アタマの体操 #01

あの「笑点」から発想した試み、始まる

  • 武藤 新二
    株式会社電通 CDC クリエーティブ・ディレクター/プランナー

国民的ご長寿番組「笑点」(日本テレビ系列)が50周年を迎えるという――そんなことを知ったこともあり、後楽園ホールでの公開収録に応募してみると、幸運なことに当選。子どものころからテレビで見ていた、あの舞台を生で体感する機会に恵まれました。

さらに、その日の収録では司会の桂歌丸師匠が引退を発表。初回から50年にもわたってレギュラー出演し続けている、ミスター笑点が番組を卒業するという歴史的な節目に遭遇することができました。先だってのゴールデンウイークの出来事です。

「Web業界で働くためのオンライン動画学習サービス schoo WEB-campus」で「笑点のようなアイデア大喜利」をモチーフにした授業を5月末から担当します。僭越ながら僕が歌丸師匠の役を演じることもあり、直に見てあやかりたいと考えていましたので、不思議な巡り合わせを感じずにはいられませんでした…。

新たな試みは、ちょっとした後輩との雑談から生まれた

あらためまして、今回から新たな連載企画「アタマの体操」を担当させていただくことになりました。この企画は「電通報」での連載にとどまらず、前述のschoo WEB-campusで同タイトルのオンライン授業とクロスメディアで同時進行するという新たな試みとなっています。

コトの発端は、拙著『アタマの体質改善』(日本経済新聞出版社)の出版を機に久しぶりに再会した、電通デジタル・ホールディングス(DDH)の後輩とのこんな雑談からです。

僕:電通社内で実践でも研修でもよく行われているアイデア発想シーンって、まるで笑点の大喜利のようだよね。

後輩:世の中に出ていくのは最終的な結果だけですけど、そのプロセス自体もコンテンツになりそうじゃないですか。

僕:日々繰り返されるこの大喜利が、僕らプランナーのアタマのトレーニングであり、柔軟な発想をするためのストレッチというか体操というか、そんな機能も果たしているんじゃないかな。

後輩:DDHで出資しているschoo WEB-campusの授業で、電通式大喜利を公開しませんか?

僕:いいね~。単に公開するだけじゃなくて、アイデア発想力を備えるためのノウハウを『アタマの体操』と銘打って紹介していくと面白いかもね。

後輩:せっかくだから電通報にも声をかけて、クロスメディアで膨らませましょう!

こうしてDDHプロデュースのもと、今週5月27日から10月28日までの毎月第4金曜日(19~21時)に、schoo WEB-campusを「FRIDAY NIGHT SPECIAL schoo×Dentsu×DDH」というタイトルでジャックすることとなりました。その1プログラムとして「アタマの体操」をスタートさせ、電通報との連動企画となったわけです。

アタマを使うことが生業であれば、メンテナンスは欠かせない

「笑点」に出演されている落語家の方たちは、大喜利で機転の利いた答えを、なぜ次々に量産できるのか? もちろん天性の才能をお持ちの方もいらっしゃるとは想像できますが、それだけでは決してないはずです。プロの芸人として、絶えず稽古を欠かさない、いつも自覚と意識を持ち日々の物事に接し、素人より多くを感じたり考えたりされているからではないでしょうか。

話は脱線しますが、先日家族でアスレチック公園に遊びに行きました。僕たち夫婦にとっては、何十年ぶりかの場所です。小学1年生の娘は、ヒョイヒョイとさまざまな遊具(雲梯めいたものやジャングルジムが組み合わさったものなど)をキレのいい身のこなしでクリアしていきます。

かたや僕は子どものころの自分とはかけ離れた鈍くささで、まったくカラダが言うことを聞いてくれない。情けないやら悲しいやら…。妻といえば、娘に負けじと軽快に遊具を楽しんでいます。

この違いは何か? 妻は毎朝のジョギングと毎晩のストレッチを日課にしているのです。特別に運動やスポーツをしているとか、ジムでトレーニングをしているわけではありません。毎日にわずか数十分間だけですが、カラダを整え、ちゃんと働くように備えています。その差がいざという時に出た結果といえましょう。

僕はアタマもカラダと同じだと考えています。「笑点」の話のように、プロの芸人の方たちは日々アタマのメンテナンスをしています。プロのスポーツ選手もカラダのトレーニングやストレッチ、体操を欠かさないはずです。アタマを使うことを生業にしているならば、その道のプロとして、日々アタマのメンテナンスはしておいた方がいい。そうすれば、いざアイデアを求められた時などに必ず役立ちます。

想像力の働きを邪魔する経験や知識を取り払う「アタマの体操」

アイデア発想の源は、想像力です。自分の幼少期を思い出したり、子どもたちと接したりすれば分かるように、それは本来人間に備わっているはずの能力。であれば、誰でもアイデアを発想することはできるはず。ところが、年を重ねて経験や知識を蓄えると、想像力を使う機会が極端に少なくなっていくのです。

「だいたいそんなもんだ」「そう決まっている」「そもそも無理だ」「あるはずがない」ということが先に立ち、想像力の働きを阻害します。使わなければ衰えてくるのは前述の通り。そこで、ふだんからアタマの体操で、邪魔する経験や知識を半ば強引に取り払って想像力が発揮できるよう、いざという時に備えておこうというわけです。

schoo WEB-campusのオンライン授業では、僕と電通のプランナー3人によるアイデア大喜利を生放送で無料公開します。そこで生まれたアイデアをピックアップし、こちらの連載でも紹介。もちろんどちらもそれだけにとどまらず、アタマの体操のベーシックなひな型を毎回解説していきます。

ラジオ体操という偉大なるカラダのひな型には到底及びませんが、誰でも明日からすぐ実践できる、アタマの体操を試していただけたらと願っています。

それでは、次回の連載で。ご興味のある方は、ぜひschoo WEB-campusにもどうぞ。

 

プロフィール

  • 武藤 新二
    株式会社電通 CDC クリエーティブ・ディレクター/プランナー

    1992年、電通に入社。入社後3年半の静岡支社営業経験を経て、東京本社企画プランニング部門に異動。以後、広告企画制作にとどまらず、コミュニケーション全般の設計、商品や新規事業の企画、コンテンツのクリエーティブディレクションなど、仕事の領域は多岐にわたる。現在CDCに所属。これまでに、慶應義塾大学SFC研究所員(訪問)、大学や小学校での講師など、教育機関での活動も多数。出版関連では、重松清『夢・続投!』(朝日新聞社)、清水浩『脱「ひとり勝ち」文明論』(ミシマ社)、パパイヤ鈴木『カズフミくん』(朝日新聞出版)の企画に携わったほか、子ども向け絵本の制作も行う。著書に『アタマの体質改善』(日本経済新聞出版社)、『おじいとおばあの沖縄ロックンロール』(ポプラ社)。

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