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民放大会で「テレビ視聴スタイルの変化」めぐりシンポ~4氏がテレビに向けて提言

2013/11/18

    日本民間放送連盟(民放連)は11月6日、第61回「民間放送全国大会」を東京・港区のグランドプリンスホテル新高輪で開いた。大会式典に先立ち、二つのシンポジウムが開催された。

    シンポジウム「テレビ視聴スタイルの変化と現実」には、パネリストとしてビデオリサーチ取締役ソリューション推進局長兼インタラクティブ事業戦略室長の尾関光司、ヤフー副社長COOの川邊健太郎、ディー・エヌ・エー取締役ファウンダーの南場智子、フジテレビジョン編成制作局編成担当局長の山口真の4氏が登壇。ニューヨーク在住ジャーナリストの津山恵子氏がモデレーターを務めた。

    最初に、番組を自分の好きな時間に視聴する「タイムシフト」、視聴する場所を選ばない「プレイスシフト」、テレビ以外の機器で視聴する「デバイスシフト」について議論した。尾関氏はタイムシフト視聴集計の取り組みを説明した上で「タイムシフト視聴は確かに起きているが、日本では今のところテレビ接触者全体の約1割弱程度だ」と述べた。山口氏はテレビ局共通の動きとして、放送番組とウェブコンテンツを受信機で安全に同期合成表示する「ハイブリッドキャスト」の取り組みを紹介した。川邊氏は映像サイト「GyaO!」とテレビ局との連携について、番組放送中のチャットイベント実施やスポンサードコンテンツの制作など、多様にテレビコンテンツを楽しめる仕掛けを説明。デバイスの変化に応じて事業を展開し業績を伸ばしてきた南場氏は、短時間で楽しめるコンテンツの「小ピース化」傾向を指摘し「デバイスやメディアの変化はコンテンツの在り方を変え、市場の新たな可能性を生み出す」と強調した。

    次にテレビコンテンツの価値向上について意見を交わした。山口氏は「視聴スタイルの変化で一番影響を受けるテレビコンテンツは『ニュース』ではないか。これからのテレビニュースに大切なのは分析・解説力と編集力だ」と指摘。また、SNSを活用したテレビドラマのプロモーション施策も紹介した。尾関氏はデータを示しながら「SNSはテレビとの親和性があり、視聴の助けとなる側面もある。ツイート数が多い番組ほど、じっくり継続的に見られている。つぶやきの内容を見ていけばこれからは質的な側面も分析できる」と説明。南場氏は「テレビ番組とSNSは補完しあっている。経営者や組織のリーダーという立場であれば世の中で起こっていることを多面的に捉える必要がある。ネット上の匿名の情報や実名の情報、テレビからの情報それぞれが役割を果たすだろう」と述べた。川邊氏は、ツイートやフェイスブックへの投稿をリアルタイムで検索できる「Yahoo!検索(リアルタイム)」について「ここで一番語られるのはテレビのことだ。ユーザーはセカンドスクリーンでその瞬間の感動と盛り上がりを共有し、テレビ局は番組の評判などマーケティングに活用している」と紹介した。

    最後に各氏が「テレビ番組への提言」としてキーワードを提示。尾関氏は「『敷居の高さの調節』に『自分ゴト化促進も』」と示し、「テレビ番組で伝えていることが視聴者にとってどう関係があるのかというシナリオまでを伝えなければ、心に刺さらない」と語った。また、川邊氏は「統合GRP」と掲げ、ネットとテレビを統合した指標の導入を提起。南場氏は「テレビコンテンツの小ピース化」を提言した。山口氏のキーワードは「『生活のDJ化』への対応」。デジタル化によって生活者がクラブのDJのように可処分時間をアレンジするようになったことを踏まえ、見ななければいけないと思わせる力強い番組作りに意欲を示した。