「マス富裕層」をつかまえろ! #01

ターゲットは富裕層女性!5つのタイプ別インサイト

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    石井 香織
    株式会社電通デジタル シニアコンサルタント
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    高橋 一樹
    株式会社電通デジタル チーフアナリスト

◆“マス”富裕層って何?(石井・高橋)

皆さんは「富裕層」というと、どのようなイメージが浮かぶでしょうか? 六本木に住み、フェラーリに乗り、毎日おしゃれなレストランでワインを…といったまさに「セレブ」なイメージでしょうか?
そう、まず想像するのは、資産も年収も何億円もあるような大富豪。しかし、そのような「超富裕層」に該当する人たちは、ごくごく一握りです。

一方で今、消費市場で注目されているのは、そういうイメージとはちょっと異なる富裕層…「マス富裕層」とも呼ぶべき人たちなのです。富裕層に“マス”が付くのは、少し違和感があるかもしれません。しかし現在、日本の富裕層の増加率は、世界1位。アベノミクス効果も相まって、富裕層が増加し“マス”化しているのです。

この「マス富裕層」、いったいどのような意識を持った人たちで、どのような生活をしているのでしょうか。

そこで今回私たちは、『25ans(ヴァンサンカン)』『Richesse(リシェス)』『婦人画報』などのファッション誌を発行する出版社・ハースト婦人画報社とともに、日本の富裕層女性の意識や消費行動を探る調査を実施しました。

その際に私たちが富裕層と定義付けたのは、「世帯資産(住宅ローンなどの借金分は除く純資産)1億円以上の人たち」。日本の総世帯の6%に当たり、336万世帯もいます。または「世帯年収2000万円以上の人たち」。こちらは日本の総世帯の1%、56万世帯です。

この「マス富裕層」は消費をする際には積極的にお金を使うため、実際の消費市場の中で、大きなインパクトを持つことになります。

今回の調査で見えてきた富裕層女性の特徴。それでは、その世界をのぞいてみましょう。

◆富裕層女性の特徴とは ~羽ぶりよく、気品高く!(石井)

まず、富裕層女性全体の特徴です。以下ご紹介するカッコ内のスコアは、電通が独自に行った「d-camp X調査」の一般女性平均のスコアになります。

【自由に使えるお金は月に20万円以上!?】
富裕層女性の27.5%が月に20万円以上を自由に使えると答えています。その半分以上に当たる16.8%は「上限なし」と回答しています。ちなみに一般女性で20万円以上使える人は0.3%。93.3%が5万円未満。マス富裕層の旺盛な消費力がうかがえます。

【バリバリ資産運用】
資産運用に関心のある富裕層女性は61.5%(25.5%)。実際に何かしらの運用を行っている人も多く、最も多い国内株式投資では65.4%(6.3%)にも上ります。

ヒアリングでは「それほどでも…」と言いながら積極的に1000万円以上の株式投資運用をしている方が多数。証券のみならず、金融や不動産などの資産運用もしています。

【教育にお金を惜しまない】
「教育にお金を惜しまない」人は74.8%(45.0%)。最近では教育に熱心な層を狙ったさまざまなサービスも展開されており、マス富裕層の取り込みを熱心に行っています。

また、人間関係の多くに「ママ友」が登場します。教育熱心な結果、子どもを私立の学校に入れることが多く、似たような価値観・経済力を持つママ同士、子どもが卒業した後も長い付き合いになることが多いようです。

【健康にも積極的出費】
健康への関心は高く、「健康に役立つなら食生活や健康方法などいろいろと試してみる」45.0%(21.3%)、「健康に役立つなら多少の支出は苦にならない」41.7%(14.6%)など、健康のための努力や出費は惜しみません。ヒアリングでもサプリメントや健康食品、スポーツクラブ、美容サロンなどを積極的に活用する傾向がうかがえました。

