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公開日: 2025/12/22

UCDAアワード2025にて、「みんなのコミュニケーションデザインプロジェクト」が実行委員会表彰を受賞

左から、プレゼンターの国際金融アナリスト大井幸子氏、dentsu Japan統括執行役員 松本千里氏

ユニバーサルコミュニケーションデザイン協会(UCDA)は2025年11月21日(金)、「UCDAアワード2025 選考結果報告会」を開催した。

同アワードは、企業や団体が生活者に発信する情報を、産業・学術・生活者の視点から評価し、優れたコミュニケーションデザインを表彰するもの。16回目の開催となった本年度は「そろそろ、CUCDO(※)が必要だ」をテーマに、各賞の発表に加えて、専門家による基調講演やパネルトークなど、重要な情報を、見やすく、わかりやすく、伝わりやすく伝えていく「ユニバーサルコミュニケーションデザイン(UCD)」について、多彩なプログラムが行われた。

※CUCDO(チーフUCDオフィサー)=さまざまな情報があふれる中で、正確な情報を見極め、受け入れ、伝えていく責任を担う人
 

dentsu Japanによる「みんなのコミュニケーションデザインプロジェクト」は、多様性の時代における社会・業界への支援として、「みんなのコミュニケーションデザインガイド」を作成し、ウェブサイトで提供する活動を評価され、実行委員会表彰を受賞した。代表してdentsu Japan統括執行役員の松本千里氏が登壇し、賞状を受け取った。

このほか、企業総合賞、実行委員会表彰、UCD制作優秀企業賞、奨励賞、UCDAアワード表彰(UCDAアワード2025、生活者賞、専門家賞、特別賞)の部門で各企業が表彰された。

左から、林孝裕氏、野島瞳氏、林春奈氏、佐藤敏明氏、口羽敦子氏

アワードでは各賞の発表に先立ち、パネルトークセッションを実施。「『みんな』で考える多様性社会におけるコミュニケーションデザイン」と題し、各企業の取り組みが紹介された。登壇したのは、モデレーターを務めたdentsu DEI innovations代表の林孝裕氏、パネリストとしてdentsu Japan チーフ・ダイバーシティ・オフィサー兼ヘッド・オブ・サスティナビリティの口羽敦子氏、江崎グリコデザイン部プロフェッショナルの佐藤敏明氏、SBI生命保険お客様サービス部主任の林春奈氏、UCDA業務推進局・UCD研究所主任研究員の野島瞳氏の5人。

モデレーターを務めたdentsu DEI innovations 代表の林孝裕氏

dentsu DEI innovationsの林氏は冒頭、セッションのテーマ「ここに集まったみんなからこの外にいるみんなへ拡げていこう!」について説明。「昨年は“ここに集まったみんなが、まずは繋がりあって協働していこう”というテーマでした。今年はそのつながりを外へ広げていこうと、ここにいるメンバーの皆さんと考えた」と語った。

林氏の進行で、パネルトークがスタート。

江崎グリコ 佐藤敏明氏

最初に、江崎グリコの佐藤氏が商品パッケージに関するガイドライン策定について紹介。従来のデザイン重視のパッケージや表示の違いを見直し、すべてのユーザーに伝わりやすいデザインを目指した初のガイドラインを策定し、UCDA認証も取得した。ガイドラインはルールブックとして社内外のステークホルダーにも展開したという。

「店頭で印象に残るだけなく、家で裏面を見て料理をするときや賞味期限を管理する際にも正確に情報が伝わることが大事だと思います」と、パッケージのわかりやすさによるユーザビリティへの広がりについて語った。今回の取り組みについて「社内の仲間と新たなスタンダードを作成していくきっかけになった」と振り返った。

SBI生命保険 林春奈氏

続いて、SBI生命保険の林氏は、人材育成の観点から20代から30代の若手を中心としたプロジェクトを紹介。UCDA研修を通じて、わかりやすい情報提供のあり方を学び、学んだ成果として顧客に向けたデザインを考案、社内経営層へのプレゼンまで行ったという。

林氏はUCDA研修が積極的な議論につながったと振り返り、プロジェクトについて「固定化しやすいデザインに、新しい思想が生まれる環境づくりが芽生えました。顧客向けのコミュニケーションデザインへの効果だけでなく、従業員同士の横のつながりも生まれた良い機会になりました。また、若手がこういうデザインを出すんだということは上層部にとっても良い刺激になると思います」と、CS(顧客満足度)とES(従業員満足度)の好循環につながる成果だと語った。

dentsu Japan 口羽敦子氏

次に、dentsu Japanの口羽氏が、UCDA監修のもと、従業員発でつくられた「みんなのコミュニケーションデザインガイド」を紹介した。

「コミュニケーションの受け手側の多様性を理解せずして、私たちの業務はできません。送り手としての重大な責任があると思っています」と語り、「まずは2万3000人のグループ社員から意識変革・リテラシー向上を行い、次に関連業界の皆さんと意識変革・技術革新を行う。その次にクライアントと一緒に戦略推進に取り組んでいく。この3本の矢で誰一人取り残されない『みんなのコミュニケーションデザイン』を実現していく」と説明。自社での意識向上を起点に他社へと広げていくことを強調した。

UCDA業務推進局・UCD研究所 野島瞳氏

最後に、UCDA業務推進局・UCD研究所の野島氏が企業のUCDへの取り組みがこの15年で紙からアプリケーション、動画などコミュニケーションデザイン全体、さらには人材教育へと広がってきたと説明。続いて、UCD研究所による新プロジェクト「表示の共通化分科会」を紹介した。本プロジェクトの目的は、企業や業界を超えた「わかりやすい表示」の共通化だという。

「似た注意喚起表示や色のルール、フォーマットが共通化されれば、企業にも生活者にも役立ちます。現在は食品、保険、金融など多様な業種から14社が参加しています。こうした取り組みを知ってもらうことが広がりにつながると思います。一緒にチャレンジしてほしい」と呼びかけた。

各企業の紹介を受け、モデレーターの林氏は「担当者が専門家になってしまうのではなく、『みんなで考える』環境づくりが必要」と総括。「お話から学びをいただいたのは、ビジネスとの接着が『みんなで考える』ことへのドライブになるということです。デザインの最初と最後にいるのは人。だからこそ人と人をつなぐことが重要になる。今回のセッションで紹介された広げるアイデアも存分に活用してほしい」と結んだ。

総括の様子

会場外の展示スペースでは、各協賛企業・団体によるUCDの取り組みや資料、商品が展示された。

「みんなのコミュニケーションデザインプロジェクト」展示ブース

今回受賞した「みんなのコミュニケーションデザインプロジェクト」のブースでは、「みんなのコミュニケーションデザインガイド」を公開。来場者がその場でQRコードから資料をダウンロードする姿も見られ、さっそくUCDの広がりが感じられた。


<UCDAアワード2025 実行委員会表彰 受賞企業一覧>
・dentsu Japan みんなのコミュニケーションデザインプロジェクト(電通、国内電通グループ各社)
・マニュライフ生命保険
・理想科学工業
※UCDAアワード2025の詳細はこちら

<開催概要>
名称:UCDAアワード2025 選考結果報告会 
開催日時:2025年11月21日(金)
会場:神田明神ホール
 

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