ろーかる・ぐるぐる #87

アヤシイコンサルタント

ローカルにおける商品開発のことを書いた拙著のご縁もあって、最近いろいろなところでお話しする機会を頂戴します。先日も十勝毎日新聞さんのご紹介で、北海道は豊頃町の「若者の活力を活かした総合プロモーション事業」会合にお伺いしました。

馬鈴薯畑

いままで北海道と言えば札幌だったぼくにとって、初めての十勝平野。目的地の豊頃町は帯広市近郊で人口は3000人ほど。広大な農場からできる農作物や乳製品が新鮮なだけでなく、このエリアにしては珍しく大津漁港の海の幸にも恵まれているのが特徴です。残念ながら今回は口にすることはできませんでしたが、本シシャモ(よく居酒屋にある通称「シシャモ」はノルウェーなどからの輸入物で本名は「カペリン」。身の甘さが違います!)やカジカ(最近東京のスーパーでも見かけますが、肝和えが絶品!)、十勝川を遡上する鮭、北寄貝などが捕れるそうです。何より梅雨知らずの気候が最高。気分よく会場に入り、20時頃からしゃべり始めたのですが、どうも様子がおかしいのです。そこはかとなく漂うアウェイなにおい。特に最前列の2人は明らかにこっちをニラんでる…気がする…。

漁業

数時間がたち、懇親会ですっかり仲良くなった後、どうしてあんな雰囲気だったのか、ようやく謎が解けました。ひとつは雨が続いた後の久々の晴れ間。もう少し遅くまで仕事をしたかったという事情。もうひとつは「以前もアヤシゲなコンサルタントの話とか聞かされて、時間の無駄をしたからねぇ」。実は、全国各地でまったく同じ指摘をされます。「山田さん、肩書から『コンサルタント』って外した方が良いよ。最近ローカルにはテキトーなことを言いまわって地方創生で稼いでいるコンサルタントがたくさんいるから。そういう人たちと一緒にされちゃうよ」

航空写真

う~む。正直、他の方がどのようなお仕事をなさっているのか、まったく知りませんが、考えてみるとコンサルタントが「アヤシイ」と言われちゃう理由は大きく二種類ありそうです。

ひとつは、「経営は科学である」という立場から、特定のフレームワークや方法論で分析すれば「(必ず)うまく行く」と主張する人がいるから。「そんなもん、豊頃町も隣町も、みんな同じ分析で同じ答えに至ったら、みんな成功するの??? アヤシイなぁ、やっぱり!」となるのでしょう。

もうひとつは、「イノベーションにはアイデアが必要だ」という立場から、数値データで証明されていないことも平気で主張する人がいるから。ぼく自身はこちらに近いのでツライところですが、「あなたの言うことは正しいの? 証明できないでしょ?? アヤシイね、やっぱり!!!」とおっしゃりたい気持ちも分かります。

イノベーションの3要素

では、どうしたらアヤシクなくなるのか?

その答えはコンサルタントとコンサルティングを受ける方、その双方が自分ゴトとして真剣に向き合うことにしかないのではないかと思います。コンサルタントがテキトーに取り組んでいたら、アヤシイを通り過ぎてアウト。そりゃダメです。とはいえコンサルタントが来たからすべてお任せで思考停止をしてしまうのも、やっぱりダメ。結果、プロジェクトがうまく行かず「やっぱりあのコンサルタント、アヤシかったもんね…」となるのがオチです。

電通ではイノベーションを起こす三要素のひとつに「そんなことまで」という企業家精神を挙げていますが、双方がこれをしっかり持たなければなりません。豊頃町の方々の声を切っ掛けに、ぼく自身、改めて気が引き締まりました。

はるにれの木
©Urashima Hisashi

さて、この町の「若者の活力を活かした総合プロモーション事業」はどうなるでしょか。地域の活性化は簡単な仕事ではありませんが、あの晩語りあった皆さんの情熱があれば、きっと何かが生まれる気がします。ぼく自身が直接コンサルタントとして関わるプロジェクトではありませんが、今後も見守っていきたいと思います。

さてさて、次回は夏休みにぜひ立ち寄っていただきたい高原の名店をご紹介しましょう。

どうぞ、召し上がれ!

プロフィール

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    山田 壮夫
    株式会社電通 第1CRプランニング局

    1969年生まれ。アイデアを核として広告キャンペーンはもちろん、店舗開発からテレビ番組の製作まで手掛ける。特に最近は全国の地方新聞社厳選お取り寄せサイト「47CLUB」と連携してローカルにおける商品開発作業にチャレンジしている。2009年カンヌ国際広告祭(メディア部門)審査員。慶應義塾大学(メディア・コミュニケーション)、明治学院大学(経営学)非常勤講師。著書に『〈アイデア〉の教科書 電通式ぐるぐる思考』(朝日新聞出版)。

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