ろーかる・ぐるぐる #69

インド鮪同好会のまぐろフレーク

天高く馬肥ゆる秋の昼酒はウンマイ!

同期入社の小林千波さん家で昼過ぎ乾杯の美食三昧、日本酒三昧。勘八のお刺身、鯛の昆布〆、モッツァレラチーズと搾菜の和え物、赤カブのサラダ、実山椒の玉子焼き、手羽元のエスニック煮込みで山口の「山猿」、三重の「作」、和歌山の「黒牛」などをグビグビ、パクポク。最後はおこげまで美味しい秋刀魚の炊き込みご飯で満腹。ご馳走様でした!

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秋刀魚の炊き込みご飯

さて今回は前回に引き続き「焼津の冷凍マグロ」です。卸のマルイリさんが美味しいマグロをお客様に直接届けるために商品開発をすることになって、でもインタビューを重ねれば重ねるほどふたつの問題が道をふさいだのでした。ひとつはやっぱり冷凍マグロってなんか美味しそうじゃないこと。もうひとつは近大にせよ、大間にせよ、最近話題になっているのはホンマグロばかりなこと。この新商品開発はなかなか難しいぞというのが正直な実感でした。

でも暗くなりがちなチームの中で常にポジティブだったのがマルイリの開発担当部長清水琢也さん。ある日、散々マグロの話をし尽くして疲労困憊、気分転換に向かった居酒屋「ゆりね」でも部下の森さんと「やっぱりインドマグロ(ミナミマグロ)はホンマグロより甘みが濃いから、俺は赤身が好きだなぁ」「この輝くような色!宝石みたいですよね?」 と楽しそうなのです。

その姿を見ていたら、だんだん清水さんの「偏愛」が素敵に思えてきました。「世の中の多数がホンマグロ好きでも関係ないじゃん。天然インドマグロは全流通量の数%しかない希少品。冷凍マグロをバカにする奴は放っておこう。決して世の中全部を相手にするんじゃなく、インドマグロの魅力をわかっている仲間だけで楽しめば良い。おたく? マニア? 変わり者? どう思われても結構。愛するインドマグロを自分たちで楽しめたら、それで十分幸せじゃないか!」

そんな気持ちになって商品づくりの前に「インド鮪同好会」結成をご提案しました。清水さんや森さんの日常の向こうに、少しずつですが確実に仲間が増えるイメージができたからです。

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とはいえ単なる物好きが集まって「同好会」をつくっても商売にはなりません。そこで改めて「冷凍マグロ」について勉強すると、たとえば解凍にはコツがありました。さっと表面を洗ってから塩温水に漬けて半分くらい解凍し、後はゆっくり冷蔵庫で状態を戻すという手順だそうです。ただ10日単位で熟成すれば旨みが濃くなる牛肉と違って、マグロは1時間ごとにコンディションが変わるデリケートな食材なので、こういった解凍作業をしたちょうど2時間後が食べ頃なんだとか。しかも一度解かしちゃったら再凍結なんてもってのほかうんぬん…正直面倒くさいったりゃありゃしないのでした。

一方、寒いインド洋で釣り上げられて船上ですぐに急速冷凍されたものがそのまま家庭に届くのですから、鮮度という意味では(近海生ものなんかと比べても)圧倒的です。なんとか、その特徴を生かすような工夫ができないか、試行錯誤しました。

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インド鮪同好会パッケージ
 
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まぐろフレーク

結果、生まれたのが「まぐろフレーク」です。冷凍マグロを一度も解凍することなくフレークにし、温かいご飯に乗っけて初めてマグロ本来の味わいが目を覚ます、という商品です。実際、鮮度が良すぎるので解凍直後はまだ身が固いのですが、薬味や醤油を合わせてほんの少しだけ待ってやると、インドマグロ特有の甘みを手軽に味わえます。フレークの大きさなど商品の細部は焼津で清水さんが改良を重ね、その間東京でアートディレクターの中尾祐輝さんとプランナーの奥村誠浩さんがパッケージを開発してくれました。お歳暮にこんな巨大なマグロの柵が届いたらビックリですよね。インド鮪を偏愛する同好会に相応しいデザインが出来上がったのではないかと自負しています。

おかげさまで発売早々、こんなのあるんだ!大賞2015優秀賞を受賞。これからますます多くの方に愛していただければ幸いです。

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プレゼンする寺岡社長(中央)と清水部長(右)
 
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左から、ADの中尾さんとプランナーの奥村さん
 

どうぞ、召し上がれ!

プロフィール

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    山田 壮夫
    株式会社電通 第1CRプランニング局

    1969年生まれ。アイデアを核として広告キャンペーンはもちろん、店舗開発からテレビ番組の製作まで手掛ける。特に最近は全国の地方新聞社厳選お取り寄せサイト「47CLUB」と連携してローカルにおける商品開発作業にチャレンジしている。2009年カンヌ国際広告祭(メディア部門)審査員。慶應義塾大学(メディア・コミュニケーション)、明治学院大学(経営学)非常勤講師。著書に『〈アイデア〉の教科書 電通式ぐるぐる思考』(朝日新聞出版)。

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