ワカモンのすべて #35

海外の若者とワークショップをして気づいたこと。(後編)

  • Momoko trimming r
    大蔵 桃子
    株式会社電通 マーケティングソリューション局

前編に続き、学生団体「Bizjapan」のメンバーとワカモン研究員の大蔵がディスカッションを通して、海外の学生と日本の学生との違いを探ります。話題は若者二人のタイプの違いにも発展…?
“ワカモン”のリアルな声が満載の後編、スタートです。

 

起業家教育が進んでいる海外の大学。

大蔵:今回Bizjapanが行ったワークショップは「アントレプレナーシップ」がテーマでした。海外の学生が考えるアントレプレナーシップと自分たちの考えるそれとの間に違いはありましたか?

B君:僕らは日本のベンチャー企業を海外の学生に紹介したり、アントレプレナーシップに興味のある日本の学生と海外の学生が交流することで有意義な学びが提供できると思っていたのですが、彼らにとっては少し物足りなかったみたいです。

A君:たとえば北京大学にはアントレプレナーシップを学ぶコースがあるので、彼らとしてはもう一歩踏み込んだ学びの場が欲しかったのかもしれない。

大蔵:私がアメリカの大学生だった時に、日本とアメリカの学生がなりたい職業のランキングの比較を見たことがありました。日本で下位に出てくるものがアメリカでは上位で、キレイに正反対だったことが衝撃的でした。当時のデータですが、日本の1位は大企業のビジネスマンなのに対し、アメリカは確か社長(起業)が1位だったかな。アントレプレナーシップと一言で言っても、国によって捉え方は違いがありそうですね。そもそも、留学経験のない二人がBizjapanのコアメンバーになろうと思ったのはどうしてですか? 潜在的に海外へ行きたい欲求がある中で、外からの刺激が入ってくる体験をしたかったのでしょうか?

B君:もちろん「アントレプレナーシップ×グローバル」という掛け算が面白そうだとは思っていたのですが、正直なところアントレプレナーシップにもグローバルにもそこまで強い思い入れがあったわけではないです。コアメンバーに入ったのは、イベントをやるならトップをやった方が間違いなく良い経験ができると思ったからです。

0を1にするのは苦手だけど、1を100に近づけるのは得意なワカモン。

大蔵:今、B君が話してくれたようなマインドは、最近の日本の若者に結構多いと感じます。自分の中で「これを絶対にやりたい」という明確なwantがあるのではなく、自分の外側に大きな組織や所属があって、そこに参加することで自分の中にwillができるというタイプ。0から1を生み出すことよりも、1を限りなく伸ばしていく能力に長けている。昔から日本人にはその性質を持った人が多かったと思いますが、近年の若者たちは知識や情報をたくさんストックしているので、いわゆる「キュレーション」が上手ですよね。その一方で、自分の内側から湧き出るようなwantはすぐに出てこなかったり。先ほど二人とも「留学をしたい」と言っていましたが、そう言いながらもまだ実現していないのは、留学はwantがないとなかなか行動に移せないことだからではないでしょうか。

B君:うーん…そう考えるとアントレプレナーシップに興味があるのは、その性質が自分にないものだから引かれるのかも…。そういう意味では、海外の学生の方が自分の中にwantやwillがある人が多いのかもしれません。

A君:僕は今回のワークショップで色々なベンチャー企業と出合って、「友達と集まって新しい商品を生み出した」というエピソードにとても引かれました。自分の中にwillがあるかは分からないけれど、willを実現させていく仕事の方が面白そうだと思ったんです。

大蔵:「仕事観」についてそのような気づきが得られただけでも、今回のワークショップは二人にとって有意義なものだったのでしょう。

A君:本当にそう思います。今回、プロジェクトを進める中で多くの企業と関わらせていただき、社会人の方から指摘をいただくことも多々ありました。これまであまり経験しなかったことだったので正直すごく落ち込んだんですけど、学生のうちにそういう機会を得られたことは今後絶対に役立つと思っています。

大蔵:近年の若者は知らない人に怒られる機会が少なかったり、壁にぶつかることがあまりない。中には反抗期もない人がいたりして、社会に出てから初めて壁にぶち当たって折れてしまう人もいると言われています。海外では怒られることはないけれど、常に生活の中や議論の場で勝ち負けがあって悔しい思いをしますからね。プロムとかもそうですし(笑)。「同調」なんて言ってられない。

A君:そう、僕の中ではすべてが戦いなんですよ。今回のワークショップも、留学も、このディスカッションの場も(笑)。今回、海外の学生と出会って「負けた」と思いました。留学を決意したのは、負けたのが悔しいからなんです(笑)。

大蔵:すごい闘争心(笑)! またいつか、海外の学生と勝負しないとだね。


ディスカッションでは、海外の若者と日本の若者との違いを発見するだけでなく、組織の目的に関係なく自分の中のwillを実現させることに情熱を燃やすA君、組織の目的を100に近づけることに長けているB君と、二人の若者の「物事への取り組み方」に関するタイプの違いも見出すことができました。我々のチームの中で日々感じている最近の若者の傾向を、生の声としてご紹介できたのではないかと思います。

今回のワークショップを通じて二人が大きな刺激を感じたのは確かなこと。「若い人が海外に興味がない」「大きな壁にぶち当たらない」と言われている中で、積極的にこのような経験をつくろうとしている学生団体を、今後もワカモンは応援していきたいと思います!

【ワカモンプロフィール】

電通若者研究部(通称:ワカモン)は、高校生・大学生を中心にした若者のリアルな実態・マインドと向き合い、彼らの“今”から、半歩先の未来を明るく活性化するヒントを探るプランニングチームです。彼らのインサイトからこれからの未来を予見し、若者と 社会がよりよい関係を築けるような新ビジネスを実現しています。現在プロジェクトメンバーは、東京本社・関西支社・中部支社に計14名所属しています。ワカモンFacebookページでも情報発信中
https://www.facebook.com/wakamon.dentsu)。

プロフィール

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    大蔵 桃子
    株式会社電通 マーケティングソリューション局

    マーケティングソリューション局 マーケティング・プランナー。2013年から、10〜20代の若者を対象にしたプロジェクト「若者研究部(電通ワカモン)」と、ギャルをターゲットとした「電通ギャルラボ」の研究員として、若者向け・女性向け商品のリサーチ・プランニングを担当。2008年には、子ども市場を開拓するプロジェクトチーム「ジセダイ育成委員会」の立ち上げに参画し、現在も所属中。ママ向け商品や子どもを起点とするブランドのプランニングも行う。

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