位置情報ビッグデータで見る人の流れ #01

ブルーボトルコーヒーを位置情報データから見てみた─その1

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    秋元 健
    株式会社電通 CDC 事業開発ディレクター/人の流れラボ研究員

電通「人の流れラボ」研究員の秋元です。サードウェーブコーヒーの流行にのっかり、ドリップコーヒーを楽しんでいるにわかコーヒーファンです。

サードウェーブコーヒーといえば、今年2月に東京都江東区の清澄白河に日本1号店をオープンした、ブルーボトルコーヒー。オーダーを受けてから豆をひき、目の前でドリップしてくれるこだわりの姿勢が人気を博しており、数時間待ちといわれる長い行列が話題になっていました。

今回から3回シリーズで、ブルーボトルコーヒー清澄白河店の集客状況を、携帯電話の位置情報ビッグデータを活用して見てみようと思います。

本シリーズは、「コーヒー3.0」を連載中のNewsPicksさんと共同で作成しました。NewsPicksさんの関連記事は、こちらからご覧ください。

【スライドで見るデータ】ブルーボトルはどこから人を集めたのか?
https://newspicks.com/news/1036877

【スライドで見るデータ】ブルーボトルはどの年代に響いたのか?
https://newspicks.com/news/1034236

【スライドで見るデータ】ブルーボトルに人は何曜日に行く?
https://newspicks.com/news/1038927

【スライドで見るデータ】ブルーボトル人気は本当か?
https://newspicks.com/news/1033380

“その1”の今回は、オープン当日から約2カ月間の来訪者推移を見ながら、盛り上がりのピークと定着度合いを確認していきたいと思います。

 

位置情報ビッグデータの集計条件を設定する

 

はじめに、位置情報ビッグデータの集計方法についてご説明します。今回は(株)ドコモ・インサイトマーケティングさんのご協力のもと、モバイル空間統計のデータを活用させて頂きました。

モバイル空間統計とは、NTT ドコモの携帯電話ネットワークの仕組みを使用して、24時間・365日、性別、年代別、居住地別に推計される人口の統計情報です。全国で約6500万契約のサンプル数を持つ、日本最大級の位置情報ビッグデータになります。1時間毎の人数が把握でき(人・時)、滞在時間を考慮した分析が可能なデータです(通過のみと滞在した人を同じようにはカウントしておりません)。

 

集計範囲をブルーボトルコーヒー清澄白川店付近(以降、ブルーボトルコーヒーエリア)に設定して、時刻ごとの滞在者数を見てみます。

ブルーボトルコーヒーエリア

付近に大型の商業施設がないため、ブルーボトルコーヒーエリアは住宅地型の特徴を持ちます。
滞在者の多くが地元江東区民となり、昼間帯は人が流出し夜間帯に戻ってくる構造になっています。

外部来訪者(江東区居住者以外の来訪者)

先ほどのエリア滞在数から江東区民を差し引いたグラフがこちらになます。
外部流入傾向が見やすくなりました。
ブルーボトルコーヒー開店効果を把握しやすくするために、地元江東区民を集計対象から外し、地元以外の来訪者(=外部来訪者)をどの程度吸引できたのか?という視点で見ていくことにします。

来訪者伸び数

なお、外部来訪者の中には「ブルーボトルコーヒーとは無関係で、仕事などで習慣的に同エリアに来訪している」という人も含まれています。

この人たちを除外するためにオープン前週同曜日とオープン後同曜日の差分をとって、来訪者伸び数というかたちでブルーボトルコーヒー効果を見ていくことにします。

 

2カ月経過後も強い集客力を保持

 

ではさっそく、オープン初日2月6日(金)から2カ月後の4月10日(金)までの、毎週金曜日の外部来訪者伸び数の推移を見てみましょう。

外部来訪者伸び数の推移

2月6日(清澄白河店オープン当日)と、3月6日(青山店オープン前日)に、大きなピークができています。緩やかなダウントレンドとなっていますが、2カ月後であっても、オープン当日の6割強をキープしています。
3月20日以降に外部来訪者伸び数が増えているのは、気候が良くなった影響もあると思われます。

