ろーかる・ぐるぐる #22

ぐるぐる思考 磨くモード③

(プロフェッショナルの技)

明けましておめでとうございます。
本年が皆さまにとって健やかな一年となりますように。

ぼくの分担は煮〆と、ここに映っていない雑煮、ローストビーフでした。


母は昔から毎年12月25日が過ぎると台所に立てこもり、冷蔵庫に貼った一覧表を睨みながら鬼の形相で料理をしていました。こどもの頃お使いに出されて、菊花蕪用の小カブと言われていたのに特大サイズを買って帰っては怒られ、粉寒天と棒寒天を間違っては叱られ、家にいたらいたで、出掛ければそれで小言を頂戴するという年末はとにかく憂鬱な季節でした。
それでも最近は少しずつ作り方を教わりながら二世帯住宅のそれぞれの台所で分担して準備するようになりました。まだまだ八割方はお任せなのですが以前ほど機嫌が悪くないのは気のせいでしょうか。ともあれ大晦日、重箱に詰めていくとわが家のおせち料理らしい姿が浮かび上がります。プロの方がつくる立派なお重には及びもつきませんが、一年を始めるのに欠かせない大切な年中行事です。

さて、ぐるぐる思考4つ目は「磨くモード」です。そこではいままでの具体策をいったんすべて捨てて、コンセプト(アイデア)と具体策を行ったり来たりしながら新しい視点に基づいて全体を再構成します。
その際、必要不可欠なのが「プロフェッショナルの技」です。広告業界にはCMプランニングやアプリ開発、PRやイベント、調査・分析や法務など極めて多岐にわたるプロの技がありますが、彼らは「磨く」モードにおいてコンセプト(アイデア)に従い己の技術を発揮します。
実際電通にいて幸せだなと思うのは想像も出来ないくらい高いレベルのプロフェッショナルが、とにかく大勢いることです。

これが村田さんの「写真」


先日のこと。小学校時代の仲間が集まるというので会社帰りに新橋から遠路はるばる田園都市線つくし野駅まで飲みに行きました。幼馴染の石黒くんが経営する「Tapps’ Cafe」という洋食が美味い店で昔の仲間とワイワイ盛り上がっていたのですが、さすがに電車で帰らないとマズイ。あわてて終電に飛び乗ると、あれ?そこで眠そうな目をこすっているのは会社の先輩???村田さん?
聞けば都心(水天宮)で飲んだ帰り、ついつい終点中央林間まで寝過ごしてしまい、折り返していたところだそうで。その村田さんがお描きになった絵をご覧ください。

これが村田さんの「絵画(点描)」


こんなすごい人がすぐそこに座っているのですから! そして村田さんに限らず、これだけ大勢コミュニケーションのプロフェッショナルが集まっている環境なんて世界的に考えてもなかなかないでしょう。

ともあれ磨くモードでは多くの「技」を結集する必要があります。きっと新しい視点に基づく具体策を実現させるためには何かしら新しいチャレンジをしなければならないはずですが、そこで安易に妥協することなく徹底的にアウトプットのクオリティを上げるプロフェッショナリズムが求められます。
これは広告キャンペーンをつくるケースに限りません。どんな領域であれイノベーションを起こす場合には必ず通るプロセスです。 後で詳しくご紹介しますが、銀座三越の精肉店「片葉三」のお手伝いをしたときもそうでした。コンセプト(アイデア)を軸として仕入れのプロ、接客のプロ、包材のプロ、制服のプロなど多くの方々と切磋琢磨し、その技を結集することでようやく新しい全体像を組み上げられるのです。

いままで全12回にわたって電通に伝わるコンセプト(アイデア)のつくり方「ぐるぐる思考」をご紹介してきました。それは感じるモードで材料を集め、散らかすモードでありとあらゆる可能性をリアルに検討し尽くし、発見!モードで目標・課題と論理的に整合する言葉「コンセプト(アイデア)」を手に入れ、「磨くモード」でプロフェッショナルの技を駆使して全体を再構成するプロセスでした。このコラムで2週間に1回、部分部分についてお話ししたので、わかりづらい点もあったかと思います。次回からは(相変わらず大好きな食べものを取り上げながら)この方法論の特徴、全体像をお伝えするつもりです。

どうぞ召し上がれ!

プロフィール

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    山田 壮夫
    株式会社電通 第1CRプランニング局

    1969年生まれ。アイデアを核として広告キャンペーンはもちろん、店舗開発からテレビ番組の製作まで手掛ける。特に最近は全国の地方新聞社厳選お取り寄せサイト「47CLUB」と連携してローカルにおける商品開発作業にチャレンジしている。2009年カンヌ国際広告祭(メディア部門)審査員。慶應義塾大学(メディア・コミュニケーション)、明治学院大学(経営学)非常勤講師。著書に『〈アイデア〉の教科書 電通式ぐるぐる思考』(朝日新聞出版)。

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