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「更年期」を生きる、働くアラフィフ女性たちの現実~第2のお年頃を考える~No.2

「更年期コーピング度High層」分析から見えてきた!更年期をうまく乗り越えるためのヒント

2023/09/28

電通ママラボが実施した、「働くアラフィフ女性の更年期の症状と仕事、家族に関する調査2022」の調査結果をもとに第1回では働くアラフィフ女性を取り巻く更年期の実態についてレポートしました。

第1回:更年期に負けたくない!更年期症状に直面する令和のアラフィフ女性たち

調査結果からは、働くアラフィフ女性の約6割が何らかの更年期症状を感じていることが明らかになりました。更年期症状は働くアラフィフ女性の体や気持ちだけでなく、仕事や日常生活にも大きく影響を及ぼしていることが分かり、これまで多くは語られずにきていますが、個人にとっても社会にとっても、非常に影響の大きい問題であるということを改めて確認しました。

第2回では、更年期を過ごしやすくするためのヒントをご紹介。更年期症状に対して前向きに対処できている人たちの意識や行動を参考にひもときます。

更年期とは:厚生労働省委託「働く女性の心とからだの応援サイト」  

「更年期コーピング度」分析より、更年期を乗り越えるためのヒントを導く

※コーピング(coping)
「問題に対処する、対応する」という意味の「cope」。ストレス要因の解決もしくは負担を減らすことを目的として、問題に対して何かしらの行動を起こすことを意味します。


今回の分析では、更年期に対して前向きに対処しているポジティブ項目因子の点数に応じて、対象者を「更年期コーピング度High層」「更年期コーピング度Middle層」「更年期コーピング度Low層」に分類。

「更年期コーピング度High層」の意識や行動を「Middle層」「Low層」と比較して分析することにより、更年期をうまく乗り越えるためのヒントを導きました。

更年期コーピング層の割合

「更年期コーピング度High層」の特徴

「更年期コーピング度High層」をMiddle層、Low層と比較した特徴は以下の通りです。

「更年期コーピング度High層」の特徴

「更年期コーピング度High層」は更年期症状の改善に向けて実際に行動している人たちです。「更年期症状の改善に対して積極的に取り組んでいる」「更年期症状や対処法に関する情報を積極的に集めている」などの項目について、Middle層、Low層に比べると圧倒的に高い結果になっています。

また、「更年期症状が生活の支障にならないために、多少の出費・労力はいとわない」「更年期症状に対する新しい対処法や治療法があれば試したい」など、対処への意欲も高いです。

「更年期コーピング度High層」の更年期の症状そのものは、他の層に比べるとつらい状態にあります。感じている症状の個数が多く、「つらい」と回答する人の割合がMiddle層、Low層に比べて高いことが分かりました。つまり「更年期コーピング度High層」とは、日々さまざまな症状が現れ、体調がつらい状態にあるけれども、改善に対する意欲を持ち、実際に行動に移している人たちであるといえます。

ここからは、このような特徴を持つ「更年期コーピング度High層」の意識や行動を参考にしながら、更年期をうまく乗り越えるためのヒントを紹介します。

「更年期コーピング度High層」からのヒント1:

更年期症状への理解を深める

「更年期コーピング度High層」は全体に比べて、更年期の症状に対する知識量が多く、深い内容まで理解しているという結果が出ています。

更年期症状について知っている内容

「更年期コーピング度High層」と全体との差分が大きい項目としては「1つの症状が軽くなっても複合的な辛さが続いていく」「卵巣の機能が低下し女性ホルモンの分泌が急激に減少することで、不調があらわれる」「自律神経に関連する不調も起こりやすくなる」「一時的な病気や体調だと思っているものが更年期症状である可能性がある」など、更年期症状にまつわる詳細な内容が挙がります。

逆に全体との差分が小さい項目は、「人によって症状が全く違う」「症状の出方は個人差が激しい」など比較的一般的な内容です。

また、「病院での治療によって更年期症状が緩和されることがある」という理解も「更年期コーピング度High層」では85%を超え、全体と比べて高い数値となっています。このように、更年期症状そのものや原因、リスク、先々に起こりうることなどについて深く理解することが更年期コーピング度を高めることにつながりそうです。

「更年期コーピング度High層」からのヒント2:

日常生活での自分なりの工夫+専門家の知見を取り入れてうまく対処する

では、更年期についての理解が深い「更年期コーピング度High層」は日々どんな対処を行っているのでしょうか。

調査結果からは、「更年期コーピング度High層」は全体に比べて、自らさまざまな方法を試し、症状を和らげて生活できるように工夫をしていることがうかがえます。

更年期症状を緩和するための対処法

全体と比較して特に差が大きく、「更年期コーピング度High層」に特徴的なものとして、服装、普段の食事、睡眠、運動が挙がります。普段の生活の中で自分でできることを幅広く実践していることがうかがえます。

また「病院・クリニックに通う」が21.1%と全体に比べて高く、更年期症状での受診があまり浸透していない現状において、専門家の知見を取り入れている人が多めであることが分かります。