Google Trendsの人気度推移

Google Trendsで「ブルーボトルコーヒー」を調べた際の人気度推移が上のグラフです。さらに主だったブル−ボトルコーヒー関連露出(テレビ・新聞・雑誌)をプロットしました。

序盤に露出が集中するのはよくある傾向ですが、非常に多くのメディアから継続的に取り上げられている点が特徴的です。これらのメディア露出が発信源となり、ウェブ上でも関連する投稿が数多くポストされていました。

「行列がすごい」「こだわりの一杯」「おしゃれな店内」といったサービスそのものに関する情報に加え、「コーヒー業界のアップル」「スタバと対照的な戦略」「オーナーは日本文化の影響を受けた」など、ビジネス的な側面が記事になっていることも多く、このあたりが息の長い露出につながっている理由だと思われます。

Google Trendsの人気度は“いかに多く検索されたか“という指標になりますが、2月末の検索量がピーク時の3割となっています。その後も露出は続いていますが、オープンから約1カ月で熱狂的なブームは一段落ついたといえそうです。

外部来訪者伸び数×Google Trendsの人気度

外部来訪者伸び数とGoogle Trendsを重ねてみますと、Google Trendsのダウントレンドほど外部来訪者伸び数は落ちていないことが確認できます。熱狂的なブームが落ち着くのを待っていた層が、気温の上昇と相まって動き始めたものと思われます。

また2月17日の「ガイアの夜明け」ではブルーボトルコーヒーが20分近く取り上げられ、Twitter上でも数多くつぶやかれていました。2月20日の外部来訪者数が大きく伸びており、効果が大きかったようです。

 

「わざわざ来訪」から「ついでに来訪」への変化

 

各日の外部来訪者の最大値/最小値の推移

営業時間(8:00〜18:00台)の中で、最も外部来訪者が多かった時間帯=最大値と、最も少なかった時間帯=最小値の推移を見たグラフになります。最大値はダウントレンドですが、最小値はアップトレンドとなっており、じわじわとファン層が増加しているものと思われます。

時間別の外部来訪者数

最大値については減っただけではなく、時間帯が14:00台→12:00台に変化しています。また最小値である閉店間際の18:00台の来訪者が増加しています。遠方からブルーボトルコーヒーを目当てに来訪する「わざわざ来訪」が減り、お昼や帰宅のついでに来訪する「ついでに来訪」が増えているものと思われます。

 

今回のまとめ

 

位置情報ビッグデータで見る「ブルーボトルコーヒー」、いかがでしたか?
以下、今回のまとめです。

次回は、外部来訪者の性年齢属性や居住地属性を見ていくことで、集客構造がどのように変化していったかを、より深く見てみたいと思います。

NewsPicks NewsPicksでは、国内随一のインフォグラフィック・エディターによるオリジナル記事で、ビジネスに役立つ情報をわかりやすく理解することができます。 

モバイル空間統計は、NTT ドコモの携帯電話ネットワークの仕組を使用して作成される人口の統計情報です。「モバイル空間統計」はNTTドコモの商標です。

お問い合せ先:電通 人の流れラボ
contact@hitononagarelab.jp

プロフィール

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    秋元 健
    株式会社電通 CDC 事業開発ディレクター/人の流れラボ研究員

    大手自動車メーカーのマーケティング子会社を経て2001年に電通に入社。
    以来、多様なクライアントに対してデータドリブンなマーケティングサービスを提供。
    「Samurai Purchase」「DecoMarket」「;Dcloud」の事業開発を経て、
    13年から「人の流れラボ」に参画。
    位置情報ビッグデータなど各種データを組み合わせたソリューションの開発に挑戦している。

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