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AIでよみがえったレンブラントの“新作”がカンヌライオンズ2冠 サイバーとデータクリエーティブ部門

2016/06/23

    没後347年を経て生まれたレンブラントの“新作” 「The Next Rembrandt」が、カンヌライオンズのサイバーとデータクリエーティブの両部門でグランプリ2冠に輝いた。

    カンヌ
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    アドエージによると、オランダに拠点を置く総合金融グループのINGが、デルフト工科大の協力を得て、レンブラントの全346作品のデータをコンピューターに入力、人工知能(AI)によって「最もレンブラントらしい」作品をつくり出したもの。絵のモデルが選ばれる傾向や描かれるバランスなど、あらゆるデータを入力・分析し、その筆致を絵の具の凹凸まで忠実に再現するために3Dプリンターが使われた。JWTアムステルダムが手掛けた。

    クリエーティブデータ部門審査委員長を務めたHavas Heliaのタッシュ・ウィットミーCEOは「データというえたいの知れない警戒されがちなものを、人間にとって美しく心地の良いものに変換した。クリエーティビティーにとって道標となり得る作品だ」と語る。クリエーティブデータ部門は、昨年新設されたものの、グランプリ該当作品なしだったことが話題になった。「データよりクリエーティブの要素が勝っていたり、その逆だったり。今年のようなテクノロジーに人間性を持ち込んだ作品は見当たらなかった」。今年は、「The Next Rembrandt」と、スペインの宝くじ「Anuncio Loteria de Navidad」の心温まるアニメ動画「Justino」の2作品(レオバーネット・マドリッド制作)が同時受賞となった。

    サイバー部門の審査委員長を務めたR/GA U.S.のECD、クロエ・ゴットリーブ氏は「The Next Rembrandt」について「クリエーティビティーから始まったのではなく、データがクリエーティビティーの源泉となった。デジタルの世界からフィジカルな世界へという流れは、従来のサイバー部門の受賞作品とは異なる。テクノロジーから生まれたものであると同時に、われわれになじみの深いアート作品でもあるところが面白い」と分析する。INGはアートとイノベーションの両方の領域に投資してきた歴史を持つ。

    電通グループでは、クリエーティブデータ部門でトヨタ「OPEN ROAD PROJECT」(電通)がシルバーとブロンズ2個、サイバー部門でクリストファー・アンド・ダナ・リーブ基金「Adaptoys」(360i USA)がシルバー、CANON「PHOTO COACH」(360i USA)がシルバー、オスカーメイヤー「Sizzl」(360i USA)がブロンズを受賞した。

    出典 Ad Age
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