そして注目すべきなのが「周囲に自分の状態を伝える」という項目です。35.8%の方が自分の体調などの状態について周囲に伝えており、理解を得たり、環境を整えたりしようとしていることがうかがえます。

「更年期コーピング度High層」からのヒント3:

身近な人と普段から自分の症状や状態について会話しておく

ママラボでは、自分の更年期症状について周囲にどの程度話をしているのか、身近な人との共有状況に着目しました。

以下のグラフより、「更年期コーピング度High層」は身近な人に普段から自分の症状についてよく話をしていることが分かります。

更年期症状について配偶者・パートナーに話す割合

更年期症状について子どもに話す割合
更年期症状について友人に話す割合
更年期症状について同寮に話す割合

配偶者・パートナー、子ども、友人、職場の同僚、いずれの相手に対しても、「更年期コーピング度High層」はMiddle層、Low層に比べて、自分の症状について話をしている人の割合が高く、頻度も高いことが分かります。特に配偶者・パートナーに「頻繁に話す」人が33.5%と3割を超えており、「たまに話す」21.4%まで入れると約半数の人が体調について配偶者やパートナーと普段から会話をしています。子どもがいる人は、やはり半数が子どもにも普段話しているという結果でした。

更年期症状について話せる相手を増やし、普段から自分の症状や状態について会話をすること、またそういったことを話せる環境にあるということが、更年期のつらさをうまく乗り越えるための重要なポイントになりそうです。

「更年期コーピング度High層」からのヒント4:

更年期症状に対する身近な人の理解や共感を得る

では、身近な人たちは、更年期症状に対して、どのような反応をしてくれるのでしょうか。

更年期症状についての反応(配偶者・パートナー)
更年期症状に対する反応(子ども)
更年期症状に対する反応(友人)
更年期症状に対する反応(同僚)

「更年期コーピング度High層」は、全ての身近な人から、「心理的負担軽減」「物理的負担軽減」の両方についてMiddle層、Low層に比べて高い数値を獲得しています。更年期症状に対して身近な人の「理解」や「配慮」「共感・心配」、「分担」を得ることができている人が多いようです。

Middle層、Low層は「全く気付いていない」の割合が高く、心理的・物理的負担を減らす環境づくりが重要になりそうです。

「更年期コーピング度High層」からのヒント5:

自分をいたわる気持ちを持つ

更年期症状をきっかけに、これまでは家族優先だったが、自分のことも大切にするようになった
更年期症状を感じるようになって、初めて自分の心身のことを考えるようになった

自分に対する考え方についても、「更年期コーピング度High層」の特徴がうかがえます。

「更年期コーピング度High層」はMiddle層、Low層に比べて、「更年期症状をきっかけに、これまでは家族優先だったが、自分のことも大切にするようになった」(83.4%)、「更年期症状を感じるようになって、初めて自分の心身のことを考えるようになった」(70.6%)など、更年期症状をきっかけに自分を大切にすることを意識するようになったという割合が非常に高くなっています。

家族を優先してきたこれまでの自分の人生そのものを見直し、自分をいたわる気持ちを持つことも、更年期コーピング度を高める重要ポイントとなりそうです。

「更年期コーピング度High層」からのヒント6:

更年期の先を見据え、目標や希望を持つ

今の仕事を続けたいので更年期症状による不調を和らげる努力をしている
更年期症状が落ち着いたらやりたいこと、新たに始めてみたいことがある

「更年期コーピング度High層」はMiddle層、Low層に比べて、「今の仕事を続けたいので更年期症状による不調を和らげる努力をしている」(85.1%)「更年期症状が落ち着いたらやりたいこと、新たに始めてみたいことがある」(75.6%)と、やりたいことや目標を持つ意識が高くなっています。更年期の先を見据え未来に向けて希望を持つことも更年期に立ち向かう原動力になるといえそうです。

ヒントのまとめ

第2回では更年期症状に対して前向きに対処できている「更年期コーピング度High層」の意識行動を参考に、更年期を過ごしやすくするためのヒントをご紹介しました。これらのヒントを当事者の方や周囲に困っている方がいる場合は、参考にしていただければ幸いです。

第3回では、さらに「更年期コーピング度High層」の自由回答をご紹介しながら、今後この課題とどう向き合っていったらよいのかについて考えを深めます。

※構成比(%)は小数点以下第2位で四捨五入しているため、合計しても必ずしも100%にならない場合があります。


ママラボ

【調査概要】
調査名:電通ママラボ「働くアラフィフ女性の更年期の症状と仕事、家族に関する調査2022」
調査対象:
■スクリーニング調査:全国45~54歳女性・有職者(パート・アルバイト含む)
■本調査:
更年期症状の実感あり。かつ具体的な更年期症状の発生あり。
■スクリーニング回収数:10,000サンプル (人口構成比に合わせて回収)
■本調査回収数:300サンプル(スクリーニングの出現構成比に合わせてウェイトバック)
①45~49歳150サンプル
②50~54歳150サンプル
調査手法:インターネット調査
実査期間:
■スクリーニング:2022年10月5日(水)~2022年10月10日(月)
■本調査:2022年10月7日(金)~2022年10月8日(土)
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