ろーかる・ぐるぐる #70

「いまの常識」って何だろう?

だんだん寒くなってきて、「漬物」を仕込むシーズンの到来です。紅葉も終わった蓼科高原で買ってきた白菜3株を塩漬けに。300年前の古文書にも記載があるという信州の伝統野菜「王滝かぶ」は20玉ほど甘酢漬けに。去年の今頃漬けた赤かぶはカビが生えることなく1年持ちました。今年の漬物もしっかり長持ちするといいなぁ、と思う一方、大量に買っちゃった銀杏の香りと相まって、わが家の台所はいま、とんだ異臭騒ぎに見舞われています。

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古漬け(奥)と新漬け

さて宮崎県主催の「みやざきフードビジネスアカデミー」(共催・宮崎日日新聞社)の第2回講座がスタートしました。「ワクワクする商品づくり」について全4回、参加者の皆さまと考えてまいります。今回も多士済々、ヤマメの養殖業者さんからホテル、焼肉屋さんまで、いろいろなバックボーンを持つ方が集まってくださいました。

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第2回みやざきフードビジネスアカデミーの皆さん

今回のテーマは「常識を覆そう」です。「バスのように気軽な気持ちで乗れる飛行機」「1000曲持ち運べる音楽プレーヤー」など、イノベーションとはそういうことだからです。そして最初にみんなで話し合ったのは、各業界における「いまの常識」って何だろう?ということでした。

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というのも第1回のセミナーで常識を覆す新しいサーチライトについて散々議論したのですが、その時、そもそも「覆す前の(=いまの)常識ってなんだったっけ?」という点について、実は曖昧なままであるケースが多いことに気がついたからです。

たとえば「居酒屋さん」であれば「いまの常識」ってどんなものがあるでしょうか?

有料のお通し、乾杯はビール、最近はチューハイ、ハイボールやノンアルコールで乾杯も、つまみは生ものから揚げものの流れで、最近はいきなりご飯ものを注文も、充実したデザート、飲み物を注文しないといけない、定食メニューのみでOK、大人の隠れ家、子連れの夕飯場所、飲み放題プランは時間制限付き、椅子席か座敷か、掘りごたつ、個室、ひとり客用カウンター席、和食ベース、無国籍メニューが多い、予算2000円、3000円、5000円等々。
業界全体の常識もあれば、店舗グループごとの常識もありますが、とにかく数限りなく浮かびそうです。

これらはすべて「居酒屋とは有料のお通しのあるところだ」「居酒屋とは乾杯をビールでするところだ」というサーチライトです。そして新しいサーチライトを見つけるということはつまり、いままでの常識のいずれかを否定するものでなければなりません。と同時に「いまの常識」というのは、たいてい「いまの収益」に結びついています。やみくもにひっくり返せばよいというわけでもないのが難しいところです。

この「いまの常識」に対する無関心は、以前もお話しした「フェイクコンセプト(見た目は良くても機能しないコンセプト)」の原因にもなります。たとえば高級バイクの「ダイナミック・プレミアム」というコンセプト。一見カッコ良いですが、高級バイクなのですからダイナミック(動的)でプレミアム(高級)なのは当然です。これなどは「いまの常識」を単に英語にしただけ。こんなわなにはまらないよう、注意したいものです。

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豚と白菜漬けをクミン炒めに

ところで、生の白菜を炒め物にするとき、芯のところの肉厚な葉っぱは甘くて美味しいけれど火が通るのに少し時間がかかりますよね? そんな常識を覆すのが、白菜の塩漬けを使うレシピ。そのままで食べられる漬物ですから短時間で調理できます。何より発酵で旨味も効いているし、自家製なら塩分もコントロールできるし。

ちょっと〆方が強引だったかもしれませんが(笑)、どうぞ、召し上がれ!

プロフィール

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    山田 壮夫
    株式会社電通 第1CRプランニング局

    1969年生まれ。アイデアを核として広告キャンペーンはもちろん、店舗開発からテレビ番組の製作まで手掛ける。特に最近は全国の地方新聞社厳選お取り寄せサイト「47CLUB」と連携してローカルにおける商品開発作業にチャレンジしている。2009年カンヌ国際広告祭(メディア部門)審査員。慶應義塾大学(メディア・コミュニケーション)、明治学院大学(経営学)非常勤講師。著書に『〈アイデア〉の教科書 電通式ぐるぐる思考』(朝日新聞出版)。

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