【上品さを好む】
彼女たちの理想とする自分像のトップは上品であること。「理想の自己イメージ」では「上品」が32.0%(11.3%)に上ります。彼女たちにとっての上品さとは、立ち居振る舞いやものの考え方、お作法やマナーができていること、落ち着きや言葉遣いなど、「内面的な美しさ」です。

◆富裕層女性の5つのタイプ(高橋)

富裕層といってもみんなが同じ価値観ではありません。さまざまな消費のポイント、価値観があり、それにマッチングさせていかないと確実にその心をつかまえることはできません。今回の調査では、価値観、消費意識を元にクラスタリングを行い、富裕層を5つのタイプに分けました。

富裕層女性の5つのタイプ別割合グラフ

①しっとり・大和撫子タイプ
受け継いだ資産は「使う」ものではなく「守る」もの。

先祖から受け継いだ家屋や資産を守る堅実な保守派。50歳以上の割合が5つのタイプの中で最も高く、年金受給者が多い資産型富裕層が中心です。

他の富裕層タイプに比べて消費意欲は低く、高級ブランドなどは持ちません。

日本大好き。美容やファッション、ブランドものなどへお金を使うことは少なく、普段着はファストファッションやスーパーの衣類、化粧品はドラッグストア。衝動買いもあまりしません。一方で教育など家族のためにはお金をかける傾向が見られます。

①しっとり・大和撫子タイプ

■堅実で安定志向。衝動買いとかしない。
将来に備えてお金を貯めるほうだ 88.7% ≪78.3%≫ (56.3%)
安定志向 72.6% ≪59.2%≫
衝動買いするほうだ 11.3% ≪41.4%≫(44.2%)

■メークも最低限でドラッグストアで買う。
肌の手入れに気を配っているほうだ 35.5%  ≪68.3%≫(65.1%)

■あまりお金は使わないけど教育は熱心。
教育にはお金を惜しまない 61.3% ≪74.8%≫(45.0%)

■日本が好き
国内ブランドより海外ブランドが好き 3.2% ≪48.2%≫(24.6%)
日本文化が好き 62.9% ≪54.0%≫

■理想の自分
「上品な」24.4% ≪32.0%≫(11.3%)
「誠実そうな」 24.4% ≪12.6%≫(8.9%)
「信頼できる」 19.4% ≪17.8%≫(32.1%)

②全力投球・人生謳歌タイプ
仕事もプライベートも全力投球。自分の人生一度きり、妥協は不要。楽しまなきゃ損!

親や配偶者だけではなく、自分も稼ぐ自立派が多いのが、この富裕層タイプです。自分で稼いだお金で自分の人生エンジョイ! 旦那様とは別財布! 仕事、趣味、旅行、ファッション、資産運用など、さまざまなことに対して積極的でブランドものも大好き。人生全力投球です。

流行への感度やファッションへの自信は5つのタイプの中でもトップ。また、社会貢献への関心が高いのがこのタイプの特徴で、環境問題やNPO・チャリティーへの興味は90%を超え、エコバッグも携帯しています。教育への積極性は各タイプ共通ですが、このタイプが最も関心が高くなっています。子どもの可能性を広げてあげたいという気持ちはもちろん、自身も親から熱心な教育を受けているため、自然と自分の子どもにもそうするものだと思っているよう。前向きアクティブウーマンです。

②全力投球・人生謳歌タイプ

■教育への熱意は富裕層一
教育にはお金を惜しまない 91.9% ≪74.8%≫(45.0%)

■資産は増やしてなんぼ。
資産運用に関心がある 71.0% ≪61.5%≫(25.5%)

■流行に敏感でファッションにも自信あり。
流行には敏感である 64.5% ≪46.8%≫(31.1%)
ファッションセンスには自信を持っている 69.4% ≪49.8%≫(27.5%)

■ジュエリーも好きだけどバッグ。王道ブランドが好き。
高級ブランドのバッグを持っている 79.0% ≪69.9%≫(57.5%)
高級ブランドの宝石やアクセサリーを持っている 67.7% ≪57.0%≫(35.0%)

