加速する動画の「オムニ視聴」 #03

動画視聴のゴールデンタイム(通勤・通学時)を調査

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    立木 学之
    株式会社電通 電通総研 メディアイノベーション研究部 主任研究員(2015年末時点)

近ごろ電車やバスなどの公共交通機関でスマートフォンやタブレットで動画を視聴する行動が頻繁に観察されるようになった。視聴されているコンテンツも、ニュース、スポーツ、バラエティー、ドラマなどジャンルはさまざまである。当連載で報告している若年層のインターネット動画オーディエンスインサイトの中でも、今回は通勤・通学時に限定して動画視聴行動を分析する。シチュエーションとしては限定的だが、1日のうち比較的多くの時間を占める通勤・通学時は、動画視聴拡大のポテンシャルをもっていることが読み取れる。


◆ 通勤・通学時に若年層の2割が毎日動画を視聴

調査の結果、18~29歳の通勤男性の約半数が動画を見たことがあり、そのうち21.8%が1日に1度以上動画を視聴することがわかった(図表1)。18~29歳の通勤女性は男性よりも頻度は少なく、それでも18.4%が1日に1回は動画を視聴している。通学者は通勤者とほぼ同じで、約2割前後が動画を毎日見ていることになる。

図表1

◆ 通勤・通学時間の約1/3を動画視聴に費やす

 

若年層は通勤・通学や男女の性差を問わず、乗車時間の約1/3を動画視聴に費やしている(図表2)。

図表2

通勤18~29歳男性は33.4%、通勤18~29歳女性は34.0%、通学男性も34.0%、通学女性は36.3%というスコアとなった。また、乗車時間としては、通勤者よりも通学者の方が長く、通学者は平均して約51分という結果となっている。通学時間が長いということは、それだけ動画を視聴する時間が長いことを意味しており、通学者は平均して18分弱の時間をかけて動画を視聴する。地下鉄でネット通信環境が整備される以前、あるいはスマートフォンが市場に出回る前の時代には想定することすらできなかった光景が広がっているのだ。

また、若年層の通勤・通学時の利用サービスでは、YouTubeやニコニコ動画などの共有系動画サービスの利用が圧倒的に多いという結果が得られた(図表3)。

図表3

通勤18~29歳男性は80.7%、通勤18~29歳女性は86.7%が共有系動画サービスを利用しており、それぞれ上の年代よりもスコアが高いのが特徴だ。共有系動画サービスは、とりわけ通学女性のスコアが91.6%と非常に高く、それ以外のテレビ放送系や配信系動画などの利用率が低い。

◆ 視聴コンテンツはテレビで人気系のジャンル

 

共有系動画サービスの利用率は高いことがわかったが、視聴されている中身はどんなものであろうか(図表4)。

図表4

「PV/音楽」は若年層、特に女性のスコアが高く、18~29歳では62.7%が視聴している。通学女性はさらに高く、67.5%である。男性は「スポーツ」や「アニメ」のスコアが比較的高い。「PV/音楽」は必ずしもテレビ由来のコンテンツとは言い切れないが、「報道/ニュース」「スポーツ」「バラエティー」「お笑い」「ドラマ」「アニメ」といったコンテンツはテレビで人気の番組ジャンルであり、通勤・通学時においてテレビの影響力の大きさが垣間見られる結果となった。

 

◆ 通勤・通学時の動画視聴には、ひまつぶしと癒やしを求めている

 

通勤・通学時に動画を視聴する理由としては、「ひまつぶしにちょうどいいので」がトップ。特に、通学女性85.5%、通学男性75.9%と、通学者でスコアが高い。 また「乗車ストレスから解放されるので」を挙げたのは、通勤女性の18〜29歳が36.1%、通学女性が30.1%とほかの層より比較的高く、動画を視聴することでストレス解消する傾向は若年女性の方が大きいことがわかった。若年層にとって、動画視聴行動は、通勤・通学時のひまつぶしと癒やしを同時に叶えてくれる格好のサービスになっている。

【通勤・通学時における動画視聴調査 概要】
・調査方法:インターネット調査
・調査地域:1都3県(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)
・調査対象:男女15〜49歳 664人
①通勤者:18歳〜40代で働いている人 498人
②通学者:高校生・高専生・専門学校生・大学生(上限25歳まで) 166人
・対象者条件:通勤・通学時に電車やバスに乗る人のうち、
 通勤・通学中に週1度以上動画を視聴する人
・調査時期:2014年6月19日~ 21日
・調査会社:株式会社電通マクロミルインサイト

プロフィール

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    立木 学之
    株式会社電通 電通総研 メディアイノベーション研究部 主任研究員(2015年末時点)

    入社以来、世代研究や男性消費トレンド研究のほか話題注目商品プロジェクトなどを担当。営業局にて大手自動車会社を担当した後、電通総研にて中国市場とインド市場のインサイト開発に従事。2012年1月より「電通日本の広告費」「世界の広告費」「情報メディア白書」の制作をはじめ、各種オーディエンスインサイト構築を手がける。2016年からインターネット広告のセールスを手掛けるセクションへ異動。

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