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Experience Driven ShowcaseNo.38

ルミネがつくる魔法のクリスマス!
女性を動かすテクノロジー

2015/11/30

11月17日からルミネのクリスマスキャンペーンが始まりました。「ルミネ新宿」「ルミネ有楽町」「ルミネ横浜」で、デザインとテクノロジーを融合した体験イベントが行われています。
この企画を手掛けたメディアコンシェルジュの大谷昭徳氏、クリエーティブディレクターの古屋遙氏、電通プロモーション・プロデュース局の冨澤優介氏が、「女性を動かすテクノロジー」のつくり方について語り合いました。

取材構成:金原亜紀 電通イベント&スペース・デザイン局
(左より)大谷昭徳氏、古屋遙氏、冨澤優介氏

 

ルミネのターゲット層の女性を、
クリスマスにテクノロジーで盛り上げたい!

冨澤:今回頂いたお題は、「ルミネのターゲット層の女性をテクノロジーで盛り上げたい」というものでした。「わたしが輝く、ルミネのクリスマス」をコンセプトに設定して、お二人とテクノロジーを組み込んだ企画をプランニングしていきました。

大谷:初めに、スノードームをモチーフに使いたいと思って。女性が「自分」をスノードームの世界に投影できたらいいなと。ルミネは駅に直結していて多様な女性が来るので、女性のインサイトは絶対欲しくて、古屋さんにも声をかけました。

古屋:今はスマートフォンが常に手元にあり、センサーや映像もどんどん感度・解像度が高くなっていく中で、テクノロジーが日常に紐づいてきていると感じています。私はもともと映像のディレクターをやっていたのですが、この5年くらいで映像を機軸にしたプロモーション、CMのつくり方がとても変わってきました。プロモーションで何か実際に事を起こして、そこで記録された映像がCMになるというつくり方がメジャーになってきたのと同時に、テクノロジーの進化もありハイブリッド型の提案が求められるようになってきました。

特に女性向けの施策だと、まるで夢の様な体験を、テクノロジーをどう組み合わせて実現するか、どう演出して女性に届けるか、その組み合わせが必要とされていると感じます。今回のルミネでは、自分を撮影する装置があって、それを表示する装置も別にある、そこのつなぎ目に様々なテクノロジーが絡んでいます。

冨澤:今回、新宿と横浜と有楽町の三つがあるのですが、それぞれ使っているテクノロジーも違って、新宿は大きなスノードームの中に街をつくりました。中にはディスプレーがたくさんあって、自分を雲やお城や、家などに映し出したりします。

古屋:自分が映りたい場所を選択できて、そこに自分が投影されていくというシステムです。

冨澤:つまり、自分がスノードームの街の住人になることができるんですよね。

古屋:新宿は立地的にもいかに多くの人を同時に体験させるかということを一つのノルマにしていました。「観覧車」を撮影したい人が10人行列したとき、どうやってそこの表示を切り替えていくかのシステムも裏で組まれていて、テクノロジーという意味では表立ってはいませんが実は高度なものでもあるんです。

大谷:横浜と有楽町に関しては、人をそこに長時間滞留させてはいけないという場の制約がありました。それで、横浜はカメラセンサーの前で手をかざすというアクションをすると映像が変わるというテクノロジーにしました。有楽町はセンサーと顔合成を使いましたね。

 

古屋:有楽町はカメラで顔を撮影すると、ウインドーディスプレーの中の大きな家に自分が映って、メイドさんが自分を美しく着飾ってくれる。映った自分が変身するというインタラクションを入れています。

 

冨澤:新宿ではホログラムやプロジェクションマッピングも使っていますね。

古屋:マルチメディアというか、いろいろな表現方法を混ぜることで、一つのハードウエアに依存しない、映像の境目をなくすことでよけいなことを気にさせない演出を意識しました。

 

テクノロジー企画なのに、テクノロジーを隠す

冨澤:今回の施策は「テクノロジーを隠す」という方法にいきついたところがポイントになりましたね。

大谷:古屋さんが「テクノロジーを隠す」といったとき、俺たち全員震えたよね(笑)。

テクノロジーは出すものだ、派手に自慢するものだという風潮があるじゃない?

