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若者が分かれば未来が見える ~「若者離れ」発売記念連載~No.4

若者は大人からの「ズレ愛」を待っている

2016/09/14

書籍「若者離れ」
四六判、256ページ、1500円+税、ISBN978-4-8443-6600-3
書籍の詳細はこちら

電通若者研究部(電通ワカモン)の新著「若者離れ」と連動した連載コラム。
第1回第2回第3回と、「大人の若者離れ」が起きている背景や意味、大人の若者離れ度をチェックしていただきました。今回は、若者とコミュニケーションをとるときに大人に求められる理想的なスタンスについてです。

 

大人に求められる「ズレ愛」ってなんだ?

若手が上げてくる意見や提案に、やみくもに否定から入ってないでしょうか?
居丈高に「いいからやれ!」を連発していないでしょうか?

若者と大人の間に存在する考え方や価値観のズレ。それは言い換えると、「自分のものさし」と「他人のものさし」のズレともいえます。大人や若者のくくりに関係なく、多かれ少なかれ誰もが他人と接する時に感じるズレです。そう考えると、このズレというものに無理に共感する必要もないですが、頭ごなしに否定する必要もないと思いませんか?

どちらの価値観が正しい・正しくない、と正しさで勝負するのではなく、そもそもズレていること自体を楽しんだり、面白がることができるスタンスを持つ大人こそが、若者が持つ独創的なアイデアや想像力=「質の影響力」を最大化し、大人にとっても若者にとっても良い関係を作っていくことができると電通ワカモンは考えています。

では、大人が「若者離れ」しないためには、どういうスタンスで若者と向き合えばいいのか。電通ワカモンでは、若者に無理に共感するのではなく、かといって頭ごなしに否定もしない大人の理想的なスタンスを、「ズレ愛スタンス」=若者とのズレを愛するスタンスと定義しています。

書籍「若者離れ」の中でご紹介した、電通ワカモンが考える「ズレ愛のある大人の5つのスタンス」から、2つピックアップして説明します。

※書籍『若者離れ』より抜粋
 

ズレ愛スタンス① “誰かが”ではなく“私が”で向き合う

イラスト:小島洋介(電通 第4CRプランニング局)

まず一つ目は、相手の「I」と向き合うときは、自分も「I」で向き合う。そんなスタンスです。

※詳しい「I」については「知らない大人は損してる!?若者の「質の影響力」って?」を参照ください。

 

組織に属すると、組織の持つ論理にどうしても流されてしまうことがあると思います。その結果、「上がそう言っているから」「これがうちのルールだから」「それは反対する人もいると思うよ」と、自分以外の「誰か」を主語にしたコミュニケーションをついしがちです。

しかし、それでは若者の理解や納得を得るのは難しい。「周りのせいにして…」「あなた自身はどうなの…?」と思われ、もはや聞く耳を持ってくれなくなるリスクすらあります。

大人が、見えない「誰か」を持ち出してそれを否定するのは自分が悪者になりたくないから。そんなインサイトもあるかもしれませんが、大人自身が逃げずに「I」で向き合うことで、若者が「この人の言っていることは信用できる」と感じてくれれば、対話ももっとうまくすすむのではないでしょうか。

 

ズレ愛スタンス③ “上から”ではなく“尊重”

年功序列的な発想で、無条件に年上だから偉い・正しい、若者だからまだまだ未熟・間違っている、という価値観で接するのではなく、大人は若者のいいところを尊重し、若者も大人の「実体験の量と質」を尊重し対話をしてみよう、そんなスタンスです。

私たち電通ワカモンが若者と話すとき、相手が学生でも新人の社会人であっても、こちらが一方的に何かを教える立場になるのではなく、相手から学ぶ姿勢、フラットに付き合う姿勢を大事にするようにしています。言うなれば、「上から目線」ではなく「横から目線」。

以前対談させていただいたNPO法人YouthCreate代表の原田謙介さんは、政治と若者の距離を近づけるためのスタンスとして、大人は「下から目線」であるべきでは、という言葉を使いました。18歳選挙権についても「与えてあげた」ではなく、「若者の力を貸してほしい」というスタンスで臨むべきではないか、と。

皆さんは「日ごろ接している部下や後輩といった若者から学んだことを5つ挙げて」と言われて、すぐに挙げられるでしょうか? 若者は大人が何かを教えて「やる」存在、上に従うべき存在、というスタンスだけで対話していては、お互いの理解や発展はありません。

以上、電通ワカモンが考える、ズレ愛のある大人のスタンスを2つ紹介しました。若者との価値観のズレをポジティブに受け入れ、そのこと自体を楽しんだり、面白がることができるスタンス=ズレ愛スタンスを持つことが、若者と一緒に未来をつくっていくための大人の基本スタンスだと考えています。ぜひ、まわりの若者に実践していただければうれしいです。