■理想の自分は
「知的な」 32.3% ≪22.3%≫(9.1%)
「上品な」 30.6% ≪32.0%≫(11.3%)
「やさしい」 24.2% ≪16.5%≫(18.0%)

③ふんわり・守られタイプ
一流の夫に守られ幸せを満喫するセレブ奥様。自立していない分、将来への不安も。

主婦の割合が最も高いのがこのタイプです。F2(35~49歳女性)が多く、管理職や医師など「富裕層な夫」を持つ奥様といえるでしょう。5つのタイプの中で最も「男性に守られたい」という思いが強いのが特徴です。

子どものことを最優先して考えつつも、旅行や美容、ファッション、ブランドものなど消費にも積極的で、自分自身の好きなこともエンジョイしているタイプです。外商利用率・高級ブランドのジュエリーや時計の所持率・ステータスを好むのは5つのタイプの中でもトップ。

価値観のはしばしや物事の決定には旦那様の意向が垣間見えます。旦那様ありきの生活なので、将来への不安はちょっと大きめ。

③ふんわり・守られタイプ

■不安も多め。
将来の親の介護への不安 56.4% ≪33.7%≫
将来の自分の老後への不安 52.7% ≪31.1%≫

■デパート大好き。コスメもデパート。
外商を利用している 25.5% ≪17.8%≫

■高級品大好き。
高級ブランドの宝石やアクセサリーを持っている 94.5% ≪57.0%≫(35.0%)
高級ブランドの時計を持っている 85.5% ≪60.2%≫(29.2%)
ステータスのあるものを身に着けたい 56.4% ≪39.5%≫

■理想の自分は
「上品な」 34.5% ≪32.0%≫(11.3%)
「女らしい」 25.5% ≪13.9%≫(6.3%)
「センスのいい」 21.8% ≪11.7%≫(12.7%)

④キラキラ・ミーハータイプ
輝く自分大好き! 自己実現のために仕事も頑張る。

5つのタイプの中で最もおしゃれでミーハーなのがこのタイプです。全世代ほぼ均等に分布し、F1(20~34歳女性)の若年層が最も多いのがこのタイプ。最も着るものやメークにお金をかけ、海外ブランド好き。外商も使う。自分への自信も5つのタイプの中で最も高いです。

お取り寄せ大好き。肉食系男子大好き。でも、ガツガツするのは上品じゃない。上品でエレガントでいたいんです。また、仕事が好きでオンオフのスイッチの切り替えをしているのも、このタイプの特徴です。自分のために仕事を頑張る分、プライベートは思い切り楽しく華やかに!

④キラキラ・ミーハータイプ

■メリハリつけて人生エンジョイ!
仕事とプライベートなど、気分を切り替えるためにおしゃれをする 90.9% ≪71.2%≫(60.0%)
今の生活を楽しむためにお金を使う 79.2% ≪63.4%≫(63.4%)

■デパート大好き。コスメもデパート。
外商を利用している 23.4% ≪17.8%≫

■自分大好き。
自分の仕事に誇りを感じている 72.7% ≪59.5%≫(50.9%)
自分に自信あり 41.6% ≪28.8%≫

■ミーハー。
国内ブランドより海外ブランドが好き 70.1% ≪48.2%≫(24.6%)
流行には敏感である 64.5% ≪46.6%≫(31.1%)
モデルや有名人が身につけたアイテムが欲しくなることがある 41.6% ≪28.5%≫(25.0%)

■理想の自分は。
「上品な」44.2% ≪32.0%≫(11.3%)
「エレガントな」 20.8% ≪11.3%≫ 「おしゃれな」 18.2% ≪9.7%≫(6.4%)

⑤無自覚・隠れタイプ
自分でも気づいていない隠れ富裕層。お育ちの良さがにじみ出る。

若年層が比較的多く、未婚率が最も高い、5つのタイプの中で実家暮らしが最も多いタイプです。年収はなんとなく分かるけど、資産はよく分からない…。

金銭感覚は女性一般に近く、高級ブランドもあまり持たず、ポイントカードやクーポンも活用するなど堅実です。親は富裕層であるものの堅実に育てられたため、いわゆる「その年頃の一般的な女性」の価値観を持っているのでしょう。家族で使っているカードが外商カードであることに気付いていないなど、ちょっぴり浮世離れした一面も。教育熱心な富裕層の親のもと、育ちのいいお嬢さんといった感じです。

