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公開日: 2023/04/18

オープンな組織でWeb3.0関連ビジネスを統合的に支援。「web3 club™️」が目指す世界とは(後編)

2030年に市場が約11兆円を超すと言われている、次世代インターネット基盤・Web3.0。この分野で幅広い領域の課題解決を支援するため、電通グループの横断型組織として設立されたのが「web3 club™️」です。既に「web3 club™️」では、NFTマーケティングやNFTを活用したIP作りなど、さまざまなプロジェクトが進行中。個人と個人が直接つながることを重視するWeb3.0は、現在のビジネスや企業の在り方を大きく変える可能性を秘めています。

「web3 club™️」リーダーの株式会社 電通 事業協創局の越前康氏と、株式会社 電通グループ 電通イノベーションイニシアティブの文元慎二氏へのインタビュー前編では、設立背景やこれまでの取り組みについて聞きましたが、後編では「web3 club™️」の未来に向けたビジョンや、今後の展望に迫ります。

実績証明としてのNFTが個人の与信を形成し、より自己実現しやすい世界へ

株式会社 電通グループ 文元 慎二氏

Q.電通グループ内のさまざまな組織が参画する「web3 club™️」は、所属組織やメンバーによって、立ち位置や視点が異なることが大きな特徴ともいえますね。R&D視点からは今後どのような展望や課題がありますか?

文元:R&D的な視点からは、NFTは商品としての価値以上に実績証明としての機能が重要だと考えています。例えば、大手コーヒーチェーン店が実施しているNFTによるロイヤルティープログラムは、実績証明としてのNFTです。クイズやゲームへの参加などによってNFTを獲得し、それに応じた特典や体験を得ることができる。このような実績証明のNFTを集積することで、個人のアイデンティティーのようなものになっていくと考えています。

実績証明としてのNFTによって形成される個人の与信を活用し、「この人はこういう実績を持っているからこういう仕事をオファーしよう」「自分はこういう実績を持っているからこういうことができる」とアピールしてDAO(分散型自立組織)に参加する。今後、そのようなかたちでNFTを介して個人が自己実現していける世界になっていくのではないかと。そんな世界をWeb3.0によって実現したいですね。

Q.そのような発想に基づき、既に行われているプロジェクトはあるのでしょうか。

文元:あるメディアアーティストが主宰するサマースクールでは、卒業生に卒業証明書をNFTで授与する取り組みを行っています。今後、このNFTの証明書を持っている人だけが参加できるコミュニティーができて、大学受験に役立つ支援をしてくれたり、社会人になってからはそのコミュニティーを通じて仕事ができたりする。そんなことが可能になるかもしれません。

越前:既に始まっている企業によるマーケティングのためのNFT活用も、個人の視点からみれば自分の与信をためていく活動です。今後はそれをどうやって社会全体で有益に活用していくかの仕組み作りが必要。そんなチャレンジを他の企業さまとも一緒にやっていけたらと思っています。

株式会社 電通 越前 康氏

NFTによる与信を普及させるにはUX向上が重要

Q.Web3.0によって個人が自己実現できる世界が実現する。逆に言えば、これからは個人の自己実現に対して企業は何ができるのかといった視点からマーケティングを考えることが重要になってくるのかもしれませんね。

文元:おっしゃる通りで、そういう方向性のご相談にお応えしたり、支援させていただいたりすることができるのも「web3 club™️」の特徴であり強みです。

また、今後個人が持つNFTを与信として活用していく上では、NFTを閉じた経済圏(限られた組織)だけで活用するのではなく、さまざまな企業やサービスが利用できるよう、管理者の許可なく誰でもアクセス可能なパーミッションレス型のパブリックブロックチェーンが非常に重要になってきます。一方で、ユーザー側の観点では、NFTの購入には暗号通貨が必要であったり、自身でウォレットの用意が必要であったりとWeb3.0サービスをユーザーが触る際のUXに課題があり、改善の余地があるのではないかと感じています。そこで私たちはユーザーがWeb3.0サービスを触る際のUXを向上することのできるウォレットを開発している企業や、そういったNFTを世の中に広めていくためのサービスを開発している企業などに出資しています。パブリックブロックチェーンを使ったUXの良いサービスも作り始めています。

越前:私たちはそんなパブリックブロックチェーンを活用し、顧客を囲い込まず、さまざまな企業と連携して社会を変えていこうと考える企業さまと共にチャレンジをしていきたい。Web3.0の世界で、どうすれば個人にとってより良い価値を提供できるサービスを作れるかを、そのような企業さまと一緒に考えていきたいですね。

 


 

NFTが個人の与信となり、1人ひとりが自分の価値観を大切にした自己実現が可能になるWeb3.0の時代。マーケティングのかたちもビジネスの在り方も大きく変化します。そんな時代に向けて、多様な組織やメンバーがタッグを組んで進める「web3 club™️」の挑戦は始まったばかりです。

※掲載されている情報は公開時のものです

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著者

越前 康

越前 康

株式会社 電通

2014年株式会社 電通に中途入社。入社後は官公庁及び官民連携事業のPM/プロデュース業務、大手飲料メーカーのブランド業務、社会人eスポーツリーグやプロスポーツチームのマーケティング/事業開発に従事。その他、B2C向けアプリ開発のPM/ディレクターなどを担当。電通グループ横断のweb3.0専門チームに所属し、各種プロジェクトに参画中。

文元 慎二

文元 慎二

株式会社 電通グループ

2011年株式会社 電通入社。ビジネスプロデューサーやデジタルプランナーを経て、2021年より電通イノベーションイニシアティブに所属し、Web3.0領域を担当。事業開発を主眼としたスタートアップへの投資業務、および、プランナー/テクノロジープロデューサーとして、特にIPグロースやブランディング・CRM文脈での事業開発に取り組む。

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