ろーかる・ぐるぐる #04

イノベーションの定義(豚骨ラーメンとねぎ塩焼肉)

春ですね。
先日、暖かさに誘われて多摩川っぺりを散歩しました。調子に乗ってズンズンズンズン河口の方に向かったら、いつの間にか羽田空港国際線ターミナルに到着しました。なんか徒歩で行ってはいけないところのような気がしていたので、びっくりしました。

それはさておき。

もう30年も前のお話。渋谷にある商業ビルの地下1階には「めん道場」なる専門店街があって、中学3年生だったぼくは生まれて初めて食べた「熊本ラーメン」にすっかり魅了されたのでした。

白濁した、こってり濃厚な豚骨スープ。表面に浮かぶ黒い液体(しばらく後に「マー油」だと発覚)。シャキシャキの生キャベツ。トロトロの角煮。青いネギ。茎わかめ。かたい麺。すべてが衝撃的でした。それまで美味しいと思っていた学校の第三食堂にある醤油ラーメンが急につまらなくなっちゃって。決して安くはなかったけれど、母親に「散髪するから」といっては3000円もらい、渋谷の1000円床屋で髪を切り、差額で何度も「熊本ラーメン」に通ったのでした。

 

 

いま47CLUBで買える「熊本ラーメン」はこちら

 

 

 

イノベーションとは「ひとの行動・習慣・価値観にもう元に戻れないような変化をもたらすモノ・コト」。とすれば、あの熊本ラーメンはまさにイノベーションでした。それまで「ラーメン」といえば「醤油・味噌・塩のスープに(いわゆる)中華麺が入った食べもの」だったのが、麺・出汁・具材・味付けなどすっかり幅が広がりました。

もうひとつ、忘れられない食のイノベーション体験は「焼肉」です。ぼくがこどもの頃、焼肉屋さんといえばロース・カルビ・レバ焼き・野菜焼きが定番でした。茶色の甘いタレでご飯をいっぱい食べる場所。タン塩はあったかもしれないけれど、それほどメジャーではありませんでした。
事件が起こったのは会社に入ってすぐ、先輩に連れて行ってもらった勝鬨橋のたもとにあるお店でした。お肉の上には細かく切ったネギが真っ白に敷き詰めてあって、七輪でそっち側の面を焼こうとすると「焦げるじゃねぇかっ!」と怒られて。じっくり片面だけを焼いて頬張ると、たっぷり肉汁が塩味でさっぱり、ビールをぐびぐび。あぁなんでいままでタレで食べていたんだろう、なんでいままで塩で食べなかったんだろうと反省する始末。毎日でも食べたいけれど、それではお財布がもたないから自分の家で試行錯誤。ようやく白ゴマ油、ネギ、ニンニク、ゴマ、塩、胡椒、こんぶだし(顆粒)である程度は再現できて、仲間を集めては堪能したものです。

人生で味わった最高の美味というのであれば他にもありますが、「なんだこりゃ?」という衝撃と「こりゃ、やめられん!」という影響からいえば熊本ラーメンとネギ塩焼肉はちょっと別格です。まさにラーメンと焼肉の一大革命。このコラムで使う「イノベーション」の定義にピッタリだと思ってご紹介しました。

とはいえ最近、寄る年波の影響か、ごくごく普通の「醤油ラーメン」が旨いです。高校の第三食堂で食べたあの味です。


 

 

47CLUBのラインナップでいえばこちらでしょうか。ちょっと麺が太いかな?でも良い景色ですよね。

 

 

あれ?

ぼくの行動・価値観が元に戻っているような気もしますが、きっとそれは別の問題。次回は「食べるラー油」を使って、イノベーションの原動力となる「コンセプト」について考えてみようと思います。

どうぞ、召し上がれ!

プロフィール

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    山田 壮夫
    株式会社電通 第1CRプランニング局

    1969年生まれ。アイデアを核として広告キャンペーンはもちろん、店舗開発からテレビ番組の製作まで手掛ける。特に最近は全国の地方新聞社厳選お取り寄せサイト「47CLUB」と連携してローカルにおける商品開発作業にチャレンジしている。2009年カンヌ国際広告祭(メディア部門)審査員。慶應義塾大学(メディア・コミュニケーション)、明治学院大学(経営学)非常勤講師。著書に『〈アイデア〉の教科書 電通式ぐるぐる思考』(朝日新聞出版)。

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