ろーかる・ぐるぐる #33

しょっぱくないキャビア

地方のまだニュースになっていない逸品が見つかる通販サイト「よんななクラブ」とは、新商品開発作業などいくつかのプロジェクトを一緒にやっています。その中の一つが「よんななクラブ自身のイノベーション」。かつては単に「地方新聞社が厳選したお取り寄せサイト」として商品を並べているだけでしたが、社員の皆さんと一緒になって「もっともっと地方の『こんなのあるんだ!』を掘り起こしてお客さまにオススメしよう!」と頑張っています。いままで「旬の商品」や「お中元」といった他の通販サイトと同じような特集しかやってこなかったトップページでも、ちょっと読みたくなるような企画をスタートさせました。

「こんなのあるんだ!」な特集をつくっている山本さん、渡部さん、河合さん。(前列から)
「こんなのあるんだ!」な特集をつくっている山本さん、渡部さん、河合さん。(前列から)


「日本品質で進化する世界のグルメ食材」特集はそのひとつ。キャビアやオリーブオイルなど、海外の本場モノこそが最高だと信じられているグルメ食材も、日本人の丁寧なモノづくりにかかれば独自の進化を遂げる、というお話です。

純国産オリーブオイル
純国産オリーブオイル

 

たとえば純国産のオリーブオイル。小豆島の農家が完熟している実を見極め、一粒一粒手摘みしてつくっています。「オリーブの実はとても傷みやすいから」という理由からですが、本場イタリアでは収穫量も多いのでなかなかここまで手間を掛けられないということです。国産オリーブオイルの中には外国産の実を国内で搾っているだけという商品も多いそうですが、繊細な日本人の手で育てられ、収穫され、搾られたオリーブオイルは国内流通量の0.04%と希少です。

国産キャビア
国産キャビア

 

最近、国内の各地でもキャビアがとれるようになってきましたが、岡山県の「フレッシュキャビア」はチョウザメのたまご本来の味が楽しめることが自慢です。というのもキャビアは魚卵を長期保存し、長距離輸送するため高濃度の塩分で処理されます。本場カスピ海産も消費地であるモスクワやパリへ運ぶためにしっかり塩分を利かせるのが常識だといいます。ところが国産の場合、消費地も近く流通も良いので、塩分は旨みを楽しめる最低レベルに抑えた「しょっぱくないキャビア」ができたということでした。

ロシア出張の写真
ロシア出張の写真


何年も前のことですが、国際宇宙ステーションでの広告実験という、また怪しげな(笑)目的でモスクワとカザフスタンに出張した折には、ロシア各地の郷土料理を味わい、時にはロシア人スタッフのお勧めに従いランチからキンキンに冷えたウオッカを頂戴し、そして家族へのお土産はそこそこ大きなキャビアの缶詰でした。最初は遠慮しながらちょっぴりと、次第に悪くなるのが怖くなって大胆に、最後は熱々の白いご飯に乗っけて「嗚呼、キャビアはもう一生分食った」と思った記憶があります。あの時の塩分がどうだったかは覚えていませんが、「チョウザメのたまご本来の味がする、しょっぱくないキャビア」と言われちゃうと、どうにも抗いがたい…う~ん、食べてみたい…。

よんななクラブからお話をうかがって、この他にも実に多くの「こんなグルメ食材でも国産ってあるんだ!」という発見がありました。とはいえその多くが単に「国内でつくるようになっただけ」だったのが残念です。もちろん「日本人の繊細で丁寧な仕事」それ自体が大きな価値です。ただオリーブオイルが手摘みなように、しょっぱくないキャビアのように「国産だから何が違うか?」まで明確になると、ずいぶん買いやすくなるはずです。ローカルにはもう少し自己紹介が上手になるだけでビジネスを拡大できる企業がたくさんあるということでしょう。

次回はそんなローカルの経営者と議論して気づいたターゲットのお話をしましょう。

どうぞ召し上がれ!

プロフィール

  • 4
    山田 壮夫
    株式会社電通 第1CRプランニング局

    1969年生まれ。アイデアを核として広告キャンペーンはもちろん、店舗開発からテレビ番組の製作まで手掛ける。特に最近は全国の地方新聞社厳選お取り寄せサイト「47CLUB」と連携してローカルにおける商品開発作業にチャレンジしている。2009年カンヌ国際広告祭(メディア部門)審査員。慶應義塾大学(メディア・コミュニケーション)、明治学院大学(経営学)非常勤講師。著書に『〈アイデア〉の教科書 電通式ぐるぐる思考』(朝日新聞出版)。

バックナンバー

関連記事

続きを見る
ページ先頭へ