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「更年期」を生きる、働くアラフィフ女性たちの現実~第2のお年頃を考える~No.3

更年期を生きる女性たちが過ごしやすい社会とは

2023/11/30

電通ママラボが実施した「働くアラフィフ女性の更年期の症状と仕事、家族に関する調査2022」の結果から、第1回では働くアラフィフ女性を取り巻く更年期の実態についてレポートしました。

更年期とは:厚生労働省委託「働く女性の心とからだの応援サイト

第2回では、更年期に起こりがちなつらい症状に立ち向かう人の特徴として以下の6つについてご紹介しました。

ヒント

第3回では、同調査からのフリーアンサーの声をもとに、更年期症状が発症している時期を当事者たちはどのようにとらえているのか、どうしたら過ごしやすくなるのか、また、社会全体でこの課題とどう向き合えばよいのかのヒントを探ってみたいと思います。

第1回:更年期に負けたくない!更年期症状に直面する令和のアラフィフ女性たち
第2回:「更年期コーピング度High層」分析から見えてきた!更年期をうまく乗り越えるためのヒント

アラフィフ女性たちの考える更年期の意味とは?

調査の中で、以下のような問いで自由に答えてもらったところたくさんの回答をいただきました。一部ですが、代表的な発言をピックアップしてみると、当事者の女性たちがこの時期をどのようにとらえているのかがよく分かります。

更年期をどのように捉えているか?

このように、アラフィフ女性の中にはこの更年期という時期をへることにより、これまで過ごしてきた人生とは違う後半戦が待っていることを意識する方がいます。

これまで頑張って背負ってきたすべての物を、そのまま持ってこの先も進むことは、体力的にも気力的にも無理だということを実感するようです。

今回の調査対象者の意見を、まとめてみると彼女たちの心の中には、以下のような、さまざまな気持ちが芽生えてくることが分かります。

更年期の気持ち

これから更年期を迎える世代へのアドバイス

また、これから更年期を迎える世代に向けてのメッセージをいただいたので、いくつかご紹介します。

これから更年期を迎える世代へのアドバイス

これから更年期を迎える人に対しては、自分のことを大切にして、無理して頑張ることをやめ、なるべく身近な人に話していってほしい、そんなアドバイスがたくさんありました。そして、おかしいなと感じたら早めに病院に行き、医師に相談しながら楽になる方法を模索してほしい、という意見も多かったです。

人生の第二ステージでも、健康的に長く活躍できる社会にするために

第1回の調査結果にもあったように、今のアラフィフ世代の女性たちは、まだまだ働きたいと思っている方が大勢います。100年前の1923年ごろの日本の平均寿命は、男性42.06 歳、女性43.2歳でした(人口統計資料集より)が、2023年現在の平均寿命は、男性81.05歳、女性87.09歳(厚労省 令和4年簡易生命表より)ですから、更年期が人生の折り返し地点になってきて、女性が長く就労できるようになってきたのも、日本社会の歴史にとってはごく最近のことなわけです。この先の世代が、更年期を乗り越えて、その後も長く元気に生活できるような社会にするためにも、もっと急ピッチで職場や家庭でこの更年期症状の問題について理解を進めなければなりません。

  • 更年期に起きる体調不良は、見た目には分かりづらいですが当事者にとってはつらい状況であること
  • 更年期のつらい症状は、誰でも起こりうる自然の摂理であること

これらの理解を進め社会の中のネガティブなバイアスをなくしていくことで、職場や家庭で、更年期時期の症状のつらさを日常会話で話せる環境が増えるのではないでしょうか。

また、当事者の方が、当たり前に自分の体と向き合うことができるようになることで、閉経後に起こりうる健康リスクにも早めに対応でき、人生の後半を自立的に健康的に過ごせる方も増えるでしょう。

職場では、体調やメンタル面の悩みについて相談しやすい環境づくりなど、工夫できることもありそうです。例えば、相談に乗ってくれる女性の先輩を気軽に探せるような、ヘルスメンター制などを導入する、あるいは、体調に合わせてペース配分できるような働き方、休み方など柔軟な制度があれば、この時期の症状を抱えながらも前向きに働ける人が増えるのではないでしょうか。

意識の持ち方、症状への深い理解、病院とのかかわりなど当事者自身のヘルスリテラシーを高めることもまだまだ必要でしょう。コーピング度の高い人ほど、病識の深い理解があったように、自分の状態を客観的に理解できるようになることで、冷静に対処できることも増えると考えられます。

今回、電通ママラボでは、3回にわたって「働くアラフィフ女性の更年期の症状と仕事、家族に関する調査2022」の分析結果から働く更年期世代の実態とそこから垣間見える課題について考えてきました。

今回のレポートが、少しでも、今後の社会づくりのヒントとして参考になれば幸いです。

ママラボ

【調査概要】
調査対象:
■スクリーニング調査:全国45~54歳女性・有職者(パート・アルバイト含む)
■本調査:
更年期症状の実感あり。かつ具体的な更年期症状の発生あり。
■スクリーニング回収数:10,000サンプル (人口構成比に合わせて回収)
■本調査回収数:300サンプル(スクリーニングの出現構成比に合わせてウェイトバック)
①45~49歳150サンプル
②50~54歳150サンプル
調査手法:インターネット調査
実査期間:
■スクリーニング:2022年10月5日(水)~2022年10月10日(月)
■本調査:2022年10月7日(金)~2022年10月8日(土)
 
※更年期症状に関する問題は、子どもの有無にかかわらず誰もが通る可能性があるため、調査そのものはあえてママに限らず実施しました。

 

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