ここを聞きたい!
地上波テレビ広告の現在(リアル) 
第2回「スポーツ」

生活者を取り巻くメディア環境の多様化が進んでも、テレビは広告メディアとして依然、期待されています。一斉同報、一斉受動。このスタイルはテレビ独自のもの。近年テレビ離れがささやかれるものの、数千万人規模で発信される大規模な認知や低関与層まで含めた幅広い層への興味喚起に、最も影響が強いメディアとして、高く評価されています。また一方で、インターネットとの連携やコンテンツパワーとのシナジーによる多角的なテレビ活用の手法や、広告主に対する投資対効果のより精緻な検証手法など昨今の動きにも注目です。

この特集では、現場目線の直球質問に、電通ラジオテレビ局員に答えてもらいました。テレビ広告をめぐる「リアルな今とこれから」の一端を4回にわたってお伝えします。


Q2:「スポーツ」はテレビのキラーコンテンツ。広告面での新しい取り組みはありますか?

赤松 英治氏

答える人:赤松 英治氏(業務統括部)

スポーツがキラーコンテンツである理由は、人生を懸けて積み重ねた真摯(しんし)でひたむきな努力を背景に、アスリートが文字通りぶつかり合う、演出のないガチな映像である点に尽きるのではないでしょうか。特にスポーツの中継は、予定調和でなくライブで視聴できるという、テレビの本質的な強みを最大限発揮するコンテンツの一つといえます。そのようなスポーツの影響力、多くの人の心を動かす強みを生かして、広告面ではさまざまな取り組みが行われています。

今年1月のサッカーのAFCアジアカップ2015。テレビ朝日の中継内で、3分という異例の長尺CMが展開されました。マイクロソフトのタブレット「Surface」のCMで、テレビ朝日のサッカー中継で使われるフレーズ「絶対に負けられない戦いが、そこにはある」との親和性を核に「ビジネスにも、絶対に負けられない戦いがある」というコピーを設定。ビジネスマンがSurfaceを使って奮闘するストーリーを流しました。新聞紙上ではSurfaceとテレビ朝日のアジアカップの広告を掲載するなど多面的な展開がなされました。

ASIAN CUP 2015

この広告は、スポーツ中継の力をうまく活用できた例だと思います。まず、「絶対に負けられない~」という番宣のフレーズの認知が高いこと。そして、親和性のあるクリエーティブにより数分間の長尺CMでも視聴者を逃さないこと。広告主の製品と強いコンテンツの特性とクリエーティブ表現が適正にマッチしているからこそ、結果として圧倒的に強い訴求ができたといえます。同中継では日本航空も選手を起用した長尺CMを放送しており、同様のスタイルは増えていくのではないでしょうか。

また既にソチオリンピック、W杯で実験しましたが、検討しているのは、スポーツ中継のCMのダブルスタンバイシステムです。現行のルールでは、放送の3日前には流すCMを指定しなければなりません。しかしスポーツ選手が出演するCMなどの場合、試合の結果次第では、その内容がネガティブなイメージを与えてしまう恐れがあります。逆に、日本選手が勝った直後にそれに応じたCMが流せれば、価値は何倍にも高まるはず。そこで例えばCMを2パターン用意して、結果に合わせて素材を選択する特別メニューを、運用ルールをきちんと定めた上で用意する。これはほんの一例ですが、“コンテンツ×CM”の価値を一層高める方策はまだまだあると考えています。


バックナンバー
 

#04 ここを聞きたい!地上波テレビ広告の現在(リアル)「その他全般」
#03 ここを聞きたい!地上波テレビ広告の現在(リアル)「エリアプロモーション」
#02 ここを聞きたい!地上波テレビ広告の現在(リアル)「スポーツ」
#01 ここを聞きたい!地上波テレビ広告の現在(リアル)「デジタル」

関連記事

続きを見る
ページ先頭へ