ろーかる・ぐるぐる #34

雑草の戦い方

最近、どうも道端の雑草が気になります。草むらに大きいのを見つけると、ズボッと抜きたい衝動がムクムク。こどもの頃はイヤでイヤで仕方がなかった庭の雑草むしりもなんとなく、別に好きになったわけじゃないけど嫌いでもないよ、なのです。きっとひとつの老化現象なのでしょう。

いまや少数勢力の「ドクダミ」
いまや少数勢力の「ドクダミ」


きっかけは芝生でした。数年前。わが物顔で茂って白い花まで咲かせていたドクダミをスコップで根こそぎ抜き去り、土をならし、買ってきたマット状の切芝を目地張りし、水をやって養生した芝生がカワイくてカワイくて仕方がないのです。しばらくの間、多少の雑草は愛嬌じゃないかと放っていたのですが、冬になるとそこがハゲハゲになることが分かってからはもうブチッ、ズボッ、ブチッ、ズボッ。天気さえよければ庭に這いつくばるようになりました。

元気で迷惑な「ツメクサ」
元気で迷惑な「ツメクサ」


そうやって向き合ってみると、憎き雑草にもいくつかのタイプがあることが分かります。ひとつは大規模ネットワーク型。タンポポのように辺り構わず種をまき散らかしたり、ドクダミのように太い根を張り巡らせたりしてドーンと大きな草を育て、一気に日照を独占するタイプです。
もうひとつはこっそり・じっくり型。ツメクサは濃い緑色で遠くから見るとそこにあることが分からないくらい芝生になじんでいます。一株がそれほど大きくならないし根も浅いのですが、地味に確実にそこに定着しています。同じタイプでもっと始末が悪いのがカタバミ。これも地表を這うので目立たないのですが、根が深いので何ともむしりにくいのです。しかもしっかりとした茎を放射状に伸ばすので、油断すると一気に広がってしまいます。そのくせ咲かせる花は黄色く可憐で、なかなか愛らしかったりするのですが。

閑話休題。最近よんななクラブを通じてローカルの食品メーカーさんとお話しする機会が増えてきました。そこでよく「早くネット販売でビジネスを急拡大したい」という言葉を耳にします。そしてそこに「リアルな店舗がうまくいかないのはエリアの人口が限られているから」というニュアンスを感じます。確かに例えば世界的にユニークな金属加工技術を持っているならネットを通じて地球規模のビジネスを期待できるかも知れません。しかしそういった特徴もない普通の食品メーカーさんがいまだに「ネット」とか「(大消費地)東京進出」に過剰な期待をしているのは、ちょっと心配です。
多くのローカル企業はもっと地元のお客さまを意識するべきだと思います。ごく僅かな例外を除いて地元で人気がないのに全国で成功することはあり得ないからです。リアルな店舗にいらっしゃるお客さまがどうしたら喜んでくださるかを考え抜き、町内No.1から市や県のNo.1へ。そしてなおチャンスがありそうであれば全国へ。地味なようですが確実にお客様が「わざわざそれを買う理由」を追求しなければなりません。

可憐で最強「カタバミ」
可憐で最強「カタバミ」


タンポポやドクダミのような大規模ネットワーク型は資本が豊かな大手企業が得意とするところです。ローカル企業がそれに対抗するためには小さな場所にしっかり根を下ろして地元の方々をターゲットに盤石な態勢を整え、そこからしぶとく茎を伸ばしてユニークな花を咲かせるカタバミのようなたくましさが必要なのだと思います。

ターゲットといえばもうひとつ、少し気になることがありました。そのお話は、また次回。

どうぞ召し上がれ!

プロフィール

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    山田 壮夫
    株式会社電通 第1CRプランニング局

    1969年生まれ。アイデアを核として広告キャンペーンはもちろん、店舗開発からテレビ番組の製作まで手掛ける。特に最近は全国の地方新聞社厳選お取り寄せサイト「47CLUB」と連携してローカルにおける商品開発作業にチャレンジしている。2009年カンヌ国際広告祭(メディア部門)審査員。慶應義塾大学(メディア・コミュニケーション)、明治学院大学(経営学)非常勤講師。著書に『〈アイデア〉の教科書 電通式ぐるぐる思考』(朝日新聞出版)。

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