃がいてぇんだ。

山田:流れって、なんですか?(笑)

栗田:だからきょうは焼酎お湯割り。

全員:かんぱーい!

須藤:そもそもぼくらの話を読みたい方なんていらっしゃるんですかね?

栗田:いねぇな(笑)。

山田:いやいや(笑)。でも単純な話、加藤さんは地元だからいいとして、原田さんは秋田、須藤さんは青森からじゃないですか。遠方の催事って交通費も宿泊費もかかるし、それほど儲からないと思うんですけど、なんで出店しているんですか?

原田:うちは秋田に工場があってジャムなんかをつくってますけど、やっぱり自分で売ることってとても重要なんです。
うちは代々どこかに商品を卸して販売してもらうのが中心でした。けれどあの3.11東北に震災があって、それまで使っていた蜂蜜が突然使えなくなっちゃって、そしたらいろいろな流通さんから「じゃぁ他のところに頼むからもういいよ」って言われちゃったんです。ひとつ流通を開拓するのは大変だけど、切られるのはホント、簡単。任されていた棚ごと変えられちゃう。1億円売り上げが落ちて、1億円借り入れが増えました。それ以来ですね、どこかに卸すだけでなく、自分で売らなくちゃ!と強く思ったのは。ネット通販もよいですが、正直それだとお客様の顔が見えないんです。その点、デパート催事は何が良くて何が悪いのか、ビンビン感じることができます。

加藤:ぼくはずっと催事はお断りして、ネット通販だけやっていたんです。でもある日、ヤングママ向けのイベントに「出店料は無料でリスクもないから」と強引に誘われたのがきっかけで。

栗田:お客さんがカワイくて、それからハマっちゃったんだ(笑)?

加藤:そうかもしれないです(笑)。っていうより、その3日間で全然売れなくて。周りに売り上げを聞かれると恥ずかしいし、とにかく悔しくて、悔しくて。そのとき実は須藤さんにアドバイスをもらって、試してみたら売り上げが伸びて。なんとか負けたくないと思って取り組んでみたら色々勉強になって今日に至る感じですかね。

須藤:その時アドバイスしたのは「仮説を立ててチャレンジしよう」ということと「PDCA、それを検証し改善しよう」ということでした。でも逆にネット通販のことを加藤さんからいろいろ教わっているんです。お客様への商品案内メールとか、ちょっと怠けたくなることがあるんですけど「社長がサボって会社がつぶれたらどうするの」と言われて以来、一回も休んでいないです。

加藤:そうだったんだ(笑)。

原田:ローカルの中小零細にとって、直接お客様にセールスをする機会って、ホント貴重です。でもネット通販の会社だった「よんななクラブ」がどうしてデパート催事も手掛けるようになったんですか?

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栗田:加藤さんと一緒ですよ。基本、悔しかったから。たまたまあるデパートさんから「全国の地方新聞社厳選の商品で催事をやりたい」とお誘いを受けて、お断りするのもなんなんで引き受けたら、これがまったく売れなかった。惨敗(笑)。そうしたらデパートには罵倒されるは、出店してくださったお店からは文句言われるわ。「なんで俺、こんなにボコボコなんだろう」って(笑)。それでハートに火がついて。百貨店さんと対等にビジネスをできるようになりたい、と思ってから真剣に取り組み始めたの。最近になってようやく、ある程度認められてきたかな。

山田:いろいろなご縁で各地の経営者にお会いしますが、実は大半の方は「困ってる」「困ってる」とおっしゃるけれど、何も手を打てていない。やっぱり上手くいっている企業は失敗を恐れずにチャレンジしてますよね。

須藤:恥をかくのを恐れていたら、ぼくらのような企業は何もできないですよ。青森はごぼうの生産量が日本一なんですが、その分、規格外のごぼうも大量に出ちゃうんです。それで「これは何とかしなくちゃ」と思ってごぼう茶のビジネスを始めたんですが、地元の流通とかに持っていっても「いい、いい」って、言われて。

加藤:良かったじゃない。

須藤:あっ!「いらない、いらない」って意味の「いい、いい」(笑)。だから地元にいるだけでは無理なんですよ。だからぼくだけでも1年で200日以上、会社全体だともっと多く催事で全国を回ってますよ。

山田:そりゃ大変ですね。なんでそんなに頑張れるんですか?

…みなさん一日売り場に立っていて喉が渇いているせいか、次々とビールをおかわりし。そして激動の後半に続くのでした。

プロフィール

  •     2
    原田 青
    ローズメイ 代表取締役

    ローズメイの3代目。創業百年企業を目指して、国産ネーブルオレンジを輪切りにして国産はちみつで煮詰めた「オレスラ」などを開発。

  • 須藤 勝利
    Growth 社長

    青森の高校卒業後、東京でDJとして活躍。その後地元へUターンをして、ごぼう茶の製造を通じてフェアトレードに取り組むGrowthを創業。

  •     a2
    加藤 陽介
    だし屋大友 店主

    だし屋大友は昭和52年、名古屋で創業。その事業を受け継ぎ、いまはその永く愛されている「だし」を広める道を邁進中。

  • 栗田 健一郎
    47CLUB(よんななクラブ) 代表取締役社長

    まだニュースになっていない逸品を地方新聞社が紹介するお取り寄せサイトを運営するよんななクラブの社長。近年は各地の中小企業とともにさまざまな販路拡大の道を模索。

  • 4
    山田 壮夫
    株式会社電通 第1CRプランニング局

    1969年生まれ。アイデアを核として広告キャンペーンはもちろん、店舗開発からテレビ番組の製作まで手掛ける。特に最近は全国の地方新聞社厳選お取り寄せサイト「47CLUB」と連携してローカルにおける商品開発作業にチャレンジしている。2009年カンヌ国際広告祭(メディア部門)審査員。慶應義塾大学(メディア・コミュニケーション)、明治学院大学(経営学)非常勤講師。著書に『〈アイデア〉の教科書 電通式ぐるぐる思考』(朝日新聞出版)。

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