アクティブラーニング こんなのどうだろう #17

5カ国の小学校のノート模様。
実は、こんなにたくさんあった。

  • 20160526 103
    Nadya Kirillova
    キリーロバ・ナージャ
    株式会社電通 ビジネス・クリエーション・センター 電通総研 Bチームクリエーティブ

電通総研に立ち上がった「アクティブラーニング こんなのどうだろう研究所」。アクティブラーニングについてさまざまな角度から提案を行っていきます。このコラムでは、ラーニングのアクティブ化に活用できそうなメソッド、考え方、人物などを紹介していきます。

 

小学校でメモや計算や字の練習に使うノート。実は世界のノートはいろいろ。 あんなノートやこんなノートがあった。

5カ国のノート模様

 

私のノートとの出合いはもちろんロシア。ロシアのノートは当時、緑色の表紙で正方形に近いカタチをしていて枚数はやや少なめ。紙の厚さは薄めで濃いインクのペンだと透けてしまうことがあるかもしれない。表紙にはどの科目用か、「このノートは〇〇の持ち物」と使う人のフルネーム、クラス、学校名が書いてある。

表紙を開くと、ロシア語などの場合は、横の罫線が書かれている。そこに筆記体で文字を書く。そう、文字はすべて筆記体。ブロック体は教科書などの書物でしか使われない。右端には先生が評価などを書き込む「余白」がある。算数の場合、方眼仕様のノートを使う。ここでも右端の「余白」は欠かせない。方眼仕様だと計算しやすいし、図形なども書きやすい。これ以外のノートを算数で使うことは許されていなかったが、かなり理にかなっていた。

イギリスの小学校に転校して、驚いたのはここでは英語でも算数でも同じ横罫線のノートを使う。文字は余裕だが数字と式のバランスを保つのが難しい。

ノートの大きさはロシアのノートよりも少し大きく、長方形のカタチをしている。左端にはリングがあり、簡単に開いてすでに使用したページを後ろに送れるようになっている。そして枚数が多くて分厚め。ここでは、鉛筆を使うから文字が透けるということはない。

表紙に名前を書くフォーマットがない。でもみんなどこかに名前を書く。しかし、ロシアのようにクラスは書かない。そして、フルネームでもファーストネームでもニックネームでも自分のものだと分かれば良いみたいだ。それは、ノートを先生に提出することがほとんどなかったからかもしれない。

フランスの小学校に転校して、さらに不思議な罫線のノートが私を待ち受けていた。何とも言葉では表現が難しい横線と方眼を組み合わせたような見た目をしたノートがここでは基本だった。

慣れないとこれはかなり書きづらい。そして何だか文字のカタチがいびつになる。特にフランスでも筆記体しか使わないから、イギリスで覚えたブロック体のアルファベットからの切り替えに時間がかかる。 線を無視して書いてしまう。でも先生はあまりそれを気にしていないようだった。何だ。それならほっとして書けるなあ。

このノートはイギリスと同じサイズでリングがあるものとないものがあった。リングがあるものは紙を1枚または数枚ちぎることができるから提出するときなど便利だ。その一枚だけ先生に渡せばノートごと提出する必要がない。算数の時間に慣れた方眼仕様のノートがでてくると何だかほっとした。

日本の小学校に転校してもっとも珍しいノートに出合う。それは、開き方が逆で、何と縦書きをするノートだ。これは、見たことも想像したこともないノートだった。

最初は長い側面を上にして開いて書くものだと思い込んでいたほどだった。でもみんな上から下へと私が全く見たこともない、読めるはずもない文字を書いていた。ここでは漢字用の大きい四角が四分割されている漢字を書くための不思議なノートと縦書きの不思議なノート、そして算数用の方眼ノートがあった。いろいろ使い分けされていてノートを買いそろえるのが大変だった。

そして、多くの同級生はすでに科目名が記入されているノートを持っていてクラスと名前だけを書き込んでいた。大きさ的にはイギリスやフランスと同じくらいかちょっと小さいくらいだった。リングのものを使っている同級生はいなかった。ちぎって提出する概念はここにはないようだ。

しかし、文字をキレイに四角に収めないとここでは怒られる。「漢字」という模様のようなものを指定された四角の中に書こうとしても、どうもバランスがおかしいらしい。縦に書こうとすると斜めになる。このノートはクレージーすぎて大変で楽しい。

アメリカの小学校に転校すると、何とここではみんなバインダーを持っていた。そしてルーズリーフの束を持ち歩いていて、メモをとったり計算したり、作文を書くときに1枚取り出す。使う。そして、バインバーに挟んでいく。バインダー。これは新しい。書いたメモの順番を入れ替えたり重要なものだけまとめたりなど「編集」するという行為がここにはあった。

またバインダーに挟むのはメモだけではない。配られるプリントなどもそこにどんどんストックするのだ。そこで登場するのがHole Puncherという道具。プリントにバインダー用の穴を開けるためにあるのだが、これが大活躍する。

バインダーはノートよりも一回りサイズは大きいがルーズリーフを挟んだりするのはとても楽しい。万が一、バインダーがいっぱいになったら古いものから外していく。バインダーは大きいので必要なメモだけ家に持って帰ることも出来るし、先生に1枚のルーズリーフで書いた宿題を提出することができる。今までのノートの概念とちょっと違って面白い。リングつきのノートを使うこともあったがバインダーという新しいスタイルにすっかりはまってしまった。

用途によってノートを分けるところ、全て共通フォーマットを使うところ。ノート一つとってもいろいろなやり方がある。それは、各科目のフォーマットや字の書き方やカタチなどをどこまで強制するかによるかもしれない。

また、先生とのコミュニケーションの在り方によっても変化するのかもしれない。また、言語の在り方によっても変わるかもしれない。

小学校で出合ったノートは、その後の学習の仕方にいくらかはきっと影響を及ぼす。ではどんなノートが自分や学んでいる環境に一番合っているのか?大学生にもなれば好きなフォーマットを自分で見付けて使うことができるが、もし小学校からそれを見付けることができればその後の学習も変わってくるかもしれない。そう思うと、とても興味深い。

 

プロフィール

  • 20160526 103
    Nadya Kirillova
    キリーロバ・ナージャ
    株式会社電通 ビジネス・クリエーション・センター 電通総研 Bチームクリエーティブ

    ソ連(当時)、レニングラード生まれ。6カ国で育つ。電通入社後は、様々な領域に取り組むクリエーティブとして活動し、国内外のプロジェクトを幅広く担当。Cannes Lions Titanium Grand Prix、D&AD Black Pencil、文化庁メディア芸術祭大賞など多数受賞。

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