古屋:一概には言えませんが、女性が何かを見に行きたいというモチベーションは、テクノロジーがすごいという事実よりも、魔法を見に行くみたいな気持ちにあると思います。シンデレラは、自分のドレスがなぜ「ビビデバビデブー」の呪文ででき上がるのか気にするより先に、そのドレスが自分に似合っているかどうかを気にするというか(笑)。

大谷:おっしゃる通りです(笑)。ついつい俺たちは、どうすれば「かぼちゃの馬車」をつくれるのかとか、どうすれば一振りで衣装が早着替えできるのかを、テクノロジーで再現しようとしてしまう。

古屋:実現する上でテクノロジーへの理解はマストなので私も日々勉強をしています。(笑)ただ、ある意味無茶な魔法的発想(こうだったらいいのにな)と科学の進歩が結びついて文化文明が発達してきた事を考えると、魔法的発想から始める事は大事なのかもしれないと最近思い直しています。逆に技術を見せる段階では、また魔法の段階に戻す作業が必要なんじゃないかな。それが「演出」ですよね。

冨澤:古屋さんに「もう一度参加をするまでのストーリーから考えてみよう」と言っていただいて、女性が本当に参加する気になるのかというところまで、ちゃんと物語を考えていることが大切だとあらためて気づきましたね。

古屋:物語を実現する方法や技術は、今はすごくいっぱいあるから。組み合わせですよね、技術に関しては。

 

テクノロジーを、ブランディングに落とし込むのがゴール

古屋:最新テクノロジーをプロモーションに入れる理由は、PRとしてすごく書きやすいのもあると思います。何を使ったかということも明確だし、ルーメン数とか何台のプロジェクターとか、すごく数値化しやすいものがテクノロジーだから。でも実は、参加するお客さん自身が何よりの発信源であり、PRになるといいのかな。

冨澤:テクノロジーがPRで終わらないように、テクノロジーをブランディングにまで落としていくというのがすごく大事。「わたしらしくをあたらしく」がルミネの企業理念なので、今回もこの取り組みに参加した人が、ルミネの想いに共感してほしいと考えていました。

大谷:古屋さんは、もともとドイツとイギリスで演劇をやっていたんでしょう?

古屋:はい、舞台の演出をずっとやっていました。舞台表現と広告ではすごく共通している点があって、無茶な設定が実現できるという意味ですごく似ている。演劇空間ももちろんルミネと同様の「箱」ですから、人は空も飛べないし巨大化もできないし、魔法のドレスで変身することも科学的にはできない。でも劇場空間って、お客さんと役者、照明と衣装、あと何か技術がかみ合わさったときに、非現実的なことが「信じられる何か」として明らかに実現していくのです。

冨澤:まさに、お客さまに見せるという行為を、舞台でずっとされてきたんですね。

大谷:前に舞台の特殊効果の人たちと話したときにすごく面白かったのが、特効の技術で一番進んでいるのは歌舞伎なんですって。デジタルテクノロジーがない時代から、早着替えとか、瞬間的にでかくするとか、書き割りが変わるとかが普通にある。奈落もそうだよね。それらの出どころは全部歌舞伎。まさに伝統と革新で、伝統芸能の人たちから学ぶことって多いよね。

古屋:そうですね。ルミネと絡めてお話しすると、女性がルミネで洋服を買うまでのプロセスも、体験のプロモーションを考えるときのものすごくいいガイドになると思いました。まずマネキンやファッションフォトのように自分がこうなりたいと「憧れを抱ける世界やデザイン」があり、次に自分がその世界に参加する入り口として「服を選ぶ」プロセスがあり、「試着して購入する」事でその世界に物理的に参加する。憧れ→検討→自分ゴト化の流れですね。今回の新宿店のスノードームも、まずデザインされた素敵なジオラマがあり、場所を選んで自分の見え方をアレンジし体験を自分ゴト化できるフローを作っています。洋服を買うまでのプロセスがこの企画には詰まってるんじゃないかな。女性が物を欲しくなるプロセスそのものが。

大谷:物が欲しくなるプロセスって、昔から変わってないよね。なりたいライフスタイル像は「これだ!」というゴールを設定して、購入すればそれに近づけるんだったら購入するよね。特に女性ってすごいよね、ゴール設定能力が(笑)。

冨澤:女性は創造力が豊かですね! 来年春から、ルミネが新宿駅新南口駅構内(エキナカ/エキソト)で初めてサービスを展開します。ルミネは「ライフバリュープレゼンター」を志向していますが、ますます女性の生活の中で、女性の夢や物語をサポートする存在になっていくでしょう。僕たちも、それを良い企画でサポートしていきたいですね。今日は、ありがとうございました。