また、悩みが多いのもこのタイプの特徴です。恋はしたいけど今の生活もけっこう幸せだから特にあせってない、だけどこのまま結婚できるのか、結婚できなかったら親や自分の老後はどうなるのか…乙女の悩みはつきないようです。

⑤無自覚・隠れタイプ

■一般女性以上に堅実派。
ポイントカードを持っているお店で買い物をするほうだ 88.7% ≪81.6%≫(86.4%)
買い物をする際にクーポン券や割引券をよく利用する 71.7% ≪61.5%≫(35.0%)

■その年頃の等身大。
高級ブランドの宝石やアクセサリーを持っている 35.8% ≪57.0%≫(35.0%)

■理想の自分は
「知的な」 24.5% ≪22.3%≫(9.1%)
「上品な」 22.6% ≪32.0%≫(11.3%)
「誠実そうな」 17.0% ≪12.6%≫(8.9%)

以上が富裕層女性の5つのタイプです。いかがでしたか。富裕層にもさまざまなタイプの方がいることがお分かりいただけたかと思います。

次回は富裕層を熟知した、ハースト婦人画報社『25ans』『Richesse』の編集長、十河ひろ美さんとの対談をお届けします。お楽しみに!

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【富裕層調査 概要】
・定量調査
調査手法:インターネット調査
実施期間:2015年2月25~27日
調査対象:日本全国の世帯純資産1億円以上または世帯収入2,000万円以上の世帯の20~60代の女性
309人
調査実施機関:<企画>電通、ハースト婦人画報社 <実査>電通マクロミルインサイト
・定性調査
調査手法:デプスインタビュー調査、ホームビジット調査
実施期間:2015年4月8~26日
調査対象:5つのクラスターの特徴にあてはまる人 計13名
対象エリア:関東、関西
調査実施機関:<企画>電通、ハースト婦人画報社  <実査>電通マクロミルインサイト
・参考の一般女性スコア【電通d-camp X調査概要】
調査手法:専用タブレット端末貸与による電子調査票方式
調査期間:2014年9月~2015年3月
調査対象:ビデオリサーチ社ACR/exパネル
東京50km圏の12~69歳男女個人(無作為抽出)、約4,800サンプル (20~69歳の一般女性2,749人
抽出し、富裕層女性と比較)
調査実施機関:<企画>電通  <実査>ビデオリサーチ
 

 

プロフィール

  • 20150730 015 2
    石井 香織
    株式会社電通デジタル シニアコンサルタント

    2002年電通入社。衛星メディア局でBSデジタル放送・CS放送の担当を経て、2009年マーケティング部門へ。飲料、酒類、食品、ファッションなどのメーカーから官公庁まで、国内外の様々な業種のプランニングを担当。
    「ジセダイ育成委員会」「ママラボ」プロジェクトメンバー。加えて、富裕層を絶賛研究中。
    母として、女性として、一個人としての感性を大切に、日々精進しています。

  • 20150730 002 2
    高橋 一樹
    株式会社電通デジタル チーフアナリスト

    2010年電通入社。化粧品会社担当営業として、ウェブサービスのローンチや若年層向けプロモーションなどの業務を担当。その後、データソリューション開発セクションで、海外分析会社と協業したBIソリューション開発を担当。
    現在は大学院時代に得た応用統計学やデータ解析のスキルを生かして、食品、飲料、出版社、トイレタリー、インフラなどのクライアントに対して、様々なデータを活用した分析と、それに基づくデータドリブン型のマーケティングコンサルティングに従事。
    2005年度データ解析コンペティション 社会人部門最優秀賞、2011年NRIマーケティング分析コンテスト最優秀賞。博士(社会工学)。

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