インサイトメモ #29

「レア映像」の可能性

  • メディアイノベーション・ラボ
    株式会社電通

〈 掲載日:2013.05.21 〉

「レア映像」という言葉を聞いたことはありますか?
「普段なかなか見られないような貴重な動画」、あるいは「稀な(非日常的な)光景の映像」くらいの意味で使われる言葉ですが、まだ一般語と呼べるほどには至ってないかもしれません。今回は、この「レア映像」がテーマです。

電通総研では、生活者に対し数々のグループインタビュー調査を行ってきました。その中で、中年層を対象に実施したある回 で、「あなたが普段ネットの動画サイトでよく見ている映像はどんなもの?」という質問したところ、『巨大ダムでごく稀に行われる放水のシーンを撮った映像 が動画サイトにたくさんアップされていて、大好きでよく見ている』という発言がありました。このようなレア映像について検索すると、動画投稿共有サイトで 色々な種類のものが見つかります。

たとえば、天が狂乱しているような物凄い真紅の「夕焼け空映像」とか、東京スカイツリーを雲が横切った際に気流の関係で タワーに引っかかったようになっている「マジカル・クラウド」、「神業のペン回し(指の間でペンをクルクル回す遊び)」のハイ・テクニックを撮ったもの、 まるで重力を無視して浮遊しているような「驚愕の空中縄跳び」など、実に色々な種類のものが公開されています。

そこで、電通総研が東京大学大学院情報学環の橋元良明教授と共同で実施した調査の中で、「あなたは、他では見ることので きない貴重な映像に強く惹かれる方だと思いますか」という項目を設けてみました。すると、「とてもそう思う」「ややそう思う」と答えた人の割合が、40代 を中心としたミドル層で非常に高い結果となり、中年層におけるレア映像志向が定量データでも裏付けられる形となりました。(図1)

他では見ることのできない貴重な映像に強く惹かれる方だと思う

中年層のサラリーマン・OLは企業で現場の中核となる存在であり、日々目まぐるしく処理してゆかねばならない事案に追いかけられています。レア映像を見て、ほんのひと時でも非日常的な世界を味わい、気分転換を図りたいという心理が働いているのでしょうか。

さて、前述の「巨大ダムの映像」に関しては、既に市販DVDも登場しています。また、あるネット企業では「人気アイドル グループによる、ここだけでしか見れない貴重なコント映像」を有料配信するサービスも始まっています。つまり、レアな映像はコンテンツビジネスにも繋がる ということです。

たとえば、音楽アーチストのいわゆる「シークレットライブの映像」なども、そのアーチストの熱狂的なファンにとっては有料サービスを利用してでも見たいものかもしれません。レア映像はコンテンツビジネスにおいて可能性を秘めたものと言えそうです。

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    電通総研メディアイノベーション研究部では、メディアや情報通信環境の変化を着実に捉え、進化し続けるオーディエンス(視聴者)の動向を探っていきます。
    世の中のキザシをいち早く発見し、オーディエンスとの「最適なコミュニケーション」を提案しています。

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